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2013年11月23日 (土)

Paper Doll (The story of Master David) chapter1

本日めでたく(?)二足草鞋から解放されましたcoldsweats01

ここ に掲載されている話を翻訳しましたsweat01。(ちなみにこの話はsimswordsで『In These Words』のパロディを作っている方の作品のハロウィーンネタに触発されて、作者が『In These Words』の登場人物を使って作った、全く本編とは関係のないお話です。)とはいえ、謙遜抜きの拙訳です・・・sweat02翻訳ソフトを使うよりはましな日本語レベルですが、こんな内容という大筋を掴むための一助としていただければと幸いです。

ちなみにこちらは原作者のNeko様に掲載の許可をいただき、また公式HPにも同様にUPしております。

意味が取れるところは意訳で、そうじゃないと直訳になっています。誤訳もあると思いますので、気付かれた方はぜひご指摘くださいませ~!!

*2015.2.3_一部修正済

**************************************************************************

彼はみぞおちからゆっくりこみ上げてきた落ち着かない不安感に気付かないよう最善を尽くそうとした。彼は自分がしようと思っていたことを理解できなかった時、それが気に入らなかった。彼は自分の知らない人と、例えそれが親戚―彼は親戚の記憶を持っていなかったが―であったとしても、付き合うことを好まなかった。

浅野克哉は助手席のマニラ・フォルダー(*1)の束の中から突き出ている黄褐色の封筒をちらりと見た。その公証書簡は5日前に彼の職場に届けられた。差し出し人の名前は彼の生涯において父が二度口にしたのを聞いただけに過ぎないもの―祖父の名前だった。

15歳の時、父がこの名前を口にするのを聞くまで、克哉はいつも祖父は死んでいると思い込んでいた。彼がその名前を二度目に聞いたのは何気なく祖父の話を切り出した翌日だった。彼はなぜ自分たちが会えなかったのか知りたかった。その時父の顔には渋顔が浮かんでいたが、困った様子だった。

「お前は二度と彼について尋ねてはならない。」父が言った。「そして、もしいつか・・・」

あたかも更に話をしたなら、好奇心が掻き立てられるだけだろうと知っているかのように、父には躊躇―話を続けるのが気が進まない様子―があった。

「もしいつか彼がお前に連絡してこようとしたら、お前は彼の元へ行ってはならない。分かったな?」

克哉は頷くだけだった。彼が決して知ることのない男について約束するのは簡単だった。それは10年前のことあり、それから父が亡くなった。手紙はその時届いた。そして彼の疑問の全てが蘇ってきた。彼の両手がハンドルの上でこわばった。

私は何をしているのだろう・・・?

手紙が投函された住所の方に向けて運転した時、父の願いに背く罪の意識をかすかに感じながら、繰り返された考えがこれだった。彼は指定された日付にニューヨークから遠く離れた住所に姿を現すことを求められており、それ以上は何もなかった。それにもかかわらず彼は行くことを余儀なくされていることを感じていた。多分なぜ祖父は誰も口にしない人物なのか、そしてなぜ祖父は彼の人生においていないことになっており、そして突然彼を呼んだのかという静かな謎に駆り立てられていることによって。

なぜあなたは私に会いたいのか?私はあなたを知らないのに・・・

彼は最初におじに手紙を見せようとした。しかし、それを止めることに決めた。なぜなら単に行くことを止めさせられるだろうと知っていたからだった。彼は知る必要があった。例えパンドラの箱を覗き込んで、それが彼にとって一層悪いことになったとしても、彼はこれを記憶の彼方に置くことができるようにするために知る必要があった。少なくともそれが彼が導き出したものだった。

馴染みのない歌がラジオに流れた。そして彼はボタンを指で突いて、放送局を変えた。彼は空腹で、喉が渇き、ベッドが恋しかった。彼は2日間路上にいた。

トラックの運転手たちで半分いっぱいになっていた、油で汚れた食堂で小休憩をとった後、克哉は少し気分が良くなったのを感じた。焙煎し過ぎたコーヒーを飲むことを残念に思ったが、少なくともそれが彼の目を覚ましていた。カフェインが切れるのを感じる頃までには日はすでに暮れ、青い光の斑点が地平線上の輝きに代わっていた。彼は遠くに大邸宅―ほぼ10マイル(*2)周囲に近隣の家がない孤立した屋敷―の輪郭を見ることができた。

克哉は巨大な錬鉄の門の隣に車を停めた。彼は次に何をしたらいいのかはっきりしなかった。彼はしばらく門の前に立ち、約4分の1マイル離れた大邸宅の広がりをじっと見つめた。松の群生が丸石の車道に沿って伸びていた。そして他にたいしたものはなかった。―灰色とくすんだ緑以外にその家を形作るたいした色はなかった。

スイッチが入れられたような空電雑音と男の声が用件を尋ねてきたのを聞くまで、彼はインターホンにさえ気づかなかった。

「私は浅野克哉です」彼が切り出した。「私は―」

話し手はカチリという音を立てて、インターホンを切った。金属的なカチッという音が、門の施錠が外された後に続いた。門はモーターの低いうなり音を伴いながら、ゆっくりと内側に開いた。

「こちらこそ、初めまして」克哉は自分のセダンに戻った時に声をひそめて言った。これという特別な理由もなく、彼は自分が迎えられた冷たく、きびきびしたやり方に苛立った。しかしながら、彼は素早く自分の苛立たしさを疲れとして片付けた。

彼は車をガタガタ鳴らした丸石の車道に沿って惰力で進んだので、大邸宅の眺めがよりはっきりしてきた。大部分の窓は暗く、カーテンが脇に引かれていた。屋敷は活気がなく、人が済んでいないように思えた。―彼が迎えられたのと同様に冷ややかだった。これは暖かさが欠如した富の好ましくない部分を削除した表れなのだと彼は思った。彼は財産と同じくらいひどく冷淡であろうとわかったこの男からの要請に屈したことを後悔した。

車道の終点に到着した時、彼のヘッドライトは一人の男が待っているのを見つけた。男の顔は暗闇で覆い隠されていた。しかし克哉は彼が若いと見分けることができた。彼のやや長めの髪はほんの少し褐色がかった赤色を帯びていた。彼が着ていた白いシャツはぴっりしたスボンの中にきちんと押し込まれていた。上の3つのボタンが外され、袖は肘までまくり上げられていた。克哉が駐車した時に、男は克哉の運転席側の窓にやって来た。

「鍵をエンジンにつけたままにしておいてください」男はそう言って、微笑んだ。「私がそれを引き受けます」

「よろしくお願いします・・・」

彼は克哉のためにドアを開けた。

「Walterがあなたをダイニングルームにご案内します、Mr.浅野。」彼が言った。「主人は今そこで2時間あなたを待っているのです」

「私はお目にかかるのに決まった時間があっただなんて知りませんでした」

「そのようなものはありません」と彼が言い、ドアの方を指さした。「それが正面玄関です。Walterがあなたを中でお待ちしています。私はあなたのカバンをお部屋に持って上がります。」

「ありがとう」克哉は礼儀正しい微笑を返し、手を差し出しながら、言った。「あなたは―」

克哉の手を取り、握手した時、男に微笑が生じた。彼はしっかり手を握り、その中の温かさは偽りがなかった。

「このあたりで重要な人物はおりません。しかし、私は憲司です。さあ中にお入りください。私はすぐにまたあなたとお会いするでしょう」

憲司は克哉を行かせる前に彼の手をもう一度握り締めた。

彼がまさにその大邸宅のドアを通り抜けようとした時、憲司の温かな握手が彼の掌の中に残っていた。寒さがたちまちやってきた。―凍りつくような壁だった。彼は戸口に立った時、3階まで続いた螺旋階段のアンティークな鉄の手すりのところで上を見上げて、気が引けた。ダイヤモンド形のクリスタルから作られていた巨大なシャンデリアは天井から吊り下げられ、2つのフロアにぶら下がっていた。灰色と白の大理石のタイルは絨毯がなく、剥き出しのように思われた。まばらな家具は空間を更に一層空っぽに感じさせ、部屋の天井の高さを更に一層高く思わせた。壁はごくわずかに暗赤色で塗られ、何も描かれていなかった―写真も何もなかった。

「こんにちは、Master浅野」彼の後ろで穏やかで優しい声が言った。

克哉は話し手に振り返り、気が付くと、執事の服装をした老人を見ていた。

「私はWalterです」その男が恭しくお辞儀をしながら、言った。「ダイニングルームにご案内します」

「私の祖父に会うためですか・・・?」克哉が尋ねた。「私を克哉と呼んでください。『Master浅野』は旧式に感じます。」

Walterは微笑んだ。「あなたのお祖父様ではありません」彼は片方の腕を広げ、手袋をつけた手で身振りをつけながら、言った。「家の主とです」

「どなたですか・・・?」

Walterは道案内をし、克哉は後に従った。執事の1つの汚れもなく輝いていた革靴が磨かれた石の床の上でほとんど音も立てなかった一方で、克哉の靴のかかとは鳴り響いていた。

「彼があなたに自己紹介なさいます」Walterが言った。

克哉は好奇心のそそられる周囲を見渡しながら、その老人の後ろで歩を進めていたので、「わかりました」は彼が言うべきこととして考えることができた全てであり、彼はそうした。ダイニングルームに到着した時、Walterは再びお辞儀をし、退出した。

その家の主人は彼の知っている人ではなかった。通りすがりの人でさえなかった。そして彼が『David Krause』と名乗った時、名前は彼にとって重要ではなかった。Krauseは美しい顔だちをしていた。年齢は克哉より上だったが、このような広大な屋敷の主人にしてはかなり若かった。克哉がじっと見つめた彼の両目には赤みが帯びていた。

「眼皮膚だ」David Krauseは素っ気なく言った。「私の眼を冒している白子症の一種だ」

克哉は頷き、Davidが指し示したところに座った。30席ある巨大なオーク材のダイニングテーブルの先には、Davidの右側に白い絹のプレース・マット(*3)の上に置かれた1枚の皿と1セットの銀製のカトラリーがあるだけだった。

「じろじろ見るつもりはありませんでした」克哉が言った。

「どうでもいいことだ」Davidが言った。彼は椅子に深く座った。憲司が言っていたように、彼はそこで待っていた。ほとんど空のクリスタルのデキャンタの近くに半分入った白ワインのグラスがあった。

沈黙があった。ついに克哉が話を切り出したのはDavidが克哉のワイングラスを自分の方に引き寄せ、デキャンタの中身をあけてからだった。

「私は何が起きているのかよくわからないのです」彼が言った。彼の声は低かったが、その大きな部屋に鳴り響いた。「しかし、私は・・・ここで祖父に会うことになっているのでしょうか?」

「きみは自分の祖父について何を知っているんだ?」Davidがワイングラスを克哉にスッと動かしながら、尋ねた。

「あまり多くを知りません。私の家では誰も彼について話さなかったのです」

「それにもかかわらずきみはここにいる」Davidが言った。彼の顔は少し微笑んでいた。

「彼はまだ・・・家族です、私はそう思います」克哉が言った。彼はワイングラスを見続けた。

「私は知りたいのです、私が・・・」

克哉が言葉を続けなかった時、Davidが彼のために言った。

「何から守られていたのか」

「私が使おうとした言葉ではありません」

Davidの笑顔が大きくなっただけだった。彼は自分のグラスからワインを飲み干したので、更に何も言わなかった。

「あなたは彼とどのような関係なのですか?」克哉が尋ねた。彼は自分のグラスを取ろうと手を伸ばしたが、身震いが起きていることに気付くと、手を止めて、膝に手を隠した。

Davidが伝えた。「彼は私が知っている人物だった」彼が言った。「昔のことだ」

克哉が他の質問をするのに十分な勇気を奮い立たせる前に、Walterが戻ってきた。今度は彼はドーム型の覆いのついた皿を載せて、食事を提供するためのワゴンを押してきた。2本の新しいワインの瓶がワインクーラーの中で冷えていた。

Walterは彼らに給仕しながら、何も言葉を交わさなかった。そして克哉は早くから空腹状態だったけれども、今や食欲がなく食事を見ていた。突然彼はこれ以上そこにいたくないと思った。しかし彼はどう言い訳をしたらよいかわからなかった。彼を座らせたままにしていた唯一の事はWalterだった。老人は脇に立ちながら、何も言わなかったけれども、そこに克哉の気分をよくさせる他の人間がいることを知っていた。

夕食はぎこちなく、かすかに銀製のカトラリーが皿にぶつかってガチャガチャした音がダイニングホールに鳴り響いていただけで、ほとんど沈黙状態だった。克哉は生焼け状態の肉に自分のフォークの先を使いながら、その時間のほとんどを彼の皿の上にあるステーキの切片を見続け、ついに脂肪と血の宝石がそこから現れた。彼はそれを見て気分が悪くなるのを感じた。

「どこか具合でも?」冷静な口調で話したのにもかかわらず、Davidの声は怒鳴っているように聞こえた。

克哉は非難するような凝視を見るために顔を上げた。「いいえ、何も・・・本当に」彼は急に子供のように感じながら、口ごもった。「私は一日の大部分をあまり気分がすぐれない状態で過ごしていたのです。長時間運転していましたから。今はあまり食欲がないのです」

Davidは頷いたものの、眉を寄せたままだった。「代わりに何が欲しいんだ?」

克哉は頭を振った。「少し眠りたいのです。このようなひどい会食者で申し訳なく思います」

Davidはステーキの1片を突き刺した。肉が彼の皿から持ち上げられた時、小さな赤い雫が集まり、彼のフォークから滴り落ちた。克哉は心の中で感じていた渋顔を表さないように願った。

「Walterがきみを部屋に案内する」血まみれのステーキのかけらを口から数インチかじったまま、Davidが言った。「明日朝食で会おう」

「ありがとうございます」克哉が言った。そしてテーブルから身体を押しのけた。ダイニングルームからWalterの後を追った時、彼のじれったさを顕わにしなかったのはいくばくかの抑制が効いていたからだった。彼はのんびりと足を引きずって歩いていた老執事より速く歩かないように気をつけながら、ゆっくりと歩いた。

彼らがメインホールに足を踏み入れ、重たいドアが彼らの後ろで閉まった時に、彼は深く息を吐き出した。

「大丈夫ですか、Master克哉?」

克哉は頷き、何とか少し微笑んだ。

「元気になります。全く予想していませんでしたが・・・この全てを」

Walterは彼に安心を与える頷きを与え、顔には偽りのない心配を浮かべた。「病院のお医者様をお呼びしましょうか?」

「いいえ、いいえ・・・本当に少し眠ることが必要だと思っています。私は十分な睡眠もとらず、必要以上にたくさんのまずいコーヒーを飲みながら、あまりにも長時間路上にいたものですから」彼は人差し指で円を作った。「何もかもです」

Walterはもう一度頷き、他には何も言わなかった。克哉は彼の後を追い続け、彼らは正面玄関からのものとは別の螺旋階段を上った。彼らは大邸宅のもう一方の翼棟(*4)にいた。そしてこれらの階段は恐怖で気落ちするようなものには見えなかった。唯一の装飾は経年でひびが入り、色褪せていたけれども、天井に描かれた彼らを見下ろす天使たちのフレスコ画だった。

階段の内側を覆っていた絨毯は濃く、鮮やかな赤だった。生地はとても柔らかかったので、克哉はそれを靴を通して感じることができた。手すりは桜だったかもしれない黒ずんだ木を彫って作られていた。高い天井から吊り下がった4つの大きなシャンデリアがあった。最も遠い右のシャンデリアは明かりがついていた。それは1階全体と階段の長さを光で満たすのに十分な明るさだった。

彼らは2つの角を曲がり、克哉の部屋が設けられたフロアへ3連続(*5)の階段を上った。階段は上まで続いていた。

「エレベーターがなくて申し訳ありません、Master克哉」ぼんやりと照らされた廊下の中でボタンを押して明かりをパチパチつけながら、Walterが言った。「Master Davidはエレベーターがあると家の美観が損なわれるとお感じになったのです」

「そうですね」の一言が克哉が口にした全てだった。

彼の部屋は3階にある8室のうちの4番目の部屋だった。彼のスーツケースが運ばれていて、中身は入念に分類され、ハンガーに掛けられるか、片付けられていた。見知らぬ人々に自分の持ち物を引っ掻き回されたことは彼をイラつかせたが、彼はあまりにも疲れていたので、今は気にしないことに決めた。彼は後で憲司と話をしなければならなかった。

「朝食は7時半です、Master克哉」カーテンを閉めながら、Walterが言った。「起こしましょうか?」

「私は7時に携帯電話が鳴るようにセットできますよ」克哉が言った。

「あなたのお好きなように、Master克哉」

「どうか私のことは克哉と呼んでください」彼が言った。「あなたはこの辺りの外交辞令に従っていると思っていますが、自分たちしかいない時に私はMasterと・・・他のものでも呼ばれたくありません。」

Walterは口を引き締めて微笑んだ。彼は一回頷いた。「お好きなように」彼が言った。「下がらせていただく前に、何か私に申し付けたいことはありますでしょうか?もちろん、もしあなたが夜に何か必要になった場合には私を起こしてくださって結構です。私の部屋は1階の正面玄関の左側です。そこにはもう一つ別な廊下があります。召使の全てがその翼棟におります。私の部屋はあなたの右手の最初の部屋です。内線電話がなくて申し訳ありません。お客様がいらっしゃることはめったにありませんので、この階のほとんどの部屋に電話線が引かれていないのです」

克哉はベッドの隣にあったクイーンアン様式(*6)の肘掛椅子に座った。「私はいくつかのことが知りたいのです、Walter」克哉が静かな声で言った。「私の祖父に何か起こったのでしょうか?彼はまだ生きているのですか?ここにいるのですか?」

「あなたのご質問にはお答えできません」Walterが言った。「Master Davidからご自分以外の誰もあなたにこの家と彼自身に関することを話さないよう言われております」

「私は彼の家族について尋ねていません。私は自分の家族について尋ねているのです。」

Walterは手袋をつけた指を唇にかざし、頭を振った。「あなたがMaster Davidにお話しする十分な機会を持った時に、あらゆることがすぐにあなたに告げられると信じております。とりあえずはお休みください」

克哉は深いため息をもらし、肩を前に丸めた。その日は意味をなさなかった。彼の腹部の締め付けられるような感じが強くなった。彼は自分の疲労に甘んじて従った。彼はあまりにもひどく疲れていたので、それ以上質問を続けることができなかった。「わかりました」彼が言った。「明日彼に尋ねます」

Walterは数歩前に進み、わずかにかがんで、克哉の手を取り、鍵を押し込んだ。「この部屋の錠の鍵です」身体をまっすぐにしながら、彼が言った。

克哉は鍵を手を握って、執事に感謝した。

もう一度お辞儀をし、Walterは彼にお休みなさいと告げて、退出した。

克哉は動こうと決心するまでもう数分かかった。彼は部屋の鍵を調べるために、明かりにかざした。それはシロメ(*7)で作られていたスケルトンキー(*8)だった。蛇のきめ細かい彫刻が開いた口と一方の端を形作っていた毒牙を持って、縦に沿って巻き付いていた。鍵の他方の端で溝がぎざぎさになっており、彼が今まで見たことがあったどんな鍵にも似ていなかった。

ほとんどまるで別世界に足を踏み入れたかのようだ・・・

彼は後に続いた考えを払いのけようとした。彼は脚に残されていた力をかき集め、立ち上がり、ドアに向かって歩いた。彼は鍵を錠に押し込み、回し、鍵が掛かったのを聞いてから、そこを立ち去った。

その後彼が目を覚ましたのは突然気付いたことがあったからだった。彼は寒さを意識する前からずっと身震いをしており、体を丸めながら、激しく震えていた。彼の周りに引き寄せされた重たい毛布があってさえも寒気はまだ体を這うように襲っていた。

その時、暖かさがある場所―彼の首の脇―に集まった。首に痛みを感じ、激しく驚愕した。その後に続いた温かい感覚が彼の身体の輪郭に沿って取りついた。それはあたかも誰かが彼と共にベッドに入り込み、彼を両手に抱え込んだかのようだった。彼はもはや震えていなかったが、首にまぎれもない痛みがまだあり、二つの熱い放射状桿はとても深くくい込んでいたので、彼は誓って自分の舌でそれらを感じることができると思った。

「お前は無事だ。じっとしていろ」

囁かれた言葉が彼の耳に入ってきた。それらは気をなだめさせるものであり、彼を落ち着かせた。まもなく彼はもはや痛みさえも感じず、温かさが更にしっかりと彼を抱き締めた時、まさに彼に打ち寄せた心地よい痺れ感となった。

<2章に続く>

*1:紙製のA4版収納可能なタブ付ファイルフォルダー。日本では販売されていない商品だそうです。イメージとしてはボックスファイルに入れて使っているファイルフォルダーのようなものです。日本のファイルフォルダーより紙が少し薄いみたいです。下の写真のようなものです。

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*2:1マイル≒1609.3m≒1.6kmなので、10マイルは約16km

*3:一人分の食器を置くためのテーブル敷き

*4:西洋の建物は主要館を中心に左右にシンメントリーに別棟がついている構造になっております。こんなイメージです。ちなみにこれは『ダルタニャン物語』の『ブラジュロンヌ子爵』に出てくるヴォー・ル・ヴィコントです。(ディカプリオ主演の映画「仮面の男」の舞台です。庭園側からではなく、入口側から撮影したものですが・・・)

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*5:flightとは1続きの階段を言います。図で階段のflightと呼ばれる部分を確認してください。これを3つ続けて上ったということです。

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*6:アン女王は18世紀初頭に在位したイギリスの女王です。この時代、フランスロココの影響を受けたガブリオール・レッグ(通称:猫脚)の家具が多く作られているそうなので、ここでいう肘掛椅子はロココ調の猫脚椅子をイメージしてください。こんな感じみたいです。(チッペンデールはクイーンアン様式の後みたいです。)

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*7:錫と鉛などの合金

*8:単純なデザインの鍵で、軸は円筒状で、先端に小さく平坦な矩形上の歯(合い形)がついているもの。また持ち手となる頭部も独特であり、全く飾り気のない平らなものと派手に装飾されたものがあるそうで、ここに出てきた鍵は後者ってことですね。イメージ図は以下の通り。

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コメント

こんにちは、凄いです、翻訳完了されてたんですね。それと品物とかの解説もあって助かりました。海外の文化に疎いので訳しきれず困る事が多々ありまして(汗)昔読んだ海外の小説でエッグノックってくだりでかなり混乱した思い出が(泣)ところでこの小説って続き出たら面白そうです、番外編で出たら良いですね。

もも様

こんにちはhappy01
拙訳をお読みいただき、ありがとうございますsweat01
もっと英語が堪能な方に訳していただけるとよかったんですけどね・・・(TOEIC700点以上持っているような、辞書いらずの方に・・・)sweat02

海外で当たり前でも日本では違うとか、あまり日本では知られていないこととか、説明がないとその表現をしている意味が分からないといった内容には絶対に訳注が欲しいと思っている人なので、この話に限らず、現在進行中の仏文小説においても同様に訳注をつけていますcoldsweats01。じゃないと自分もイメージできないんですよ。

私はわからないことはとことん調べないと気が済まない性質なのでcoldsweats01、私が持っている仏和辞典やwebの仏和辞典でも解決できないことはフランス版wikiを使って調べているという徹底ぶりですcoldsweats01。(これが意外と功を奏しています。)あとは私が勝手に師匠と仰いでいるお方に相談して教えていただいていますcoldsweats01

実はこのMaster Davidの話の中にもどうしてもわからない単語があって、webのLongmanやOxford英英辞典でも探してみたのですが、私の持っている英和中辞典やwebの英和辞典サイトに出てくる意味しかなかったというものがありました。

それは'spoke'です。自転車の車輪の中心軸から車輪に向かって出ているたくさんの細い棒がありますよね?あれのことらしいんです。名詞で他の意味がなくって・・・sweat02苦肉の策で、上記のように訳しています・・・sweat02

この作品の続きあるらしいですよ。準備中みたいです。今はコミケの新刊やITWのch10のご準備でお忙しいと思いますが、多分近いうちに書いてくださるんじゃないでしょうか?楽しみですね!

どうも、ご無沙汰しております♪
23日に【恋舞妓のランチミーティング2】に行って来ました!

紗矢佳ちゃん、杏佳ちゃんに会えてほんと!嬉しかったです(*^_^*)♪
またお二人と両手でガッチリ握手もしました(♡心臓bakubaku!!♡♡♡)
また紗矢佳ちゃんに「これからも恋舞妓よろしゅう〜おたのもうします」って言われました♡

詳細は
また後日にでもレポートしますが、とりあえずYouTubeに「京都遠恋物語」を載せましたので、良かったらご覧ください☆


旧恋舞妓(紗矢佳、杏佳)+新恋舞妓(紗月、紗千穂)の、恋舞妓初四人体制「京都遠恋物語」フルバージョン!

http://youtu.be/6BUxZC_PFuQ

みっちゃんミチミチ様

こんばんは~!!!
きゃ~~~っhappy02happy02happy02
待ってました~~~っhappy02!!!!!
もう「みっちゃんミチミチ様、いつコメントくださるかしら??」と心待ちにしておりましたよ~!!しかも待ちきれなくって、みっちゃんミチミチ様のブログまで確認しちゃったくらいに・・・coldsweats01

ちょっと私のブログ、現在「あなたの知らない世界」状態になっていてsweat01、きっとどこにコメントするか大変困られたかと思いますがcoldsweats01、コメントくださって、本当に本当にありがとうございます~happy02!!とってもうれしいで~~~すhappy02happy02happy02!!!

新旧恋舞妓4人でテーマソング合唱とはcoldsweats02!!
紗矢佳さんおきれいですね~lovelyそして杏佳ちゃん、あいかわらずの美しさ~lovelyうっとり~heart04途中でつっこみ入れている辺りが杏佳ちゃんらしいですねhappy01
噂の新舞妓の紗千穂さん、初めて認識しましたcoldsweats01。紗月ちゃん、もうおふくなんですね~。

どうでしたか、今年のファンミーティングは??去年の皆さんの不満が解消された会になっていたんでしょうか??会費高かったですけど、それは紗矢佳さんと杏佳ちゃんの御花代分??
本当にこの4人勢揃いの会に参加できたなんてうらやましいです~!!
そういえばつる居さん、仕込さんがいるらしいですね。恋舞妓、また増えるんでしょうか?coldsweats01

レポ楽しみにお待ちしてますね~happy02!!マジで楽しみにしています~!!

こんばんは〜
最近ちょいと忙しいのでこんな形でしか今はレポート出来ませんが…お許しくだされ!

各恋舞妓の登場シーンの動画です。

http://youtu.be/tMugAFdlvOs

http://youtu.be/heHgEWp-Lq8

みっちゃんミチミチ様

お忙しいところありがとうございます~happy02!!
またまたうれしいで~すhappy02happy02happy02!!!
杏佳ちゃん、この後オヤジギャグを飛ばしていたんでしょうかcoldsweats01??
お仕事落ち着かれたら、またぜひ色々教えてくださ~いhappy01!!

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