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2013年5月30日 (木)

9章:ムッシュー・ド・ロワニャック

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』を見つつ、原書のフランス語からの翻訳を行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

ムッシュー・ド・ロワニャックの後に今度はミリトールが転倒でぐったりして、怒りで真っ赤になりながら入ってきた。

「召使、紳士諸君、」ロワニャックが言った。「私には我々が大騒ぎしているように見えるぞ。ああ!ああ!メートル・ミリトールは見たところまだ不機嫌で、鼻が痛んでいるぞ。」

「人々は僕の殴打に報いてくれるだろう。」ミリトールがカルマンジュに拳を示しながら、ぶつぶつ不平を言った。

「料理を出してくれ、メートル・フルニション。」ロワニャックが叫んだ。「そしてもし可能なら各自隣と楽しむんだ。この瞬間以後は兄弟のように愛し合うことが重要だ。」

「ふん!」サント・マリーヌが言った。

「隣人愛は稀ですね。」ソースが豊富だったので、自分に事故が起こらないようにするために、シャラブルが彼の鉄灰色の胴着の上にナプキンを広げながら、言った。

「とても念入りに愛し合うことは難しいです。」エルノートンが付け加えた。「私達が長い間一緒にいないのは事実ですから。」

「見てください。」サント・マリーヌの嘲笑をまだ忘れられずにいたパンコルネが叫んだ。「人々は私が帽子を持っていないから、私をばかにしているのです。そしてムッシュー・ド・モンクラボーには何も言わない。彼はおそらく古代ローマ皇帝ペルティナクス時代からやってきた胴鎧を着て、夕食を摂りに行こうとしているのに・・・それは守勢であるということです!」

モンクラボーはむきになって、姿勢を正し、甲高い声で「紳士諸君、」彼が言った。「私はそれを脱ぎます。防戦的な武器を持つより攻撃的な武器を持っている私を見ることをより好まれる方々に対する意見です。」

そして彼は太った、白髪混じりの、50歳くらいの従僕に彼に近付くように合図をしながら、厳かに自分の胴鎧を紐解いた。

「さあ、静かに!静かに!」ムッシュー・ド・ロワニャックが言った。「そしてテーブルにつこう。」

「頼むから私からこの胴鎧を脱がせてくれ。」ペルティナが彼の従僕に言った。

その太った男はそれを両手で受け取った。

「それで、私は、」従僕が彼にとても低い声で言った。「私は同様に全然夕食に行けないんですか?それじゃあ私に何か出してくださいよ、ペルティナ、私はお腹が減って死にそうですよ。」

この不意の質問は驚くほど馴れ馴れしかったので、その言葉が交わされている彼の家を誰一人として驚かない人はいなかった。

「私の出来る限りのことをするよ。」彼が言った。「しかしもっと大いに確信するために、きみの方を調べなさい。」

「ふん!」その無愛想な従僕が言った。「ここには安心させるものは何もありませんよ。」

「きみは絶対に何も残していないのかい?」ペルティナが尋ねた。

「私たちはサン(Sens)で最後のエキュを使ったんですよ。」

「もちろん!試しに何かでお金を作ってくれ。」

彼が言い終えるや否や、通りで、それからホテルの入口で叫び声が聞こえた。

「古い鉄の商人です!誰か鉄やくず鉄を売りませんか?」

フルニションがテーブルに最初の料理を厳かに運んでいた間に、その叫び声で、フルニション夫人は扉の方に走った。

もしなされたもてなしから判断するとしたら、フルニションの料理はおいしかった。

フルニションは彼にかけられた賛辞のすべてと向き合うことができず、妻にその分け前を与えることを許したかった。

彼は目で彼女を探した。しかし無駄だった。彼女は姿を消していた。彼は彼女を呼んだ。

「一体彼女は何をしているんだ?」彼女が来ないのを見ながら、彼は見習いコックに尋ねた。

「ああ!メートル、お金の取引ですよ。」その彼が答えた。「彼女は新しいお金のためにあなたの古いくず鉄の全てを売るんですよ。」

「私の戦争の胴着も戦闘の兜も話題に上っていないことを願うよ!」フルニションは扉の方に突進しながら、叫んだ。

「それはだめだ、それはだめだ。」ロワニャックが言った。「武器を買うことは国王の法令によって禁止されているのだから。」

「そんなことはどうでもいいです。」フルニションが言った。

そして彼は扉の方に走った。

フルニション夫人が勝ち誇って戻って来た。

「あら、どうしたの?」大変ぎょっとしていた夫を見ながら、彼女が言った。

「きみは私の武器を売っていると思ったんだが。」

「それでどうだというの?」

「私はそれらを売りたいと思わないと言うことだ、私は!」

「へえ!私たちは平和な状態にいるのだから、古い胴着よりも新しいシチュー鍋の方が役に立つのよ。」

「しかしながら、さっきムッシュー・ド・ロワニャックが話した国王のこの法令以来、古い鉄の彼はかなり貧しい商売をしているに違いない。」シャラブルが言った。

「全く逆ですわ、ムッシュー。」フルニション夫人が言った。「ずっと前からその同じ商人が提案して私を誘っていましたの。もちろん、今日は私はそれに抵抗できませんでしたわ。そしてその機会を再び見つけたので、私は彼を捕まえましたの。10エキュですよ、ムッシュー、10エキュ、古い胴着に過ぎないものが。」

「何だって!10エキュ!」シャラブルが言った。「それはとても高いじゃないか?うわっ!」

そして彼は物思いに耽った。

「10エキュ!」ペルティナが彼の従僕に雄弁な一瞥を投げながら、繰り返した。「きみは聞いているか、ムッシュー・サミュエル?」

しかし、ムッシュー・サミュエルはもはやそこにはいなかった。

「何と!しかし、」ムッシュー・ド・ロワニャックが言った。「私にはその商人は絞首刑の危険を冒しているように思われるが?」

「おお!とても優しく、とても協調的な勇敢な人ですよ。」フルニション夫人が答えた。

「しかしその全てのくず鉄で何をするんだ?」

「彼はそれを重さで転売するのですって。」

「重さで!」ロワニャックが言った。「あなたは彼があなたに10エキュ与えたと言っていますね?何に対してです?」

「古い胴鎧1つと古いがらくた1つですわ。」

「それらが20リーヴルの重さがあって、10エキュになったと推測したら、1リーヴル半エキュだ。何てことだ!私の知り合いのある人が言っていたように、これは謎を隠しているな!」

「どうしてその勇敢な商人の男を私の城に捕まえておけなかったのか!」目が輝いていたシャラブルが言った。「私は彼に3000リーヴルの重さのある兜や腕甲や胴鎧を売るだろうに。」

「何と!きみはきみの先祖の甲冑を売るのですか?」サント・マリーヌが冷やかすような口調で言った。

「ああ!ムッシュー、」ユスターシュ・ド・ミラドゥーが言った。「あなたは間違っていますよ。それは神聖なる聖遺物です。」

「へえ!」シャラブルが言った。「ちょうど今、私の先祖自身が聖遺物になっている。そしてもはやミサの必要がないよ。」

食事時間はフルニションの香料が消費を加速したブルゴーニュワインのおかげで、興奮しようとしていた。

落下のことを考えていたミリトールと小姓のことを考えていたカルマンジュを除き、声の銚子は上の高さまで上がり、皿が鳴り、脳は各々のガスコーニュ人が全てのものが薔薇色になっているのを見たものを通り抜けた湯気でいっぱいになった。

「ここにはたくさんの陽気な人々がいる。」ロワニャックが隣の人に言った。それはまさにエルノートンだった。「そして彼らはどうしてなのかを知らない。」

「私も知りません。」カルマンジュが答えた。「私としては例外をなしていて、少しも陽気じゃないのは事実です。」

「きみは自分について間違っている、ムッシュー。」ロワニャックが答えた。「と言うのも、きみはパリが金の宝庫であり、名誉の楽園であり、至福の世界であるると思っている人だからだ。」

エルノートンは頭を振った。

「まあ!さあ!」

「私を冷やかさないでください、ムッシュー・ド・ロワニャック。」エルノートンが言った。「そして陰で全てを操り、我々の大多数を動かしているように見えるあなたがどうか少なくともエルノートン・ド・カルマンジュ子爵を酒飲みの喜劇役者になるように引っ張らないでくださることをお願いいたします。」

「私はその上きみにそれとは別の許しを与えるつもりだよ、子爵殿。」ロワニャックが礼儀正しく身をかがめながら、言った。「私は最初から全ての者の中からきみを一目で見分けたよ。きみの目は高潔で、優しい。そしてあそこの他の若者の目は陰険で、陰気だ。」

「あなたは誰のことをおっしゃっているのです?」

「ムッシュー・ド・サント・マリーヌだよ。」

「では、もしこの依頼が私の方の少しばかり大きな好奇心になっていなければ、なぜこの区別をなされたのか理由をお聞かせくださいませんか?」

「私はきみを知っているということさ。要するにそれだけのことだ。」

「私を。」エルノートンが驚いて、言った。「私を、あなたは私をご存知なのですか?」

「きみと彼を、彼とここにいる全員を。」

「それは奇妙ですね。」

「そうだ。しかし必要なことだ。」

「なぜ必要なのです?」

「長は自分の兵士たちを知らなければならないだからだ。」

「それではこれらの男たち全員は・・・」

「明日私の兵士たちになるだろう。」

「しかし私は思っていました。ムッシュー・デペルノンが・・・」

「静かに!ここでその名前を口にしてはならない。より正確に言えばここではいかなる名前も口にしてはならない。耳をそばだてなさい。そして口を閉じなさい。私はきみにすべて許すと約束したのだから、先ずこの忠告を手付金のように受け取りなさい。」

「ありがとうございます、ムッシュー。」エルノートンが言った。

ロワニャックは口ひげを拭い、立ち上がった。

「紳士諸君、」彼が言った。「偶然がここに45人の同胞たちを集めたので、列席者全員の幸運のためにこのスペインのワインのグラスを飲み干そうではないか。」

この提案は熱狂的な拍手喝采を呼び起こした。

「彼らの多くが酔っている。」ロワニャックがエルノートンに言った。「これは各々に自分の歴史を語らせるのによい機会だろう。しかし、我々には時間がないのだ。」

それから大声を上げながら、

「おい!メートル・フルニション、」彼が言った。「ここからすべての女性たち、子供たち、従僕たちを立ち去らせなさい。」

ラルディーユは悪態をつきながら、立ち上がった。彼女はデザートを全然食べ終えていなかった。

ミリトールは全く動かなかった。

「あそこで私の話を聞いたかね?」ロワニャックが反論を許さない一瞥と共に言った。「さあ、さあ、台所へ、ムッシュー・ミリトール!」

まもなく広間にはもはや45人の会食者たちとムッシュー・ド・ロワニャックしか残っていなかった。

「紳士諸君、」後者が言った。「きみたちの各々が誰がパリに来させたのか知っている、あるいは少なくとも気付いている。よろしい、よろしい、彼の名前を叫んではならぬぞ。きみたちは彼を知っている、それで十分だ。同様にきみたちは彼に従うためにやって来たことも知っている。」

同意のつぶやきが広間の全ての部分から挙がった。各々が自分に関係している人をただ知っているだけで、自分の隣人が同じ人物の力によって動かされて、やって来たことを知らなかったように、驚きと共に互いを見つめ合った。

「よろしい。」ロワニャックが言った。「きみたちは後できみたちを見るんだ、紳士諸君。安心し給え、きみたちは知り合いになるための時間がある。それではきみたちはその人に従うためにやって来た、それを覚えているな?」

「はい!はい!」その45人が叫んだ。「我々はそれを覚えています。」

「さあ!手始めに、」ロワニャックが続けた。「きみたちはきみたちに指示された家に住みに行くためにこのホテルからそっと立ち去るんだ。」

「全員ですか?」サント・マリーヌが尋ねた。

「全員だ。」

「我々全員が呼び寄せられたんだ。我々はここでは全員平等だ。」足がとてもおぼつかなくなっていたので、重心を支えるために、シャラブルの首の周りに腕を運ばなければならなかったペルデュカが続けた。

「さあ、気をつけろ。」シャラブルが言った。「きみは私の胴着をしわくちゃにしているぞ。」

「そうだ、全員が平等だ。」ロワニャックが答えた。「主人の意志の前では。」

「おお!おお!ムッシュー、」カルマンジュが顔を紅潮させながら、言った。「失礼、しかし人々は私にムッシュー・デペルノンが私の主人と呼ばれるとは言わなかったのです。」

「待ちなさい!」

「それは全く私が納得したことではありません。」

「しかし、ちょっと待ちなさい、嫌な奴だ!」

さらに大多数から好奇心の強い沈黙が、そして他の数名の側からは待ちきれない沈黙が生じた。

「私はきみたちにまだ誰がきみたちの主人になるのかを言っておらんぞ、紳士諸君・・・」

「はい、」サント・マリーヌが言った。「しかしあなたは私たちに一人の主人を持つことになるだろうと言いました。」

「すべての人々が一人の主人を持っているぞ!」ロワニャックが叫んだ。「しかし、もしきみたちの様子がきみたちが言ったばかりのところで立ち止まるにはあまりにも高潔すぎるのなら、先を探せ。私はきみたちにそれを禁じないだけでなく、許可もする。」

「国王だ。」カルマンジュが呟いた。

「静かに。」ロワニャックが言った。「きみたちは従うためにここにやって来たのだ。それゆえ従うんだ。さしあたり、これは私にきみが大声で読む喜びを与えさせる命令だよ、ムッシュー・エルノートン。」

エルノートンはムッシュー・ド・ロワニャックが彼に差し出した羊皮紙をゆっくりと広げた。そしてそれを大声で読んだ。

『ムッシュー・ド・ロワニャックに、陛下の承認と共に私がパリに呼び寄せた45人の紳士諸君の指揮をするために彼らを受け取りに行くことを命令する。

デペルノン公爵ノガレ・ド・ラ・ヴァレット』

酔っているのか、あるいは沈着冷静なのか、全員が敬意を表して、頭を下げた。起き上がる時に、均衡の中で不均衡はなかった。

「従って、きみたちは私の言うことを聞くのだ。」ムッシュー・ド・ロワニャックが言った。「きみたちは今すぐに私に従うことが重要だ。きみたちの供回りの一行、ここに留まっている人々はメートル・フルニションの家で世話をするだろう。そしてそこで私は後でそれらを取り戻すだろう。しかし、今のこところは急ぐんだ。船が待っている。」

「船だって!」ガスコーニュ人全員が繰り返した。「我々はそれじゃあ船に乗って行くんだ?」

そして彼らは彼らの間で好奇心に飢えた視線を交わし合った。

「確かに、」ロワニャックが言った。「きみたちは乗船して行くことになる。ルーヴルに行くためには水を渡らなければならなくないかね?」

「ルーヴルへだって、ルーヴルへだって!」ガスコーニュ人たちは喜んで呟いた。「おやまあ!私たちはルーヴルに行くんだ!」

ロワニャックはテーブルを離れ、羊のように数えながら、彼の前で45人を通過させ、そして彼らを通りを通って、ネスルの塔まで案内した。

そこには船に各々15人の乗客が乗った3槽の大きなボートがあった。そして岸から遠ざかった。

「一体全体我々はルーヴルに何をしに行くんだ?」川の冷たい空気で酔いを覚ましたとても大胆な者が尋ねた。そして多くはとてもけちけち包み隠した。

「もし私が少なくとも私の胴鎧を持っていたなら!」ペルティナ・ド・モンクラボーが呟いた。

<2013.5.30修正済>

2013年5月26日 (日)

8章:ガスコーニュ人のシルエット

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』を見つつ、原書のフランス語からの翻訳を行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

我々はフルニション夫人がその見知らぬ人が彼女に勧告したのと同様に絶対に慎み深かったとは敢えて言うまい。更に彼女は自分が『高潔な騎士の剣』に対してメートル・フルニションに与えた優位によっておそらく自分の義務の全てから解放されたと思っていた。しかし、彼女は人々が彼女に言わなかったことを見抜き続けるかのように、しっかりとした土台に築かれた彼女の推測を明らかにするために、自分の同胞たちに対する手厚いもてなしのためにとても気前よく支払った名前の分からない騎士が何者であるかを探し始めた。同様に、彼女は通り過ぎるのを見た最初の兵士に閲兵式に立ち寄った隊長の名前を質問することを忘れなかった。

その兵士は多分質問者に対して慎重な性格で、答えるより前にどんな目的で彼女がその質問をするのかを尋ねた。

「彼がここから出て行ったからですわ。」フルニション夫人が答えた。「彼は私達とお話ししたんですの。そして私達がお話しした人が誰かを知ることは大きな喜びですわ。」

その兵士は笑い始めた。

「閲兵式を指揮していた隊長は『高潔な騎士の剣』には入らないでしょう、マダム・フルニション。」彼が言った。

「それはどうしてですの?」女主人が尋ねた。「それじゃあ、彼はそうするにはあまりにも大貴族過ぎるってことですの?」

「多分。」

「まあ!もし私が彼が『高潔な騎士』のホテルに入ったのは自分のためではないと言ったら?」

「それでは誰のためにです?」

「お友達のためにです。」

「閲兵式を指揮していた隊長はご友人たちを『高潔な騎士の剣』には泊めないだろうと私は答えたんですよ。」

「何ですって!あなたは慌て者のようね、私の勇者さん!それじゃああまりにも大貴族過ぎるその紳士がお友達を泊めるためのパリの最高のホテルはどこなの?」

「あなたは閲兵式を指揮していた彼について話しているんですよね?」

「多分。」

「それでは!私の善良なご婦人よ、閲兵式を指揮していた彼はただ単に、フランスの大貴族で、国王の歩兵隊の上級大佐で、陛下ご自身よりももう少し王者である、ノガレ・ド・ラ・ヴァレット・デペルノン(Nogaret de La Valette d'Epernon)公爵閣下ですよ。さあ!あなたはその彼のことについて言っていますよね?」

「もしいらしたのが彼でしたら、私には名誉なことですわ。」

「あなたは彼が『何てことだ(parfandious)』を言うのを聞きましたか?」

「まあ!まあ!」自分の人生においてたくさんの信じられないようなことを見て、『何てことだ』という言葉を全く知らなかったわけではなかったフルニション夫人が彼に答えた。

今人々は10月26日がいらいらして待たれているかどうかを判断することができる。

25日の夜、一人の男が十分に重たそうな袋を持ちながら入ってきて、フルニションの立食テーブルの上にそれを降ろした。

「明日のために注文した食事の値段だ。」彼が言った。

「一人当たりおいくらですか?」夫婦が一緒に尋ねた。

「6リーヴルだ。」

「隊長の同胞の皆さんはそれではここでたった1回の食事で終わらせるんですか?」

「1回きりだ。」

「それでは隊長は彼らに家を見つけたのですか?」

「そのように思われる。」

そして使者は『薔薇の木』と『剣』の質問を無視して、彼らの誰にもそれ以上答えることを望まず、立ち去った。

とうとう、その日が『高潔な騎士』の台所にとても現れたがった。

12時半の鐘がオー・ゾーギュスタン(aux Augustins)で鳴ったばかりの時に騎士たちがホテルの入口で立ち止まり、馬から降り、中に入った。

彼らはビュッシー門からやって来た。そして、自然に自分たちが最初に到着したと気付いた。まず、彼らは馬を持っていたからであり、次に『剣』のホテルがビュッシー門から100歩足らずのところにあったからだった。

彼らの長であるように見えた一人は贅沢のためにとても顔色が良く、二人の従僕を連れて、上手に馬に乗ってやって来た。

各々がクレオパトラの絵の印章を提示し、とりわけ、二人の従者を連れた若者については夫婦によってあらゆる種類の親切な行為と共に受け取られた。

しかしながら、後者を除いて、新しい到着者たちは遠慮がちに、そしてある不安と共に身を落ち着かせているだけだった。とりわけ彼らが無意識にポケットに手を運んだ時、深刻な何かが彼らの心を奪っているように見えた。

ある者たちは休息することを願い、他の者たちは夕食前に街を歩き回ることを願った。二人の従者を連れた若者はパリの中で見る新しい物がないかどうか尋ねた。

「もちろんですわ。」その顔色の良い騎士に敏感なフルニション夫人が言った。「もしあなたが群衆を恐れず、4時間続けて立ち止まっていることにたじろがないのでしたら、スペイン人と陰謀を企てたムッシュー・ド・サルセドを見に行くことで気晴らしができると思いますわ。」

「おや、」若者が彼女に言った。「本当だ。私はそのことについて話しているのを聞いていたよ。私はそこに行こう、そうだ!」

そして彼は二人の従僕と共に立ち去った。

2時頃、4~5つのグループによる12人の新しい旅行者たちが到着した。

その中のある者たちは一人で到着した。

同様に、帽子がなく、手に細くしなやかなステッキを手にして、隣人のように入ってきた人がいた。彼はパリに向かって断言した。そこでは泥棒たちがとても大胆で、グレーヴの側で1つの集団を通り抜けている途中に彼の帽子を奪われ、そしてあまりにも巧妙だったので、彼はそれが奪われるのを決して見なかったと。

にもかかわらず、それは彼の過失だった。彼はとても素晴らしいブローチで飾られた帽子と共にパリに入るべきではなかったのだった。

4時頃、すでに40人の隊長の同胞たちがフルニションのホテルの中に身を落ち着けていた。

「奇妙じゃないかい?」主人が妻に言った。「彼らは全員ガスコーニュ人だ。」

「それのどこが奇妙だと思うのよ?」夫人が答えた。「隊長は自分が迎えるのは同胞たちだと言っていたじゃないの?」

「えっ?」

「彼自身がガスコーニュ人なのだから、彼の同胞たちはガスコーニュ人でなければならないわ。」

「おや、本当だ。」主人が言った。

「ムッシュー・デペルノンはトゥールーズ出身じゃないの?」

「本当だ、本当だ。それじゃあお前は相変わらずムッシュー・デペルノンだと思っているんだな?」

「彼は有名な『何てことだ』をうっかり3回口にしていたじゃないの?」

「彼が有名な『何てことだ』をうっかり口にしただと?」フルニションが不安そうに尋ねた。「その動物は一体何なんだ?」

「バカね!彼のお気に入りの罵り言葉でしょ。」

「ああ!まさにそうだ。」

「だからただあなたは45人のガスコーニュ人を持たなければならない時に40人のカスコーニュ人がいるってことに驚いているだけよ。」

さて、5時頃、その他の5人のガスコーニュ人たちが到着し、『剣』の会食者たちは全員揃っていた。

今までそのような驚きがガスコーニュ人たちの顔を晴れやかにしたことはなかった。1時間の間に、いくつかの「saudioux」、いくつかの「mordioux」、いくつかの「cap de Bious!」(*1)があり、ついに喜びの衝動でとても騒々しくなり、フルニション夫妻にとっては全てのサントンジュ(Saintonge)の人々、全てのポワトゥー(Poitou)の人々、全てのオーニ(Aunis)の人々、そして全てのラングドック(Languedoc)の人々が彼らの大広間に乱入してきたかのように思えた。

ある者たちは知り合いだった。

従って、ユスターシュ・ド・ミラドゥーは二人の従僕を従えた騎士を抱擁しにやって来た。そして彼にラルディーユ、ミリトールそしてスキピオを紹介した。

「どんな偶然できみはパリにいるんだい?」この彼が尋ねた。

「でもあなたも同じですけど、私の親愛なるサント・マリーヌ?」

「私は軍での仕事があるんだ。それできみは?」

「私ですか、私は相続のことのためにやって来ています。」

「ああ!ああ!それじゃあきみはいつもきみの後ろに年上のラルディーユを連れているのかい?」

「彼女が私の後について来ることを望んでいたのです。」

「彼女がスカートの後ろに連れているこの全ての人たちがきみを困らせる代わりに、きみはこっそり出発できなかったのか?」

「できません、代理人の手紙を開けたのは彼女なんですから。」

「ああ!きみは手紙によってその相続の知らせを受け取ったのだな?」サント・マリーヌが尋ねた。

「そうです。」ミラドゥーが答えた。

それから急いで会話を変えた。

「稀に見ることじゃありませんか?」彼が言った。「このホテルが一杯なことと同胞たちで一杯なのは?」

「いや、全然稀に見ることじゃないさ。看板が名誉ある人々の食欲をそそるのさ。」我々のかつての知り合いのペルデュカ・ド・パンコルネが会話に混ざりながら、邪魔をした。

「ああ!ああ!あなたですか、仲間よ。」サント・マリーヌが言った。「あなたはあの大変な人混みが私たちを別れさせた時にグレーヴ広場の辺りで話そうとしていたことをまだ私に説明していませんでしたね?」

「私があなたに何を説明しようとしていたのです?」パンコルネが幾分顔を赤らめながら、尋ねた。

「えっ、アングレーム(Angoulême)とアンジェ(Angers)の間の道で、私はあなたに偶然出会いましたよ。私が今日あなたを見ているように、徒歩で、細いステッキを手にして、帽子を被らずに。」

「それがあなたの心を奪っているんですか、ムッシュー?」

「もちろん、そうですよ。」サント・マリーヌが言った。「ポワティエ(Poitier)はここから遠い。そしてあなたはポワティエの更に遠くからやって来ているのですから。」

「私はサン・タンドレ・ド・キュブサック(St.Andre de Cubsac)からやって来ました。」

「あなたをご覧なさい、そしてそのように帽子なしで?」

「容易いことです。」

「私は分かりませんよ。」

「もちろんです。そしてあなたはこれから理解するでしょう。私の父は2頭の素晴らしい馬を持っていました。そして彼は私に起きた不幸の後、私からそれらの相続権を奪うことができるようにしていたんですよ。」

「それで、あなたに起こった不幸とは何なのです?」

「私がその2頭のうちの最も美しい1頭を散歩させていた時に、突然火縄銃が私から10歩のところで発射されて、私の馬は驚いて、逆上して、ドルドーニュ(Dordogne)川に向かったのですよ。」

「そこに馬が突進した?」

「もちろん。」

「あなたも一緒に?」

「いいえ、幸いなことに私には地面に滑り降りる時間がありました。それがなければ、私は馬と共に溺れていましたよ。」

「ああ!ああ!それではその哀れな動物は溺れてしまったのですか?」

「ふん!あなたはドルドーニュ川をご存知だ。幅が半リュー(約2km)ある。」

「それから?」

「それから私は家に戻らないことと父の怒りから私を出来る限り最も遠くに逃れさせることを決めたんです。」

「しかしあなたの帽子は?」

「うるさいなあ、ちくしょう!私の帽子は落っこちてしまったのですよ。」

「あなたのように?」

「私ですか、私は落っこちませんでしたよ。私は地面に滑り降りるがままになっていましたよ。パンコルネのような人が馬から転びませんよ。パンコルネ家の人々は生まれながらにして上手な騎手なのですよ。」

「それは有名ですね。」サント・マリーヌが言った。「しかしあなたの帽子は?」

「ああ!私の帽子?」

「そうです。」

「だから私の帽子は落っこちたのですよ。私はそれを探し始めました。というのは私はお金を持たずに出てきてしまったので、それが私の唯一の財産だったからです。」

「それで、どうやってあなたの帽子が資産になりうるのですか?」サント・マリーヌがパンコルネを激怒させることを決めて、しつこく言い張った。

「ちくしょう!大きなものだったのに!この帽子の羽飾りは皇帝カール5世陛下がスペインからフランドルに行く時に、私たちの城に立ち寄った際に祖父に下賜されたダイヤモンドのブローチで留められていたということをあなたにお話ししなけれなりません。」

「ああ!ああ!そしてあなたはブローチと帽子を一緒に売ってしまったのですね。それから、私の親愛なる友よ、あなたは私達全ての中で最もお金持ちになっている。そしてあなたはブローチのお金で2つ目の手袋を買うべきでしたね。あなたは不揃いな両手を持っている。一方は女性の手のようにに白く、もう一方は黒人の手のように黒い。」

「うるさいなあ。私が帽子を探すためちょうど振り返った時に、巨大なカラスがその上にいたのを見たんですよ。」

「あなたの帽子の上に?」

「より正確に言えば私のダイヤモンドの上にです。この動物が輝いているものの全てをこっそり盗むことはあなたもご存知でしょう。だからそれは私のダイヤモンドの上にいて、私からそれを盗んでいったのですよ。」

「あなたのダイヤモンドを?」

「そうです、ムッシュー。私はまず目でそれを追い、それから走りながら、叫んだんです。『待て!待て!泥棒!』ちくしょう!わずか5分で、カラスは見えなくなってしまいましたよ。そして私はもう二度と話したくありませんよ。」

「それでこの二重の損失によって打ちひしがれていたと・・・」

「私はもはや思い切って父の家に戻ることはしませんでした。そして私はパリに幸運を追い求めにやって来ることを決めたのです。」

「いいぞ!」3番目の人が言った。「おやおや、風がカラスに変わりましたね。私はあなたが恋人からの手紙を読むのに心を奪われて、風があなたから手紙と帽子を運び去り、そして真のアマディス(*2)のように、あなたは手紙の後を追い、帽子はそれがよいと思うところに行かせるままにしたとムッシュー・ド・ロワニャックに話すのを聞いたように思いますが?」

「ムッシュー、」サント・マリーヌが言った。「私は光栄にもドービーニュ(d'Aubigné)氏を知っています。彼は勇敢な兵士ですが、かなり筆がたちます。あなたが彼に会う時に彼にあなたの帽子の話を物語りなさい。そして彼は素敵な短い物語を作ってくれるでしょう。」

いくつかの半分息を詰まらせた笑い声が聞こえた。

「ああ!ああ!紳士諸君、」いらいらしたそのガスコーニュ人が言った。「もしや私を笑っているのですか?」

各々が更に気楽に笑うために引き返した。

ペルデュカは自分の周りに探るような視線を投げ、そして暖炉の近くに両手で顔を隠している若者を見た。彼はその彼がよりよく隠れるために同様に振る舞っていないと信じた。

彼はその彼のところへ行った。

「ああ!ムッシュー、」彼が言った。「もしあなたが笑っているのなら、あなたの顔が見えるように、少なくとも面と向かって笑いなさい。」

そして彼はその若者の肩を叩いた。若者は深刻で厳しい顔を上げた。

その若者はグレーヴ広場での異常な出来事にまだ大変茫然としていた我らが友のエルノートン・ド・カルマンジュに他ならなかった。

「すみませんが、私をそっとしておいてください、ムッシュー。」エルノートンがペルデュカにに言った。「そして、何よりも、もしあなたがまだ私に触れているのなら、手袋を持った手で私に触らないでください。あなたは私があなたのことで心を奪われている訳ではないことをお分かりのはずだ。」

「結構なことだ!」パンコルネがぶつぶつ不平を言った。「もしあなたが私について心を奪われていないのなら、何も言うことはない。」

「ああ!ムッシュー、」ユスターシュ・ド・ミラドゥーが最も協調的な意図を持って、カルマンジュに言った。「あなたは私たちの同胞に対して愛想がよくありませんよ。」

「何ですって、あなたは口出ししているのですか、ムッシュー?」エルノートンがますます苛立って答えた。

「あなたは正しい、ムッシュー。」ミラドゥーは挨拶しながら、言った。「それは全く私には関係のないことです。」

そして彼は大きな暖炉の隅に座っていたラルディーユの元へ戻ろうとして踵の向きを変えた。しかし、誰かが彼の通過を妨げた。

それはベルトに両手を入れ、唇に嘲笑的な笑いを浮かべたミリトールだった。

「ねえ、お義父さん?」その不良少年が言った。

「それで?」

「あなたは何を言うの?」

「何だと?」

「この紳士があなたをやり込めた仕方にさあ?」

「何だって!」

「彼は見事なやり方であなたに衝撃を与えたんだよ。」

「ああ!お前はそれに気付いたのか、お前が?」ユスターシュがミリトールの向きを変えようと試みながら、言った。

しかし、この彼は左に行きながらその策略を失敗させ、再び彼の前に戻った。

「単に僕だけじゃなく、」ミリトールが続けた。「更に全ての人達にもさ。ご覧よ、それぞれが僕たちの周りで笑っているのを。」

人々が笑ったのは事実だ。しかし、他の事でそうしたのでもなかった。

ユスターシュは石炭のように赤くなった。

「本当に、本当に、お義父さん、問題に手を付けずに放っておいちゃダメだよ。」ミリトールが言った。

ユスターシュは攻撃的な態度を取り、カルマンジュに近づいた。

「人々が強く主張しています、ムッシュー。」ユスターシュがカルマンジュに言った。「あなたは私を特に不愉快にさせたいのですか?」

「それはいつのことです?」

「さっきですよ。」

「あなたに対して?」

「私に対してです。」

「それで誰がそれを強く主張しているんですか?」

「ムッシュー。」ユスターシュがミリトールを示しながら、言った。

「それでは、ムッシュー。」カルマンジュがその呼称を皮肉に強調しながら答えた。「それではムッシューは軽率な若者ですね。」

「おお!おお!」ミリトールが激怒して言った。

「そして私は彼に誓います。」カルマンジュが続けた。「私に全然皮肉を与えに来ていないと。あるいはそうでなければ私はムッシュー・ド・ロワニャックの忠告を思い出すでしょう。」

「ムッシュー・ド・ロワニャックは私が軽率な若者だとは全く言いませんでしたよ、ムッシュー。」

「いいえ、彼はあなたをバカと言いました。あなたはそちらを好みますか?私にとって大して重要なことじゃありません。もしあなたがバカだとしたら、私はあなたを鞭打つでしょう。もしあなたが軽率な若者なら、私はあなたの羽をむしり取るでしょう。」

「ムッシュー、」ユスターシュが言った。「それは私の義理の息子です。私を考慮して、彼をもっとよく扱ってください。」

「ああ!ご覧なさい、あなたが僕を守るのを、お義父さん!」ミリトールがひどくいらいらして、叫んだ。「もし彼がそうするのなら、僕は全く一人でもっとよく自分を守りますよ。」

「学校に行け、子供たちよ!」エルノートンが言った。「学校へ!」

「学校だって!」ミリトールが前に進みながら、叫び、拳をムッシュー・ド・カルマンジュの上に挙げた。「僕は17歳だと聞いていますか、ムッシュー?」

「そして私については25歳だよ。」エルノートンが言った。「それが私があなたの能力に応じてあなたの素行を改めようとする理由だよ。」

そしてエルノートンはミリトールの襟とベルトを掴みながら、ミリトールを地面から持ち上げ、彼が荷物であるかのように、1階の窓から通りに投げた。そして、この一方ラルディーユは壁を崩壊させるような叫び声を挙げた。

「今、」エルノートンが静かに付け加えた。「もしまだ人々が私の邪魔をするのなら、義父、義母、義理の息子、そしてこの世のすべての家族を私は肉からパテにします。」

「そうだ、」ミラドゥーが言った。「私は彼が正しかったと思います、私は。なぜ彼をいらいらさせるのですか、この紳士は?」

「ああ!臆病者!臆病者!誰が彼の息子を殴らせたいのですか?」ラルディーユがユスターシュの方に前進しながら、そして散らばった髪を振り乱しながら、叫んだ。

「まあ、まあ、まあ。」ユスターシュが彼の性格を作っている落ち着きで、言った。

「何だと!まさか、ここでは窓から人々を投げるのかい?」入りながら、一人の将校が言った。「ちくしょう!この種の冗談に熱中している時は少なくとも『その下に気をつけろ』と叫ばなければならないぞ。」

「ムッシュー・ド・ロワニャック!」およそ20ばかりの声が叫んだ。

「ムッシュー・ド・ロワニャック!」45人が繰り返した。

全てのガスコーニュ人たちに知られていたこの名前に対し、各々が立ち上がり、沈黙した。

<2013.5.26修正済>

*1:saudioux, mordioux, cap de Bious

いずれもガスコーニュ地方特有の間投詞・罵倒表現と推察。意味の検索不能。

*2:Amadis

1508年にスペインで出版されたという『Amadis de Gaule』というお話の主人公のようです。

2013年5月24日 (金)

7章:『高潔な騎士の剣』が『薔薇の木』の上にある理由

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』を見つつ、原書のフランス語からの翻訳を行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

我々が語ったばかりである会話の間、夜がやってきて、2時間前とても騒々しかった街を湿っぽい靄のコートで覆い隠した。

更に、サルセドは死に、見物人たちはそれぞれの棲家に戻るつもりだった。そして人々は、昼間同じ場所の辺りに一緒に行った好奇心の強い人々の途切れない鎖の代わりに、もはや通りに散乱している集団しか見なかった。

グレーヴから最も遠く離れた地区まで、中心で起きた長い動揺の後を容易に理解できる十分な身震いの名残があった。

従って、我々はこの時間をこの物語の始まりの場面に置いていた、ある登場人物たちを追うために、そして新しい登場人物を知らせるために、例えば、ビュッシー門の側に移動しなければならない。我々が話すこのはずれでは、人々は薔薇色で薄く色のついた、そして青と白のペンキで引き立てられたある家が、日没時のミツバチの巣のようにざわめいているのを聞いていた。その家は「高潔な騎士の剣の家」と呼ばれ、しかしながら、それはこの新しい地区に近頃開業した途方もない大きさのホテルでしかなかった。

その頃、パリは勝利を収めた看板を持たない唯一の上等なホテルを持っていなかった。『高潔な騎士の剣』は全ての趣味を集め、全ての共感をまとめるために取っておかれた素晴らしい展示の1つだった。

人々はエンタブラチュア(*1)の上に大天使あるいは聖人が、ヒュッポリュトス(*2)の怪物のように炎と煙の噴射を発している竜と闘っているのを見た。画家は英雄的であると同時に信心深い感情に駆り立てられ、武装した高潔な騎士の両手に剣ではなく、巨大な十字架を置き、騎士はそれを使って、最も鋭利な刃でよりも上手に不幸な竜を2つに切り、その断片は地面に血を流していた。

人々は実際には看板を、より正確に言えば絵を見た。と言うのは、看板はその名前に十分確実に値したからだ。人々はたくさんの見物人が宙に腕を上げ、一方空では天使たちが高潔な騎士の兜の上で月桂樹と棕櫚を広げているのを見た。

最後に、前景には、その芸術家が全ての種類のものを描いたことを証明したがって、いくつかの西洋かぼちゃ、ぶどう、タマオシコガネ、蜥蜴と、薔薇の上のかたつむりを集めていた。とうとう2頭のうさぎは一つは白で、もう一つは灰色で、色の違いにもかかわらず、意見の違いを示していたかもしれなかったが、サタンに他ならない寓話的な竜の上で高潔な騎士によって勝ち取られた記念すべき勝利に多分歓喜しながら、鼻を掻いていた。

確かに、看板の所有者はとても気難しい性格の人であるか、あるいは画家の良心に満足しているに違いなかった。実際に、彼の画家はその空間の輪郭を失っていなかった。そして、もし絵に虫けらを付け加えなければならなかったとしたら、場所が不足していただろう。

今から我々は一つのことを告白する。そしてこの告白はつらいもので、我々の歴史家の良心に押し付けられたものである。居酒屋が看板のように十分な日々繁盛していることがこの美しい看板からは生じなかった。逆に我々が後程説明しに行く理由によって、読者が理解するだろうことを願う。我々は時々とさえも言えないだろう。確かにほとんどいつも「高潔な騎士」のホテルはひどく空いている状態だった。

しかしながら、我々の時代の人々が言うように、その家は大きく、設備がよかった。四角に建てられ、大きな土台によって地面にしっかり固定され、その看板の上には各々に八角形の部屋を含んだ4つの小塔を伸ばしていた。全ての骨組みが木の面であることは事実である。しかし、家全体が男性たちの、何よりも女性たちのお気に入りになりたがるものでなければならないように、小奇麗で、不思議なものだった。しかし、そこには不幸が隠れて存在していた。

人は全ての人を気に入らないかもしれないのだ。

しかしながら、上記は『高潔な騎士』の女主人である、フルニション(Fournichon)夫人の確信ではなかった。この確信に従って、彼女は夫に、パリの他の地区同様に、ビュッシーの十字路で恋人たちのために焼き串を回し、穴にワインを置くために、サン・トノレ通りで細々と暮らしていた入浴施設の家から離れることを勧めた。不幸にもフルニション夫人の野望のために、彼女のホテルはあまりにもプレ-オー-クレール(Pré-aux-Clercs)(*3)側に位置し過ぎていた。そのため、ホテルが現れたが、決闘場の近所であると同時に、「高潔な騎士の剣」という看板によって、決闘を招くとても多くの二人連れをもたらし、好戦的でない別の二人連れは騒ぎととどめの一突きを恐れて、哀れなホテルを忌み嫌った。それは穏やかな人々であり、恋人たちの邪魔をすることを少しも好まない人々である。従って、この親切な小塔の中における力は泊まっていた粗暴な兵士達だけであり、看板の画家によって内部の木の羽目板に描かれたすべてのキューピッドたちは常連の木炭によって口ひげや多かれ少なかれ適当な別の付属物で飾られていた。

同様に、フルニション夫人は何らかの理由があってそこまで言ったに違いないのだが、看板が家に不幸をもたらすと強く主張をした。そして、彼女はもし人々がそのことを彼女の経験に任せ、戸口の上に高潔な騎士とすべての人々を遠ざける恐ろしい竜の代わりに、例えば「愛の薔薇の木」のような優しいものを薔薇の代わりに情熱的な心と共に描くことを望んでいたなら、すべての優しい魂が彼女のホテルに住むことを選んでいただろうと主張した。

不幸にもメートル・フルニションは自分の考えとこの考えが彼の看板にもたらす影響について後悔していることを認めることができず、彼の主婦の観察を全く考慮せず、肩をそびやかしながら、ダンヴィル氏の昔のオクトン(hocqueton)(*4)の運搬人は自然に軍人のお得意様を探すようになっていたと答えた。彼は、考える必要がないが、飲む必要があるドイツ騎兵は6人の恋人たちのように飲み、各自の勘定の半分を支払わないが、恋人たちはとても浪費家なので、3人のドイツ騎兵たちのようには決して支払わないので、自分はそこで稼ぐと付け加えた。

その上、彼はワインは恋人よりも道徳的であると結論付けた。

この言葉でフルニション夫人は、彼が道徳性に関する自分の考えを抜け目なく解釈したことに対し、今度は彼女の番となり、十分に肉付きのよい肩をすくめた。

物事がフルニション家において分裂状態にありながら、夫婦はサン・トノレ通りで細々と暮らしていたようにビュッシーの十字路で細々と暮らしていた時に、思いがけない状況が物事の様相を変え、各々の自然界の代表を持つこの立派な看板の最も大きな名誉によってメートル・フルニションの意見を打ち勝たせた。

サルセドの処刑の1ケ月前、プレ-オー-クレールで軍事演習が行われた後に、フルニション夫人と夫は彼らの習慣に従って、「高潔な騎士」のホテルのすべてのテーブルとすべての部屋が完全に空いていたので、暇で、夢見がちで、冷たい彼らの施設の角の小塔にそれぞれ身を置いていた。

その日、『愛の薔薇の木』は薔薇を与えなかった。

その日、『高潔な騎士の剣』は水の中を打っていた。

それゆえ、夫婦は悲しげに平原が見えなくなるまで眺め、軍事演習を行うためにやってきた隊長の兵士たちがルーヴルに戻るためにネスル(Nesle)の塔の渡し船の中に乗り込んでいるすべてを見ながら、自然にとても喉が渇いている当番の兵士たちを彼らの隊に戻すことを強いる軍の絶対権力を嘆きながら、彼らはこの体調が自分の馬に速歩で乗り、一人だけ従卒を伴い、ビュッシー門の方向に進んでくるのを見た。

この将校は全て羽毛で飾られ、白馬の上でとても堂々として、金色の輝かしい剣の鞘がフランドルのラシャの美しいコートを持ち上げ、10分でホテルの正面に来た。

しかし、彼が行くところはそのホテルではなかったように、その看板を感嘆して見ることさえもせずに通り過ぎて行った。というのはその隊長は心配して、心を奪われているように見えたからだ。その時、メートル・フルニションはその日初めて使うとは考えず、心がぐったりしていたが、彼の小塔の外に身を乗り出して、言った。

「見ろ、おい、妻よ、美しい馬だ!」

愛想の良いホテルの女主人になって、その応答を把握したフルニション夫人が付け加えた。

「まあ、なんて美しい騎士なんでしょう!」

その隊長はどこかで彼に起こった賛辞に無感覚ではないように思われた。あたかも不意に目が覚めたかのように、頭を上げた。彼は主人、女主人、そしてホテルを見て、自分の馬を止め、従卒を呼んだ。

フルニションは大急ぎで階段を駆け下りた。そして両手の中に縁なし帽子を丸め、扉に捕まった。

隊長はしばらく熟考して、馬から降りた。

「ここには誰もいないのかね?」彼が尋ねた。

「今のところおりません、ムッシュー。」侮辱された主人が、答えた。

そして、彼は「しかしながら、それは家の習慣ではありません。」と付け加える準備をした。しかし、フルニション夫人はほとんどすべての女性のように、夫よりも炯眼であった。従って彼女は急いで自分の窓の高いところから叫んだ。

「もしムッシューがさびしい場所をお探しでしたら、それは全く私どもの家ですわ。」

その騎士は頭を上げた。そしてその良い返事を聞いた後で、その善良な顔を見て、答えた。

「差し当たって、そうだ。私はまさにそれを探していたところなのだよ、私の善良なご婦人よ。」

フルニション夫人は独り言を言いながら、すぐに旅行者と知り合うために、突進した。

「今回だけは、『高潔な騎士の剣』ではなく、『愛の薔薇の木』を初めて使う時よ。」

ちょうど今、夫婦の注意を引き寄せると同時に読者の注意を引き寄せるのに値するその隊長は、30歳から35歳くらいの男で、身なりにとても気を配っていたので、28歳くらいのように見えた。彼は背が高く、立派な体つきで、生き生きとした、そし鋭敏な顔つきをしていた。多分、彼を十分に調べたら、人々は彼の品のある様子の中に何らかの地位を発見しただろう。装っているのかそうでないのか、彼の様子は品があった。

彼は自分の連れの両手に、地面を足で蹴っている素晴らしい馬の手綱を投げた。そして彼に言った。

「馬を散歩させながら、ここで私を待ちなさい。」

その兵士は手綱を受け取り、従った。

一旦ホテルの大広間に入ると、彼は立ち止まり、自分の周囲に満足の視線を投げた。

「おお!おお!」彼が言った。「とても大きな広間に酒飲みが一人もいない!素晴らしい!」

メートル・フルニションは驚きながら彼を見た。一方、フルニション夫人は聡明に彼に微笑んだ。

「しかし、」その隊長が続けた。「あなた方の振る舞いの中に、あるいはあなた方の家の中にあなた方のホテルからお客を遠ざけている何かがあるのかね?」

「どちらでもございませんわ、ムッシュー、ありがたいことに。」フルニション夫人が答えた。「地区が新しいだけですわ。それと顧客に関しては、私どもは選んでおりますの。」

「ああ!よろしい。」隊長が言った。

メートル・フルニションはこの時間の間、彼の妻の答えに頭で同意してやった。

「例えば、」彼女は『愛の薔薇の木』の計画の張本人であることを表す、ある瞬きをしながら、付け加えた。「例えば、閣下のようなお客様のために、私どもは喜んで12人をほったかしにしておきますわ。」

「それは礼儀正しいことだ、私の美しい女主人よ、ありがとう。」

「ムッシュー、ワインの味見をなさいますか?」フルニションがあまりしわがれない声で言った。

「ムッシュー、住まいをご覧になりますか?」フルニション夫人が彼女の最も快い声で言った。

「両方ともお願いしたい。」隊長が答えた。

フルニションは貯蔵室に降りて行った。一方彼の妻は彼女の客にすでに登場している小塔に通じている階段を指し示し、彼女のなまめかしいペチコートをまくり上げ、本当のパリジェンヌの短靴でそれぞれの段をきしませながら、彼の前を進んだ。

「あなた方はここにどのくらいの人を泊めることができるのかね?」隊長が最初の階に到着した時に尋ねた。

「30人、そのうち10人は主人ですわ。」

「それは全然十分ではないな、美しい女主人よ。」隊長が答えた。

「それはどうしてですの、ムッシュー?」

「私は計画を持っているのだ。それ以上は話せないが。」

「ああ!ムッシュー、あなたは確実に『愛の薔薇の木』のホテル以上によいものを見つけませんわ。」

「何ですと!『愛の薔薇の木』の?」

「私が言いたいのは『高潔な騎士の』です。そしてルーヴルやその付属物を所有するのでなければ・・・」

その見知らぬ人は奇妙な視線を彼女に注いだ。

「あなたは正しい。」彼が言った。「そしてルーヴルを所有するのでなければ・・・」

それから別に

「当然だ。」彼が続けた。「それはもっと便利で、高価でないだろう。それではあなたは言っていますね、私の善良なご婦人よ。」彼が声に出して言葉を続けた。「あなたはここに30人を長い間受け入れることが可能だと?」

「はい、おそらく。」

「しかし、1日で?」

「おお!1日で、40それどころか45ですわ。」

「45?何てことだ!(*5)それは私の計算にぴったりだ。」

「本当ですの!まあ、それでは何と幸運なことでしょう!」

「それで、外で騒ぎ立てるものはないね?」

「時々、日曜日にここに80人の兵士たちがいます。」

「それで、家の前に群衆もなく、近所の中にスパイもいないね?」

「おお!まあ、おりません。私たちは個人の問題には関わらない立派な中産階級の方とこの地区に住んで3週間になりますけど、とても隠遁生活を送っているので、私はまだ会ったことがないご婦人の隣人しか持っておりませんわ。その他の全ては貧しい人達です。」

「ここに素晴らしく私に適しているものがある。」

「おお!それはよろしゅうございましたわ。」フルニション夫人が言った。

「それで、今から1ケ月に、」隊長が続けた。「これを十分予約しておいてくれ、今から1ケ月に・・・」

「それでは10月26日でしょうか?」

「まさしく、10月26日だ。」

「えっ?」

「そう!10月26日に私はあなたのホテルを借りるよ。」

「丸ごと全部ですか?」

「丸ごと全部だ。私は幸運を追い求めるためにパリにやって来る何人かの同胞と将校、あるいは少なくとも剣の使い手である人々を驚かせたいのだ。今からその時までに彼らはあなたの家に泊まることの通知を受け取るだろう。」

「それで、もしそれがあなたが彼らを驚かせることでしたら、その通知はどのようにして受け取ることになるんですの?」フルニション夫人は軽率に尋ねた。

「ああ!」隊長が明らかにその質問に気分を害しながら、答えた。「ああ!もしあなたが詮索好き、あるいは慎みがないのなら、何てことだ!・・・」

「いいえ、違いますわ、ムッシュ。」フルニション夫人はおびえながら、急いで言った。

フルニションは「将校あるいは剣の使い手である人々」という言葉を聞いて、彼の心臓は喜びで鼓動した。

彼は駆け付けた。

「ムッシュー、」彼が叫んだ。「あなたはここの主人、家の専制君主になるでしょう。そして問題なく、ああ!あなたのご友人方のすべてが歓迎されるでしょう。」

「私は私の友人たちとは言っていないよ、きみ。」隊長が傲然と答えた。「私は私の同胞たちと言ったのだ。」

「ええ、ええ、閣下の同胞の皆様。間違えたのは私です。」

フルニション夫人は不機嫌に背中を向けた。愛の薔薇は矛槍の茂みに変わってしまった。

「あなたは彼らに夕食を与えるのです。」その隊長が続けた。

「大いに結構です。」

「もし私が彼らの住まいをまだ準備することができなかったら、必要な場合には同様に彼らを泊まらせるのです。」

「結構です。」

「一言で言えば、あなたは何ら質問をすることもなく、彼らに対して完全に秘密厳守をしてもらいます。」

「承知しました。」

「ここに手付金の30リーヴルがある。」

「それは立派な契約です、閣下。あなたの同胞の皆様方は国王方のように扱われるでしょう。そして、もしあなたがワインを味わって確信なされたいのでしたら・・・」

「私は決して飲まない。ありがとう。」

隊長は窓に近付き、馬の番人を呼んだ。

メートル・フルニションはこの時間の間、熟考した。

「閣下、」彼が言った。(とても気前よく前払いした3ピストール金貨を受け取って以来、フルニションは見知らぬ人を閣下と呼んだ。)「閣下、私はその紳士方をどのようにして見分けたらよいのでしょう?」

「本当だ、何てことだ!私は忘れていたよ。私に蝋と紙と明かりをくれたまえ。」

フルニション夫人が全てを持って来た。

隊長は熱い蝋の上に彼が左手に身に着けていた指輪の爪を押した。

「さあ、取りなさい。」彼が言った。「あなたはこの顔が分かるかね?」

「美しい女性です、確かに。」

「そうだ、それはクレオパトラだ。そうだ!私の同胞たちの各々が同じような印をあなたに持って来るだろう。従ってあなたはこの印の所持者を泊めることになるだろう。分かったかね?」

「どのくらいの期間になりますか?」

「私はまだ全然わからないのだ。あなたはこの件についての私の命令を受け取るだろう。」

「私たちはそれをお待ちしております。」

その美しい隊長は階段を降り、再び鞍に身を置き、彼の馬で早足で立ち去った。

彼が帰っていくのを待ちながら、フルニション夫婦は手付金の30リーヴルを彼らのポケットに入れた。大喜びで、主人は絶えず繰り返した。

「剣の使い手の人々!そら、全く看板は間違いじゃなかった。そして私達が金持ちになるのは剣によってだ。」

そして彼は、問題の10月26日を待ちながら、彼のすべてのソース鍋を磨いて光らせることに着手した。

<2013.5.24修正済>

*1:エンタブラチュア(entablature)

Img_0001

*2:Hippolyte

ギリシア神話の登場人物。ポセイドンが遣わした怪物が海から現れ、ヒュポリュトスの乗っていた戦車の馬が驚き、彼を戦車から落とし、更に彼を轢き殺した。

*3:Pré-aux-Clercs

直訳すると「書生の決闘場」。決闘場ではあったようです。でもPré-aux-Clercsという固有名詞のようです。場所は下図の通りで、かなり広範囲だったようです。右下の四角いところがサン・ジェルマン・デプレ教会です。

Pre_aux_clercs_avant_fosses_t

*4:hocqueton

私が持っている仏和辞典には載っていなかったのですが、調べたところ、鎖帷子の下に着るキルトのジャケットらしいです。

*5:parfandious

ガスコーニュ地方特有の間投詞のようです。意味検索不能なので、文章の前後から適当に言葉を当てはめています。

2013年5月22日 (水)

地震の謎が解明できました!

今朝、地下鉄の中で現在原文チェックを進めている『四十五人』の7章部分の英文完全版(もどき)を読んでいました。

そしてふと「あれ?こんな単語、原書にはなかったんだけど・・・??」って思う単語に気付きました。

それは「earthquake」!

それで原書を見直したら、どうやら「tressaillement」という単語を「earthquake」と英訳されていたことがわかりました。「tressaillement」は「tressaillir」=身震いする、震える、振動するなどの意味の動詞からくる名詞です。仏和辞典だと「身震い、おののき」と出ているので、私は当然のことながら「身震い」と書いていました。なので、英訳版を見て、「何で地震??そんなのどこにあった??」と思ったわけです。

そして、すぐに頭をよぎったのが、『ジャン・クリストフ』のことです。

http://commment-allez-vous.cocolog-nifty.com/ma_chambre/2012/10/post-1848.html

『ジャン・クリストフ』読了後に書いた記事が上記なのですが、ここで触れている通り、『ジャン・クリストフ』の中に「地震」という表現が出て来て、私はどうして地震が起きない国のフランスで地震という表現をするのか解せん・・・sweat02と思っていたのです。地震を体感した人でないと地震とは何ぞや?状態であるかと思うからです。

きっと、『ジャン・クリストフ』も「tressaillement」(名詞)あるいは「tressaillir」(動詞)を翻訳として「地震」とあてたに違いないと確信しました。

でも一応、仏和辞典の巻末にちょっとついている和仏辞典に「地震」=「tremblement de terre」、「séisme」とは出ていたので、もしかするとこの表現を本当に使っていたのかもしれませんが、英訳にearthquakeを使うくらいだから、何となく日本語でもあり得そうだ・・・と思って、これだ!と何か妙に納得してしまった次第ですcoldsweats01

意外と「ん?」と思う言葉は翻訳によるものかもしれないということがわかったというお話です。でもこんなことは現在仏英比較をしているから分かったことであって、普通は気が付かないと思います。そういう意味で、変な勉強にはなっていますcoldsweats01

7章中々進めていないので、今日はちょっとブログに書き進めたいと思います。

2013年5月19日 (日)

大学時代に使ってたフランス語のテキスト

今日(ってもう昨日)家に帰ってきたら、友人から大学時代に使っていたフランス語のテキストが届いていました。

というのも、もはや『四十五人』の翻訳はほぼフランス語翻訳状態になっているので、ちょっと文法の勉強をし直したいと思って、処分していなかったはずだからと部屋中探したんですが、結局見つからず、わらをもすがる思いで、一緒にフランス語を受けた友人に「フランス語のテキストまだ持っていたりしない?」と聞いてみたら、「持っている」と返事が来て、首尾よく借りすることができた次第ですhappy02。Mちゃん、ありがとう~happy02。助かるわあ~happy02

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かなり古色蒼然としていますが、このテキストでフランス語を学びました。邦題は『作家に学ぶフランス語』というテキストで、各章の最初にフランスの小説家、劇作家、詩人などの作品の一節が取り上げられていました。私が覚えていたのはジャック・プレヴェールの詩とマルグリット・デュラスの『Hiroshima, mon amour』があったってことなんですけど、今日テキストを見直したら、「あっ、そういえばあった!あった!」と思い出したのが、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』、ジッドの『狭き門』、カミュの『異邦人』、サガンの『悲しみよ、こんにちは』だったんですが、「え~っ、こんなのあったんだcoldsweats02??」とびっくりしたのが、あのロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』ですcoldsweats02!!すでにここで触れていたのに、頭にかすってもいなかった『ジャン・クリストフ』・・・sweat02って思ってしまいました。

第1章が「Qui est-ce?(=Who is this ? )」というタイトルで、各分野のフランス人の有名どころが載っていたんですが、当時は何とも思っていなかったけど、今見ると「うん?」と思うのが、やっぱり小説家なんです。

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挙げられているのはスタンダール、バルザック、フロベール、プルーストです。一方詩人は全員の名前が使われていないのに、こんなにいっぱい写真があるんです。ボードレール、ランボー、ヴェルレーヌ、マラルメ、クローデル、ヴァレリー、アポリネールです。大学時代、私はランボーにはまっていたので、これで満足していたと思うんですが、今はこれに異議唱えますよ。何で小説家にデュマが入っていないの??ってweep。もちろん、デュマがパンテオン入りしたのは2002年なんですけど、でもユーゴーも入っていないのもちょっと不思議なんですよね。この二人パンテオン入りしているのに・・・って。スタンダールはともかく、なぜ小説家に取り上げられたのがこの人達だけなのか、詩人に対して少なすぎでは??と今更ながら思いましたcoldsweats01

ちなみに画家はルノワールだけ写真、名前だけがモネ、セザンヌ、マティス、デュフィ、ブラック。なぜ、ブラック?って感じもありますが・・・現代美術を入れたかったのか?

音楽家はドビュッシーだけが写真入り、名前だけがフォーレ、ラヴェル。音楽家が一番納得度が高いですね。

映画監督はフランソワ・トリュフォー、アラン・レネ、ジャン=リュック・ゴダール、俳優がジャン=ポール・ベルモンド、ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、女優がブリジット・バルドー、ジャンヌ・モロー、カトリーヌ・ドヌーヴといたってまとも。やっぱり小説家だけ釈然としません。

ちょっと笑えたのが、「フランス人ではありません」という事例に使われていたのが、この二人。

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ベートーヴェンと夏目先生!!つまり日本の文豪の筆頭ってことですねcoldsweats01

と言う訳で、これでちょっくら勉強し直します!

2013年5月15日 (水)

6章:二人のジョワイユーズ

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』を見つつ、原書のフランス語からの翻訳を行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

ムッシュー・ジョワイユーズたちは、我々が見たように、この見世物の間、市役所の後ろに逃れていた。そして、馬と共に彼らを待っていた従僕たちを国王一行に従うために残しながら、彼らは並んで、この人口の多い地区を歩いた。グレーヴ広場にたくさんの見物人がいたので、その日、そこは人けがなかった。

外に出てすぐ、彼らは話をせずに、腕を組んで歩いた。

少し前まで幸せだったアンリは、気を取られていて、ほとんど陰鬱だった。

アンヌは不安そうに見えた。そして、あたかも弟の沈黙に困惑しているかのようだった。

最初に沈黙を破ったのはアンヌだった。

「おや、まあ!アンリ、」彼が尋ねた。「お前は私をどこに連れて行くのだい?」

「私はあなたを連れて行きませんよ、兄上。私は私の前を歩いているのです。」アンリがあたかもはっとして目が覚めたかのように、答えた。

「お前はどこへ行きたいのだ、弟よ?」

「あなたとですか?」

アンリが物悲しそうに微笑んだ。

「おお!私は、」彼が言った。「私がどこに行こうと問題ではありません。」

「しかしながら、お前は毎晩どこかに出掛けている。」アンヌが言った。「と言うのは、お前は毎晩同じ時間に出掛けて、十分夜にならないと戻って来ない、そして時々は全然戻って来ないからだ。」

「あなたは私に質問をしていらっしゃるのですか、兄上?」アンリが兄に対するかなりの尊敬と混じった魅力的な穏やかさで、尋ねた。

「私がお前に質問をしているだって?」アンヌが言った。「神が私を守り給わんことを!秘密は守る人々のためのものだ。」

「もしあなたがそれをお望みなら、兄上、」アンリが答えた。「私はあなたに秘密を持ちませんよ。あなたはそれをよくご存知だ。」

「そなたは私に秘密を持っていないのかい、アンリ?」

「決して、兄上。あなたは私の領主であり、友人ではないのですか?」

「もちろんだ!私はお前が哀れな俗人に過ぎない私に何か秘密を持っていると思っていた。私はお前が我々の博学な兄弟―あの神学の柱であり、あの宗教のたいまつであり、宮廷の両親の問題に関する博学な創造者であり、いつか枢機卿になるだろう人―を持っていると思っていた。そして、お前が彼を信頼し、彼に告解と同時に許しを見つけたことを誰が知って・・・そして助言するだろう?と言うのは、我々の家族の中において、」アンヌが笑いながら付け加えた。「お前も知っての通り、私たちはあらゆる人に対して善良だ。私達の親愛なる父上が証人だ。」

アンリ・デュ・ブシャージュは兄の手を掴み、愛情を込めて、握った。

「私にとってあなたは忠告者以上、聴罪司祭以上、父親以上の存在です、私の親愛なるアンヌ。」彼が言った。「私はあなたは私の友人であると繰り返します。」

「それでは、私の友よ、どうして以前は陽気だったのに、とても悲しげに見えるんだ?そして、どうして日中出掛ける代わりに、今では夜にならないと出掛けないんだ?」

「兄上、私は悲しげではありませんよ。」アンリが微笑みながら、答えた。

「それなら、お前は何なのだ?」

「私は恋をしているのです。」

「よろしい!それで、この専心なのだな?」

「私が絶えず自分の愛について考えていることから生じているのです。」

「それで、お前は私にそれを言いながら、ため息をつくのだな?」

「そうです。」

「お前がため息をつくとは、デュ・ブシャージュ伯爵であるアンリ、お前が、ジョワイユーズの弟であるお前が、口の悪い人がフランスの三番目の国王であると呼んでいるそなたが。しかしながら、もし一番目がいないのなら、二番目はムッシュー・ド・ギーズであることをお前も知っているな。金持ちであるお前が、美しいお前が、私のようにフランスの大貴族になるであろう、そして私のように機会があり次第公爵になるであろうお前が。お前が恋をしている。お前が考えている。そしてお前がため息をついている。『陽気に(*1)』をモットーにしているそなたが。」

「私の親愛なるアンヌ、過去のこれらすべての贈り物あるいは未来の約束は、私を幸せにするべきものの間で、私にとって決して重要だったことはありません。私は野心を持っていないのです。」

「それはもはやお前は野心を持たないということだな。」

「あるいは、少なくともあなたがおっしゃったものを熱心に求めないということです。」

「多分今はな。しかし、後でお前は戻ってくるだろう。」

「しかし、兄上、私は何も望んでいないのです。何も欲しくないのです。」

「それなら、お前は間違っている、弟よ。人がフランスで最も優れた名前の1つである、ジョワイユーズを名乗る時に、彼の兄が国王の寵臣であり、あらゆるものを望み、あらゆるものを欲し、すべてを手にすることができる時に。」

アンリは憂鬱そうに金髪の頭をうなだれた。

「さあ、」アンヌが言った。「ここには全く私達しかいない。道に迷ってしまったけれども。悪魔にさらわれてしまえ!私たちは河川を越えてしまった。そして、もし私達がド・ラ・タルネル(Pont de la Tournelle)橋(*2)の上にいるのなら、私たちは人から見られることがない。、私はこれがこの緑の水の近くで、冷たく打ち付ける風によって孤立している砂浜の上で私達の話を聞きに来る者はいないと思う。お前は私に何か真面目なことがあるのだろう、アンリ?」

「ありません、ありません。私が恋していることを除いては。あたなもご存知の通り、兄上、私はたった今告白したのです。」

「しかし、ちくしょう!それは重要なことではない。」アンヌが足を踏み鳴らしながら、言った。「私もまた、ちくしょう!恋しているんだ。」

「私のようにではありませんよ、兄上。」

「私も時々恋人のことを考えるさ。」

「ええ、しかしいつもではありません。」

「私も不満や悲しみを持っている。」

「そうです、しかしあなたは喜びも持っていらっしゃる。なぜなら人々はあなたを愛しているからです。」

「おお!私は大変な邪魔者も持っているんだ。人々は私から大きな謎を要求する。」

「人々が要求するですって?あなたは言いました。もしあなたの恋人が存在するのなら、彼女はあなたのものであると要求するのです。」

「確かに彼女は私のものだ。つまり、私とムッシュー・ド・マイエンヌのものだ。と言うのは、信頼には信頼を、アンリ、私はあの好色のマイエンヌの恋人をまさに持っているのだよ。私に夢中である少女は、もしマイエンヌが自分を殺すのではないかと恐れていないなら、すぐに彼と別れるだろう。お前も知っての通り、女性を殺すことは彼の習慣だからね。更に私はこれらのギーズ達を憎んでいる。だから、彼らの一人を笑い者にして楽しむことは私を楽しませるのだ。おお、そうだ!私はお前に話すよ、お前にそれを繰り返すよ。私は時々窮屈だったり、喧嘩をしたりするが、そのためにカルトジオ会の修道士のように憂鬱になったりしない。私は泣かない。もしいつもでなくても、少なくとも時々、私は笑い続けるのだ。さあ、そなたが愛している人は誰なのか、私に話してくれ、アンリ。少なくとも、お前の恋人は美しいのか?」

「ああ!兄上、彼女は私の恋人ではありません。」

「彼女は美しいのか?」

「非常に美しいです。」

「彼女の名前は?」

「私はそれを知らないのです。」

「さあ。」

「名誉にかけて!」

「私の友よ、それは私が思っていたより危険だと思い始めたぞ。ローマ法王に誓って!それは悲しみではない、狂気だ。」

「彼女は私に一度しか話しかけたことがありません。正確に言えば、彼女は私の面前で一度しか話していません。そして、それ以来、私は彼女の声さえも聞いていません。」

「そして、お前は通じていなかったのか?」

「誰にです?」

「何だって!誰だと?隣人たちにだ。」

「彼女は家に一人だけで住んでいるので、人々は彼女を知らないのです。」

「ああ、何だと!しかし、彼女は影なのか?」

「彼女は女性です。背が高く、ニンフのように美しく、大天使ガブリエルのように真面目で、厳かです。」

「お前はどうやって彼女を知ったのだ?どこで彼女と出会ったのだ?」

「ある日、私はド・ラ・ジプシエンヌ(de la Gypecienne)(*3)の交差点で若い娘の後を追っていたのです。私は教会に隣接している小さな庭園に入りました。そこには木々の下に腰掛があるのです。あなたはこの庭園に入ったことがありますか、兄上?」

「一度もないよ。そんなことはどうでもいい。続けなさい。そこには木々の下に腰掛があったんだな、それから?」

「影が濃くなり始めました。私はその若い娘を見失い、そして彼女を探しているうちに、この腰掛に辿り着いたのです。」

「さあ、さあ、私は聞いているよ。」

「私はこちら側で女性の服をおぼろげに見ました。私は手を伸ばしました。『すみません、ムッシュー。』私が気付いていなかった男の声が急に私に言いました。『すみません。』そして、この男の手がそっと、しかし、しっかりと私を遠ざけたのです。」

「彼は敢えてお前に触れたのか、ジョワイユーズ?」

「聞いてください!その男はある種の頭巾で顔を隠していました。私は彼を修道士だと思いました。更に、彼は愛情のこもった、そして礼儀正しい口調で、私に彼の警告を強制したのです。と言うのは、彼が話したと同時に、私に指で、こちら側で私を引き付けていた白い服を着たこの女性から10歩離れたところを指し示したのです。そして彼女はこの石の腰掛の前で、あたかもそれが祭壇であるかのように、跪いていました。

私は立ち止まりました、兄上。この思いがけない出来事が私に起こったのは9月の初めの頃です。空気は暖かく、その囲い地の墓の上に忠実に育っているスミレと薔薇がその優雅な香りを私に送りました。月は教会の小さな鐘楼の後ろで白っぽい雲を破り、ステンドグラスの窓は点火された大蝋燭の反射で金色になっていたのに対し、天辺が銀色になり始めていました。私の友よ、その場所の厳かさであるにせよ、個人の厳かさであるにせよ、跪いているその女性は、もし彼女が本当に大理石であったなら、暗闇の中で大理石の像のように私に向かって輝いていました。彼女は私の心を冷たくしたように思えた名状しがたい尊敬を私に抱かせました。

私は彼女をむさぼるように見つめました。

彼女は腰掛の上に身をかがめ、両腕でそれを包み込み、唇をつけていました。そして私はすぐに彼女の肩がため息と啜り泣きをこらえようとして波打っているのを見ました。あなたは決してそのような調子を聞いたことがないでししょう、兄上。鋭い鉄がこんなにも苦しく心臓を引き裂いたことは決してありませんでした!

すっかり泣きながら、彼女は私を破滅させた陶然とした状態で、その石の腰掛にキスをしていました。彼女の涙は私を動揺させ、彼女のキスは私を狂わせました。」

「しかし、ローマ法王に誓って!(*4)気が狂っているのは彼女だ。」ジョワイユーズが言った。「人々はそのように石にキスをするだろうか?理由もなく、すすり泣くだろうか?」

「おお!彼女をすすり泣かせていたのは大きな悲しみであり、その石にキスをさせていたのは深い愛情でした。しかし彼女は誰を愛していたのか?誰のために泣いていたのか?誰のために祈っていたのか?私にはわかりません。」

「しかし、お前はその男に質問をしなかったのか?」

「しました。」

「そして彼は何と答えたのだ?」

「彼女は夫を亡くしたと。」

「人は夫のためにそのように泣くかね?」ジョワイユーズが言った。「ここに、そうだとも!それに答える美女がいるな。それで、お前はそれに満足したのか?」

「彼が私に他のことを望まない以上そうせざるを得なかったのです。」

「しかし、その男自身は一体何なのだ?」

「彼女と一緒に住んでいる、ある種の召使です。」

「彼の名前は?」

「彼を私に言うのを拒絶しました。」

「若いのか?・・・年寄か?」

「28歳から30歳くらいに見えました。」

「さあ、それから?・・・彼女は一晩中祈り、泣いて過ごしたわけではあるまい?」

「はい。涙が尽き、唇が衰弱した時、彼女は立ち上がりました、兄上。私が他の全ての女性に対してしたように、彼女の方に前進させる代わりに、私を後ずさりさせる、そのような悲しみの謎が彼女の中にはあったのです。それから私のところに、正確に言えば私の方に来たのは彼女でした。と言うのは彼女は私を見てさえもいなかったのです。その時、月光が彼女の顔の上にあたりました。そして彼女の顔は私には照らされて、光り輝いているように見えました。それは陰鬱な厳格さを取り戻していました。1つの引きつりも1つの震えも1つの涙もありませんでした。ただそれらの跡を残した湿った溝だけがありました。彼女の目だけがまだ輝いていました。彼女の口は一瞬立ち去る準備が出来ていたように見えた命を吸い込むためにそっとわずかに開きました。彼女は生気のない衰弱した様子で、数歩歩きました。そして夢の中で歩いている人に似ていました。その男は彼女の元に駆け付け、彼女を案内しました。と言うのは、彼女は地上を歩いていることを忘れているように見えたからです。おお!兄上、何と言う恐ろしいほどの美しさでしょう!何という超人的な力でしょう!私は彼女に似ているものをこの世で見たことがありません。天が開いた時にこの現実に似たいくつかの幻影が降ろされるのを時々私の夢の中で見ただけです。」

「それから、アンリ、それから?」アンヌが我を忘れて、最初は笑うつもりだったこの話に興味を持ちながら、言った。

「おお!まもなく終わります、兄上。彼女の召使がとても低い声で彼女に話し掛けました。そして彼女はそれからヴェールを引き降ろしました。きっと彼が彼女に私がそこにいると言ったのでしょう。しかし、彼女は私の方を見ることさえもしませんでした。そして私はもはや彼女を見ることができなかったのです、兄上。私にとって空が曇ったように思えました。そして、それはもはや生きている者ではなく、丈の長い草の中にある墓から出て来て、私の前を静かにすべるように通り過ぎた幽霊のように思えました。彼女は囲い地を離れました。私は彼女の後を追いました。時々その男が振り返り、そして私を見たかもしれませんでした。と言うのは、私は全く茫然としていて、姿を隠していなかったのです。仕方がないではありませんか。私はまだ精神の中に昔の俗悪な習慣を、心の中に昔の無作法な種を持っていたのです。」

「何を言っているんだ、アンリ?」アンヌが尋ねた。「私は理解できないよ。」

若者は微笑んだ。

「私は意味しています、兄上。」彼が答えた。「私の若さは自分がよく露骨に愛していることを騒ぎ立てたこと、そしてこの瞬間まですべての女性が私の愛を捧げる女性たちだったということです。」

「おお!おお!それではこれは何だね?」ジョワイユーズは、弟の打ち明け話によって、自分の意に反してほんのわずかに変化させられていた自分の陽気さを取り戻そうとしながら、言った。「気をつけろ、アンリ。お前は戯言を言っているぞ。それでは生身の女性ではないのかい、この彼女は?」

「兄上、」その若者はジョワイユーズの手を熱っぽく握り締めながら、言った。「兄上、」彼はとても低く言ったので、彼の息はほとんど長兄の耳に達しなかった。「神が私の言うことをきいておられるのと同じくらい本当に、私はそれがこの世の生き物かどうかわかりません。」

「ローマ法王に誓って!」彼が言った。「もしジョワイユーズという名の者が決して怯えることがなかったのなら、お前は私を怯えさせただろう。」

それから、彼の陽気さを取り戻そうとした。

「だが、結局、」彼が言った。「とにかく、彼女は歩き、泣き、たくさんのキスを与えた。お前自身が私にそう言った。そしてそれは私には十分吉兆に思えるぞ、私の友よ。だが、それで全てではあるまい。とにかく、それから、それから?」

「それから、わずかなことがあるだけです。それゆえ、私は彼女の後をつけました。彼女は少しも私から逃れようとしたり、道を変えたり、道を間違えたりしようとしませんでした。彼女はそのことを考えているように見えませんでした。」

「なあ!彼女はどこに住んでいるのだ?」

「バスティーユの側の、ド・レディグイエール(de Lesdiguieres)通り(*5)の中です。彼女の家のすぐ近くで、彼女の連れが振り返って、私を見ました。」

「お前はその時お前が彼と話がしたいということを意味する何か合図を彼に与えなかったのか?」

「私は敢えてしませんでした。私があなたにお話ししていることは滑稽なことです。しかし、召使は女主人とほとんど同様に私に承知させたのです。」

「そんなことはどうでもいい、お前は家の中に入ったのか?」

「いいえ、兄上。」

「実際、アンリ、私はジョワイユーズという名を持つ者のために、とてもお前と縁を切りたいぞ。しかし、少なくともお前は翌日戻ったのだろう?」

「はい、しかし、無駄に。無駄にラ・ジプシエンヌへ、無駄にド・レディギュイエール通りへ。」

「彼女はいなくなっていたのか?」

「急に姿を消す影のように。」

「だが、結局、そなたは問い合わせたのだろう?」

「通りにはほとんど住民がおらず、誰も私を満足させることができませんでした。私は質問するために男を待ち伏せしました。彼は女性同様戻ってきませんでした。しかしながら、鎧戸を通り抜けて、夜に輝いていたのを私が見た1つの光が私に今なおそこに彼女がいることを教えてくれて、私を慰めました。私はその家に入るためのたくさんの手段を使いました。手紙、伝言、花、贈り物、全てが失敗しました。ある晩、光がその順番で見えなくなり、もはや戻ってきませんでした。貴婦人はおそらく私の追跡に疲れて、ド・レディギュイエール通りを離れたのです。誰も彼女の新しい住所を知りませんでした。」

「しかしながら、お前はこの人見知りな美女と再会したのだろう?」

「偶然がそれを可能にしたのです。私は不当です、兄上。人々が命を長引かせることをお望みではないのは神なのです。聞いてください。実際それは不思議です。私は今から15日前の真夜中にド・ビュッシー(de Bussy)通り(*6)の中を通っていました。あなたはご存知ですね、兄上。火に関する法令が厳しく施行されていることを。おお!私は単にある家の窓ガラスに火を見ただけでなく、しかも2階で起きている本物の火事を見たのです。私は扉を力強く叩きました。窓に一人の男が現れました。

『あなたの家が火事になっている!』私が彼に叫びました。

『お静かに、後生ですから!』彼が私に言いました。『お静かに、私はそれを消すのに忙しいのです。』

『私が夜警を呼ぶことをお望みですか?』

『いいえ、いいえ、神の名において、人を呼ばないでください!』

『しかしながら、もし人があなたを手伝うことができるのなら。』

『あなたはそれを望みますか?それなら来てください。そして、私が生涯感謝するであろう助力を渡しにしてください。』

『どのようにして私が行くことをお望みですか?』

『これは玄関の鍵です。』

そして彼は私に窓から鍵を投げ、私は素早く階段を上り、火事の舞台である部屋に入りました。燃えていたのは床でした。私は化学者の実験室の中にいました。どんな実験がなされていたのか、私はわかりません。引火性のアルコールが地面にこぼれて、その結果火事になったのです。私が入った時、彼はすでに火を支配していました。それで私は彼を見ることができました。それは28歳から30歳くらいの男でした。少なくとも私には彼がそのくらいの年齢に見えました。恐ろしい傷跡が彼の頬の半分を傷だらけにしていました。別のものは頭蓋骨に筋をつけていました。彼の厚い頬髯は彼の顔の残りを覆っていました。

『私は感謝しています。しかし、あなたが見てお分かりの通り、今ではすべてが終わりました。あなたがいかに親切な方に見えようとも、お引き取りいただけませんか?と言うのは、私の女主人が今にも入ってくるかもしれないからです。そして彼女は私の家で、より正確に言えば彼女の家で見知らぬ人をこんな時間に見たら腹を立てるでしょう。』

その声の響きは私を無気力とそしてほとんど激しい恐怖で襲いました。私は彼に叫ぶために口を開きました。

『あなたはラ・ジプシエンヌの男、ド・レディグイエール通りの男、名前の分からない貴婦人の男だ!』

と言うのは思い出してくだささい、兄上。彼が頭巾で覆われていて、私は彼の顔を見ていなかったことを、ただ彼の声を聞いただけであったことを。私は質問し、懇願するために、彼にそれを言いに行こうとしました。突然扉が開いた時、一人の女性が入ってきました。

『一体何があったのです、レミ(Remy)?』彼女は扉の敷居の上に厳かに立ち止まりながら、尋ねました。『この騒ぎはどうしたのです?』

おお!兄上、それは彼女だったんです。彼女は火事の消えかけた火で、私が月光で思ったよりもさらに美しかったんです!それは彼女でした、絶え間ない記憶が私の心を苦しめていたその女性だったんです!私が発した叫びで、その召使が今度は彼の番で私をじっくりと注意深く見ました。

『ありがとうございます、ムッシュー。』彼が私にもう一度言いました。『ありがとうございます。しかし、あなたもご覧の通り、火は消えています。お引き取りください、お願いですから、お引き取りください。』

『私の友よ、』私が彼に言いました。『あなたは私にとても冷たく帰れと言うのですね。』

『マダム、』その召使が言いました。『彼です。』

『誰、彼とは?』彼女が尋ねました。

『私達がラ・ジプシエンヌの庭の中で偶然出会った、そしてド・レディギュイエール通りまで後をつけてきた、若い騎士です。』

彼女はそれから視線を私の上に止めました。そして、その視線は彼女が私を見た最初であったことを理解しました。

『ムッシュー、』彼女が言いました。『お願いですから、お引き取りくださいませ!』

私は躊躇しました。私は話をし、懇願したかったのです。しかし、言葉は私の唇に背きました。私は身動きせず、無言のままで、彼女を見つめることに専念してました。

『お気をつけください、ムッシュー、』その召使が厳しさよりも悲しんで、言いました。『お気をつけください、あなたはマダムに2度目の逃亡を強いているのですよ。』

『おお!とんでもないことです!』私が答えました。『しかし、マダム、私はあなたの気分を害するつもりは少しもありません。』

彼女は私に全く答えませんでした。まるで彼女が私の話を少しも聞いていないかのように、無感覚で、無言で、冷淡なまま、引き返し、そして私は彼女が彼女の足音が幽霊の足音がしないのと同様に鳴り響かずに、階段を降り、影の中に少しずつ消えていくのを見ました。」

「これですべてかい?」ジョワイユーズが尋ねた。

「これですべてです。それからその召使が私に『忘れてください、ムッシュー、イエスと聖母マリアの名において、懇願します、忘れてください!』と言いながら、私を戸口まで案内しました。

私は無我夢中で、取り乱して、茫然自失の状態で、頭を両手に抱えながら、逃げ、自分の気が狂っていないかどうか自問しました。それ以来、私は毎晩この通りに行き、そして市役所を出て、私の歩が全く自然にこちら側に導かれたのは、こういう理由なのです。毎晩と私は言いましたが、私はこの通りに行き、その家の向かいの家の隅の、影が私を全く包み隠してくれる小さなバルコニーの下に身を隠しています。10回のうち1回、私は彼女が住む部屋の中に光が通り過ぎるのを見ます。そこに私の命があり、私の幸せがあります。」

「何という幸せだ!」ジョワイユーズが叫んだ。

「ああ!もし私が他のことを望んだら、私は彼女を失ってしまいます。」

「しかし、もしお前がこの断念と共に自分自身を失うのなら?」

「兄上、」アンリが悲しそうな微笑みをしながら、言った。「どうしろというのです。私はこのように自分を幸せだと思っているのです。」

「ありえない!」

「どうしろというのです、幸せは相対的なものです。私はそこに彼女がいて、そこに彼女が住み、そこで彼女が呼吸をしていることを知っています。私は外壁を通して彼女を見ているように思います。もし彼女がこの家を離れたら、もし私が彼女を失った時に過ごしたような15日を再び過ごすことになるのなら、私は気が狂うか、修道士になるでしょう。」

「だめだ、何てことだ!一家に一人の狂人と一人の修道士がいるのはすでにもう十分すぎるほどだ。今はそれ以上は止めておくんだ、私の親愛なる友よ。」

「あれこれ言わないでください、アンヌ、冷やかしを言わないでください。忠告は無駄です。冷やかしは何もなりません。」

「それで、誰がお前に忠告と冷やかしを言うんだ?」

「結構なことですね。しかし・・・」

「ただ1つだけ私に言わせてもらえないか?」

「どちらをです?」

「お前は純粋な初心者のようになっていることが分かっているだろう。」

「私は計略もなければ計算もしていませんよ。私は自分を捕まえられません。私は私がかなわない一廉の人に身を委ねます。流れがあなたを運ぶ時、それに対して戦うより従う方がよいでしょう。」

「それで、もしどこか深淵に導いたら?」

「そこで飲み込まれます、兄上。」

「それはお前の意見か?」

「はい。」

「それは私のものではないな。そして、もしお前の立場だったら・・・」

「何をしたのです、アンヌ?」

「彼女の名前、彼女の年齢を知るために十分なことを、お前の立場だったら・・・」

「アンヌ、アンヌ、あなたは彼女をご存知ない。」

「そうだ。だが、私はお前を知っている。何だって、アンリ、お前は国王がお祝いの際に私にくださった10万エキュのうち私がお前に与えた5万エキュを持っているな・・・」

「それはまだ私の金庫の中にありますよ、アンヌ。1エキュも欠けていません。」

「何てことだ!困ったな。もしお前の金庫の中にそれらがなかったら、その女性はお前の寝室にいただろう。」

「おお!兄上。」

「『おお!兄上』にどういたしましてだ。普通の召使は10エキュで売られる。よい者なら100、優れた者なら1000、驚くべき者なら3000だ。さあ、今、召使の第一人者と仮定しよう。その忠実さが神のような人物を夢見るんだ。そして、2万エキュと引き換えに、ローマ法王に誓って、彼はそなたのものだ!従って、召使の第一人者に支払いをするために、お前には13万リーヴルが残る。アンリ、私の友よ、お前は馬鹿者だ。」

「アンヌ、」アンリがため息をつきながら、言った。「売られない人々もいるのです。国王でさえ買うのに十分お金持ちではない心があるのです。」

ジョワイユーズは落ち着いた。

「ああ!私はそれを認めるよ。」彼が言った。「しかし、降伏しない人はいないぞ。」

「結構なことです。」

「ああ!その無感覚な美女の心がそなたに捧げられるためにお前は何をしたのだ?」

「私は確信しています、アンヌ、自分ができたことの全てをしたと。」

「ばかな、デュ・ブシャージュ伯爵、お前は悲しげな、身を隠して、嘆いている一人の女性を見ているのだ。そしてお前が自分を更に悲しく、更に閉じ籠めて、更に嘆かせているいるのだ。つまり、彼女自身を更にうんざりさせているということだ!実際、お前は愛についてありふれたように話しているぞ。そしてお前はカルトニエール(*7)のように平凡だ。彼女は孤独だ、だから彼女に伴侶を作れ。彼女は悲しんでいる、だから陽気になれ。彼女は残念に思っている、だから彼女を慰め、そして後任になるのだ。」

「できません、兄上。」

「お前は試してみたのか?」

「何をするためです?」

「もちろん!それが例え試すだけに過ぎなくともだ。お前は恋をしていると言っただろう?」

「私は自分の愛を表現する言葉を知りません。」

「ああ!15日の間にお前は恋人を持つだろう。」

「兄上!」

「ジョワイユーズの信念だ。お前は絶望的ではないと思うが?」

「はい。と言うのは、私は決して希望を持っていないのです。」

「どんな時間にお前は彼女を見るのだ?」

「どんな時間に私が彼女を見るですって?」

「確かに。」

「しかし私はあなたに彼女を見ていないと言ったではありませんか、兄上。」

「一度も?」

「一度も。」

「窓にさえも?」

「私があなたに言った通り、彼女の影さえもです。」

「それを終わらせなければならない。さあ、彼女は愛人がいるのか?」

「私は彼女の家に男が入っていくのを一度も見たことがありません。私があなたにお話ししたあのレミを除いては。」

「その家はどのようなものなのだ?」

「2階建てで、階段に面した小さな扉があり、2階の窓の上にテラスがあります。」

「しかし、そのテラスから人が入ることはできないのか?」

「その家は他の家から孤立しています。」

「向かいに何かあるのか?」

「ほとんど同様のもう一つの別な家があります。とはいえ、私にはもっと高いように見えましすが。」

「その家には誰が住んでいるんだ?」

「一種の中産階級の人です。」

「意地悪な気質の人か、それとも良い気質の人か?」

「良い気質の人です。と言うのも、時々私は彼が一人で笑っているのを聞いています。」

「彼からその家を買うんだ。」

「誰があなたにそれが売られているところであると言っているんですか?」

「彼にその家の値打ちの2倍を申し出るんだ。」

「そして、もしそこで貴婦人が私を見たら?」

「えっ?」

「私の存在を隠している間にまた彼女がいなくなるでしょう。私はそこに戻るのは、いつか、あるいは他の日を望みます。」

「お前は今夜そこに戻るんだ。」

「私がですか?」

「8時にそのバルコニーの下にいるんだ。」

「私は毎日そこにいるようにそこにいるでしょうけど、他の日にいかなる希望も持ちませんよ。」

「ところで!正確な住所は?」

「ビュッシー門とサン・ドニ館の間で、ほとんどデ・ゾーギュスタン通り(*8)の角です。20歩のところに『高潔な騎士の剣』という看板のあるホテル経営者がいます。」

「よろしい。では今夜8時に。」

「でもあなたは何をなさるおつもりですか?」

「お前はそれを見るだろう、それを聞くだろう。待ちながら、家に戻って、お前の最も美しい服を着て、最も高価な宝飾品を身につけ、髪に極上のエッセンスを注ぐんだ。今夜お前はその場所に入るんだ。」

「あなたの願いが聞き届けられますように、兄上!」

「アンリ、神の耳が聞こえない時に、悪魔はそうではない。私はお前と別れるよ、私の恋人が私を待っているから。いいや、私はムッシュー・ド・マイエンヌの恋人と言いたい。ローマ法王に誓って!それは少しも淑女ぶる女ではない。」

「兄上!」

「すまないね、美しい愛の侍者よ。私は十分に確信している、この二人の女性についてどんな比較もしないよ。とはいえ、お前が私に言うところによれば、私は私のもの、正確に言えば私たちのものの方を好むよ。しかし、彼女が私を待っている。そして私は彼女を待たせたくないんだ。さようなら、アンリ、今晩に。」

「今晩に、アンヌ。」

その二人の兄弟は握手し合い、そして別れた。

一方は、200歩進んだ終わりで、ノートル・ダム聖堂前広場所在の美しいゴシック建築の家のノッカーを騒音を立てながら、大胆に持ち上げ、そして下した。

もう一方は宮殿に通じる曲がりくねった通りに黙って入り込んだ。

<2013.5.15修正済>

*1:原書は「Hilariter」。ラテン語で「陽気に」の意味。

*2:Pont de la Tournelle

サン・ルイ島にかかっている橋。

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0009/f28l0009_5_3.html

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0009/f28l0009_6_3.html

*3:La Gypecienne=Ste.Marie Egiptiene Rue de la Jussiene

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0017/f28l0017_4_1.html

*4:par le pape!

直訳してます。多分何か感嘆表現なんだと思いますが、辞書等には載っておらず、意味不明です。日本人が「神明に誓って」って言うのと同じ感じですかね?

*5:Rue de Lesdisuieres

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/ae/P1010317_Carte_de_Paris-Vaugondy-1760_partie_est_quartier_de_l%27Arsenal_reductwk.JPG

*6:Rue de Bussy

サンジェルマン・デ・プレ教会の後ろ辺りの通り。通りの右端に門が見え、これがPorte Bussyと思われます。

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0014/f28l0014_4_3.html

*7:quartenier

辞書に載っていませんでしたが、調べてみたところ、昔パリで警察機能を担当していた司令官のようです。(フランス版wikiより。)

*8:Rue des Augustins

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0014/f28l0014_3_2.html

2013年5月12日 (日)

『四十五人』の翻訳は恐ろしく時間がかかる見込みです・・・

当初は比較的原書に忠実な英訳版をただ翻訳しようと考えていたのですが、これにさえ原書にあるものの割愛が見られたので、原書とのチェックを始めたら、やっぱりかなり違っているとか意味が取れないというものが出て来て、今や完璧に原書との戦いになっています。あらすじはつかめているし、英訳版があるので、フランス語の複雑な時制は英訳版で確認するという感じで、翻訳し始めたので、もう限りなく時間がかかっていて、もはやいつ終わるかわからない状態。英訳版を単に訳すだけなら今の時間ペースだと1日1章は固い気がするけど、結構ジレンマ状態です・・・細かいことを気にせずに英訳版を進めた方がいいのか??

今6章を翻訳中なので、6章が未公開状態です。

それにしても私が読んでいた抄訳版で、ヴェネツィアン・ブラインドって表記が出てくるところがあったんですが、原書では単なる鎧戸もしくはブラインドで、ヴェネツィアン・ブラインドって一体どこから出て来たのか??って謎です・・・

こういう謎とか、フランス語と英語で綴りが同じなんだけど、意味が全く違う単語をそのまま英訳版に使っているので、意味訳分からんって状態になっていたりして、英訳版もかなり怪しいんです・・・だから原書に立ち返るしかないのか・・・みたいな・・・sweat01

かなり気が遠くなってきています。

『シャルニー伯爵夫人』の時は全くそんなことを思わなかったんだけど(東様がいずれ翻訳してくださるだろうから。)、本当に困り果てています・・・

いや、やると決めたからにはやるんだけどさ。

2013年5月 8日 (水)

翻訳についてまた思ったこと

え~っと遅々として進んでいない『四十五人』の翻訳は多分今日でなんとか5章を完了させられそうな気がします。次の6章は12ページもあったので、3日くらいかかるかもsweat02

英訳版の誤訳について激怒している私ですが、こんなイレギュラーなことをしない限り、英訳版の誤訳など知る由もなく、それでふと思ったのが、現在日本で翻訳されている海外作品も実は恐ろしく誤訳があるんじゃないか?ということ!!

人気作品で重版が進んでいるような作品は手直しが入ると思いますが、そうでないマイナーな作品だといつまでも誤訳のまま罷り通っている状態ですよね、きっと・・・sweat02そしてそもそも原書を読めないし、読まないんだから、それが誤訳であるとはわからないわけで、実は英訳版に限ったことではないことなのかも・・・??って気がしました。

ただそれに気づいていないだけで・・・sweat01

まあ日本語の場合は今の『四十五人』のような仏→英のようなちょっと似たような別な言語に翻訳と違って、全く別の言語に翻訳しなきゃならないので、翻訳間違いは逆にないのか?とか思う一方、解釈間違いはあるかもなあ・・・と思ったり。でも解釈間違いはどの言語においてもありますね。

ここまで再翻訳を進めて、「うぎゃっwobbly!」と思ったのが、英語でもフランス語でも同じ綴りの単語があるんですが、意味が違うってものが結構あるんですcoldsweats02。英和中辞典をいくら引いてもその意味は出てこないんです。仏和辞典を引いて初めて「えっ、この単語、こういう意味もあったのcoldsweats02?」ってな状態です。英和中辞典レベルだからダメなのであって、ネイティヴレベルならもしかして理解できるのかもしれないけど、普通に英文を読むと、「?」っていうものがあります。

例えば先日あった事例なのですが、'the judge, who ordered the question to be inflicted upon him'「彼に問題を与えることを命令する裁判官」って何?って思ったら、仏語のquestionには「拷問」という意味があったんですよ~!!それなら意味通じますよね?なのにこのままquestionを使っている翻訳者どうなの??って思ってしまいましたsweat01。ものすごく古い本のようなので、ものすごく昔の翻訳者だと思いますから、当時はそういう英語を使っていたと解釈もできなくないですが・・・sweat01

こういうの結構あって、英語だから普通の英単語の意味と同じように解釈して、「あれ?意味が取れない?」って思って、仏和辞典を引き、「ぎゃっcoldsweats02!」となるんです。普通に英語を訳していたら、間違いなく誤訳になる・・・sweat02。間違いなく原書から翻訳するのがいいんだけど、こういう風な間違いも起こりうるわけですよね、同じ欧米言語においては・・・

なので、どこの国の人も海外作品は本当に正しい内容を読んでいる訳ではないというくらいの気持ちがないとだめなのかも?っていう心境になってきました。

昔、ロシア人が「私たちはロシア語でプーシキンやトルストイやドストエフスキーを読めることをとても誇りに思う。」みたいなことを言っていたのを聞いたことがあったのだけれども、その時それはロシア語のニュアンスが伝わらないってことを言いたいのかなって思っていたけど、いやもうロシア語に限らず、外国語全てにおいてかも・・・って思いますsweat02

そして時代物はその背景がわかっていないと苦しいし・・・sweat01ものすごくフランス版wiki検索してます。人物について。日本ではメジャーじゃないから、探しようがないんで・・・

本当にさ、「求む、フランス語を正確に翻訳できる人!そしてデュマ作品を翻訳して!」状態かも・・・sweat02

驚くしかない・・・!!(゚ロ゚屮)屮

外出先で携帯からメールのチェックをしていたら、芸劇から「おのれナポレオン」中止のご連絡と言うメールが来ているではないですか?何事coldsweats02?と思って、メールを開いて読んでみたら、天海さんが軽い心筋梗塞で、降板することになったとあり、もうびっくり仰天でしたcoldsweats02!!そんな心筋梗塞だなんて・・・sweat02天海さん、よっぽどお疲れだったんですね・・・weep。お大事にしてください・・・って感じですし、ここまで頑張っただけに無念でしたでしょうねsweat02

そしてもっと驚いたのが、もうすぐ千秋楽間近な状態の舞台に代役を立てて上演をするということで、それをNODAMAPではお馴染みの宮沢りえさんが引き受けたとのことcoldsweats02!!宮沢さん、舞台終わったばっかりで、しかも次の仕事もあるだろうに、こんな2~3日のためによく引き受けました!!素晴らしい女優魂!!って思いました。

アルヴィーヌの役は出ずっぱりという訳ではないので、まあセリフ量的には問題ないと踏んだのか?あとはアルヴィーヌはナポレオンとの絡みが多いので、野田さんがフォローする形で、ちょっと演出を変えるのか?いずれにせよ、宮沢さん、頑張って!!って感じです・・・sweat01

こういうこともあるから早めに見ておいた方が正解なのか?とか思ってしまいましたcoldsweats01。(私は基本中日以降に見ることが多いのです。なので、今回は珍しいパターン。)

5章:処刑

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』 からの翻訳です。英文テキストにない内容はフランス語原文テキストから付け足しを行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

議員たちは部屋の下座に黙って立ったまま、国王が彼らに話すのを待っていた。

国王は彼らが少し待っていたことを認めて、それから彼らの方に振り向いた―。

「それで、紳士諸君、何かニュースは?」彼が言った。「おはよう、ムッシュー・ブリッソン(Brisson)議長。」

「陛下、」議長は、宮廷でユグノーの礼儀作法と呼ばれていた気楽な威厳さと共に答えた。「私たちは、ムッシュー・ド・トゥー(Thou)も望んでいるように、死刑囚の命を延長することを陛下に嘆願しに参りました。確かに、彼はいくつかのなすべき暴露を持っています。そして彼に命を約束することで、私たちはそれらを得ることができるでしょう。」

「しかし、」国王が言った。「人々はそれらを手に入れていなかったのでは、議長殿?」

「いいえ、陛下、ある程度は―陛下には十分でしょうか?」

「私は自分が知っていることを知っている、閣下。」

「それでは陛下はこの事件へのスペインの参加をどう考えるかをご存知です。」

「スペインの?そうだ、議長殿。そして、その他の多くの権力者たちもだ。」

「この参加を証明することは重要だろうと思います、陛下。」

「そして、それゆえ、」カトリーヌが遮った。「国王は、もし死刑囚が自分に拷問を与えることを命令した裁判官の前でした証言と似た自白に署名するのなら、処刑を延期するおつもりです。」

ブリッソンは国王を目で問い質した。

「それは私の意図だ。」アンリが言った。「そして私はもはやそれを隠さない。そなたはそれを保証するかもしれない、ムッシュー・ブリッソン、そなたの軍服の中尉によってそれを囚人に言及させることを。」

「陛下は忠告することをもう何もお持ちではないのですか?」

「ない。しかし、自白の変更はだめだ。さもなければ私は約束を撤回する。それらは公然である。―それらは完全でなければならない。」

「はい、陛下、妥協された人々の名と共にですか?」

「名―全ての名と共にだ。」

「例えこれらの名前が犠牲者の自白によって国家反逆と反乱で汚されてもですか?」

「例えこれらの名前が私のとても近い親戚のものであってもだ!」国王が言った。

「陛下のご命令通りにいたします。」

「私は自分の立場を弁明しているのだ、ムッシュー・ブリッソン。誤解がないようにしてくれ。そなたは死刑囚に羽ペンと紙を渡すのだ。彼は自白を書くだろう。それによって公然と彼は私たちの慈悲に身を委ねて、感謝し始めることを示すのだ。後で、私たちは分かるだろう。」

「しかし、お約束してもよろしいでしょうか?」

「おお、もちろん!いつでも約束したまえ。」

「さあ、紳士諸君。」議長は議員たちを引き取らせながら、言った。

そして、国王にうやうやしく挨拶をし、彼は仲間の後に従った。

「彼は話しますわ。」ルイーズ・ド・ロレーヌが震えながら、言った。「彼は話しますわ。そして陛下はお許しになるでしょう。彼の唇に泡が沸き起こっているのをご覧くださいませ。」

「いいえ、いいえ、彼は探しています。」カトリーヌが言った。「彼は探しています。そしてそれは別のことです。彼が探しているものは何なのかしら?」

「もちろん、」アンリ三世が言った。「推測するのは難しいことではありませんよ。彼はパルマ公爵、ギーズ公爵を探しているのです。彼は最もカトリックの王である私の弟を探しているのです。ああ、探せ!探せ!待て!そなたはグレーヴ広場がフランドルへの道よりも待ち伏せに都合がよいと思っているのか?そなたはそなたを連行した唯一の場所である処刑台からそなたを降ろすことを妨げるための100人のベルリエーヴルを私がここに持たないと思っているのか?

サルセドは射手たちが馬を取ってくるために離れたのを見た。彼は王家の観覧席の中に議長と議員たちがいるのを見ていた。それから彼は彼らが姿を消したのを見ていた。彼は国王が自分の処刑の命令を与えたと結論付けた。

若い王妃によって言及された血の泡が彼の鉛色の唇に現れたのはそれからだった。不幸な男は自分を貪り食う死の焦燥の中で、唇を血を流すまで噛んでいた。

「誰もいない!誰もいない!」彼は呟いた。「私を助けると約束した人達の一人もいない。臆病者たちめ!臆病者たちめ!臆病者たちめ!」

中尉のタンションが処刑台に近付いた。そして死刑執行人に言った。

「準備を、メートル。」彼が言った。

死刑執行人はその場所の他の端に合図をした。そして、人々は馬たちが群衆の中を分けて通り、それらに近寄って覆い隠す海のように、後ろに騒がしい足跡を残していたのを見た。

この足跡は馬たちの素早い道を押し返す、あるいは逆の流れにした見物人たちによってもたらされた。しかし、破壊された壁はすぐに閉じられ、逆に時々最初の者が最後になった。なぜならば、強い者が空いている場所に突進したからだ。

サン-ヴァンヌリー(St.Vannerie)通り(*1)の角を馬たちが通り過ぎた時に、我々の知り合いの美しい若者が、上っていた柱から飛び降り、かろうじて15~16歳に見えた、そしてこの恐ろしい見世物をとても見たがっているように見えた子供によって駆り立てられているのも見られたかもしれなかった。

これは謎めいたいた小姓とエルノートン・ド・カルマンジュ子爵だった。

「ああ、早く!早く!」小姓が同行者の耳に囁いた。「隙間に身を投げてください。一瞬たりとも失う時間はないのです。」

「しかし、私たちは窒息してしまうよ。」エルノートンが答えた。「きみは気が狂っているよ、私の小さな友よ。」

「私は見たいのです!近くで見せて!」小姓がとても横柄な口調で言ったので、この言葉は命令することを習慣にしている口から発せられたと結論付けるのは容易だった。

エルノートンは従った。

「馬たちを捕まえて!馬たちを捕まえて!」小姓が言った。「一歩も離れてはなりません。さもなければ私たちはそこに辿り着けないでしょう。」

「しかし、私たちが到着する前に、きみが粉々になってしまうだろう。」

「私のことは心配しないで。前に!前に!」

「馬たちが蹴るだろう。」

「最後の馬の尻尾を掴んでください。馬はこの方法で捕まえている時、決して蹴りません。」

にもかかわらず、エルノートンはその子供の奇妙な影響に服従した。彼は馬たちのたてがみに貼り付きながら、後を追った。一方、小姓は彼のウェストを掴んでいた。

そして、森林と同じくらい密集しているこの群衆の真ん中で、海のようにうねりながら、マントのはためく音、彼らのダブレットの破片、更にシャツのフリルをここに残しながら、彼らは一連の馬たちと同時に、サルセドがその上で絶望の痙攣の中で書いていた処刑台の3歩以内に到着した。

「私たちは到着したのですか?」エルノートンが立ち止まったのに気づいて、若者が喉を詰まらせ、息を切らしながら、言った。

「ああ、」子爵が答えた。「幸運にもね。と言うのも、私は力を使い果たしてしまったよ。」

「私は見えません。」

「私の前に行くんだ。」

「いいえ、いいえ、まだダメです。人々は何をしていますか?」

「紐の端に引っ張ると動く結び目を作っているよ。」

「それで、彼、彼は何をしていますか?」

「彼とは誰です?」

「囚人です。」

「様子を窺う大鷹のように、彼の目は辺りを見回しているよ。」

馬たちは死刑執行人の助手たちにとって、サルセドの手首と足に、馬の首に固定していた引き綱をつけるのに十分近かった。

サルセドは足首の周りに引っ張ると動く結び目が彼の肉の周りを締め付け、縄のざらつきを感じた時、唸り声を挙げた。

彼は自分の視野の半径の中の10万人の見物人を見渡す、この強大な場所全体に最後の、不可解なを視線を送った。

「ムッシュー、」タンションが彼に礼儀正しく言った。「我々が取り掛からない前に、人々の前でお話しなさっては?」

そして彼は囚人の耳に近づき、小声で付け加えた―。

「あなたの命を救うために十分な自白を。」

サルセドはあたかも彼の魂のまさにその奥底を見抜くためかのように、彼をじっと見つめた。

この表情はとても雄弁だったので、彼にはタンションの本当の心に悲痛な思いをさせていて、そしてそれが輝いている目の中まで上がっているように見えた。

サルセドは騙されなかった。彼は中尉が見せかけではないことと、彼が約束したことを実行するだろうことを理解した。

「お分かりの通り、」タンションが続けた。「彼らはあなたを見捨てています。この世で私があなたに提供できるもの以外他には望みがないのです。」

「それでは、」サルセドはしわがれたため息をつきながら言った。「黙るように命令してくれ。私は話す覚悟をしている。」

「国王が期待しているのは、書かれ、署名された自白です。」

「その場合、私の両手を緩めてくれ。そして羽ペンと紙をくれ。書こう。」

「あなたの自白を?」

「私の自白を。」

タンションは喜びながら、移動し、合図をするだけだった。

裁判が与えていた射手はあらゆる準備をしていた。彼らはインクスタンドと羽ペンと紙を手渡し、タンションは処刑台の上にそれらを置いた。

同時に彼らはサルセドが手首を締められていた約3ピエ(*2)の紐を緩め、彼を書くための椅子の上に上げた。

サルセドはついに座った。そして激しく呼吸をし始めた。そして口を拭い、額の上を汗で湿らせていた髪を後ろになでつけるために手を使った。

「さあ、さあ、」タンションが言った。「楽にして、全てを書いてください。」

「おお、決して恐れるな。」サルセドは羽ペンの方に手を伸ばしながら、言った。「落ち着くんだ。私は私を忘れた人々を忘れないぞ。」

そして、こう言いながら、彼は思い切って最後の一瞥を投げた。

疑いなく、小姓にとって姿を見せる瞬間がやってきた。と言うのは、エルノートンの手を掴みながら―、

「ムッシュー、」小姓がエルノートンに言った。「お願いです、私をあなたの両腕に抱き、私の視界を邪魔している頭の上に持ち上げてください。」

「ああ、何だって!きみは飽くことを知らない人だね、若者よ、本当に。」

「もう一度このご助力を、ムッシュー。」

「きみは濫用しているよ。」

「私は死刑囚を見なければならないのです、聞いていますか?私は彼を見なければならないのです。」

しかし、エルノートンがこの命令に対して確かに素早く答えなかったので―、

「後生ですから、ムッシュー、お願いです!」彼が言った。「懇願します!」

その子供はもはや奇妙な暴君ではなく、抵抗できない哀願者だった。

エルノートンは両腕で抱き締めた身体の繊細さに驚きながら、彼を持ち上げた。

小姓の頭はその他全ての頭の上にそびえたった。

サルセドは周りをぐるりと見回した後、まさに羽ペンを掴もうとしていた。

彼は若者の頭に気が付いた。そして、麻痺したままだった。

この瞬間、小姓の2本の指が彼の唇の上に置かれた。抑えがたい喜びが死刑囚の顔の上に輝いた。人々は悪酔いした大富豪のラザルスが自分の乾いた下に水を一滴落としたと言った。

彼はとてもいらいらしながら待っていた合図を認めた。と言うのは、それは彼の救助を知らせるものだった。

サルセドは一瞬熟考した後、タンションが彼に差し出した紙を掴み、躊躇に不安を覚えながら、熱を帯びた活気と共に、書き始めた。

「彼が書いている!彼が書いている!」群衆が呟いた。

「彼が書いているわ!」王太后が明らかな喜びを示しながら、繰り返した。

「彼が書いている!」国王が言った。「ああ!私は彼を容赦しよう。」

突然、サルセドはもう一度若者を見るために、止まった。

若者は同じ合図を、繰り返した。そしてサルセドは再び書き始めた。

一瞬の合間に、彼は再びもう一度見るために、止まった。

この時小姓は指と頭で合図をした。

「終わりましたか?」紙を見失っていなかったタンションが言った。

「ああ。」サルセドが憂鬱そうに言った。

「それでは署名してください。」

サルセドは紙に視線を投げず、目は若者を見据えたまま、署名した。

タンションは自白書の方に手を伸ばした。

「国王に、国王だけに。」サルセドが言った。

そして彼は紙を軍服の中尉に、最後に武器に降伏した敗北した兵士のような躊躇と共に手渡した。

「もしあなたが全てを十分に自白されたのなら、」中尉が言った。「あなたは無事です、ムッシュー・ド・サルセド。」

皮肉と不安を表す微笑が、謎めいた友人にいらいらしながら質問しているかのように見えた苦しんでいる人の唇に浮かんだ。

ついに、エルノートンは疲れて、困った重荷を下ろすことを望んだ。彼は両腕を開いた。小姓は地面に滑り降りた。

彼と共に、死刑囚を支えていた姿が消えた。

サルセドはもはや彼を見なくなった時に、彼を目で探した。それから、取り乱したようになった。

「ああ!早く、早く、急いでくれ!」彼が言った。「国王が紙を持っている。彼は読むつもりだ!」

誰も動かなかった。

国王は急いで自白書を開いた。

「おお!ちくしょう!」サルセドが叫んだ。「彼らは私を馬鹿にしていたのか?しかしながら、私は彼女をはっきりと認めた。彼女だった。彼女だった!」

国王が最初の行に目を通すや否や、憤りに襲われているように見えた。

それから彼は青ざめ、そして叫んだ―。

「おお!見下げ果てた奴だ!おお!悪人だ!」

「どうしたのです、息子よ?」カトリーヌが尋ねた。

「彼は撤回しているのです、母上。彼は決して何も自白しなかったというふりをしているのdす。」

「そして、それから?」

「それから彼は無実であり、ムッシュー・ド・ギーズたちの陰謀とは無関係であることを宣言しているのです。」

「事実、」カトリーヌが口ごもった。「もしそれが真実なら?」

「彼は嘘をついている!」国王が叫んだ。「彼は無宗教者のように嘘をついている。」

「あなたはどうやって知ったのです、息子よ?ムッシュー・ド・ギーズたちは多分中傷されています。裁判官たちは多分あまりにも熱心過ぎて、証言を間違って解釈してしまったのでしょう。」

「ああ!マダム。」アンリがもはや自制することができずに、叫んだ。「私は全てを聞いたのです。」

「あなたが、息子よ?」

「はい、私がです。」

「よろしければ、いつそれを?」

「囚人が拷問で苦しんでいる時に、私はカーテンの後ろにいたのです。私は一言も聞き洩らしませんでした。すべての言葉が、ハンマーの下の釘のように、私の頭の中に叩き込まれました。」

「ああ、何と!彼に拷問をせざるを得なかったので、彼は拷問で話したのね。馬たちを引っ張らせるように命令なさい。」

アンリは怒りに駆られて、手を挙げた。

タンション中尉は合図を繰り返した。

すでに囚人の四肢には紐が付けられていた。4人の男たちが4頭の馬に飛び乗った。4つの鞭の音が鳴り響いた。そして4頭の馬が反対の方向に向かって、前に突進した。

恐ろしいバリバリという音と恐ろしい叫び声が処刑台から挙がった。人々は不幸なサルセドの手足が青くなり、伸ばされ、血が注入されたのを見た。彼の顔はもはや人間の物ではなかった。それは悪魔の仮面だった。

「ああ!裏切り者!裏切り者!」彼が叫んだ。「ああ!私は話そう。私は話したい。全てを話したい。ああ!忌々しい公爵・・・」

その声は馬たちのいななきと群衆のざわめきの上に挙がった。しかし、突然それが消えた。

「止めなさい!止めなさい!」カトリーヌが叫んだ。

それはあまりにも遅すぎた。サルセドの頭は少し前まで苦しみと憤怒で硬直していたが、突然処刑台の床の上に落ちた。

「彼に話をさせなさい。」王太后が大声でわめいた。「止めなさい、ああ、さあ止めなさい!」

サルセドの目は過度に瞳孔が開き、頑固に小姓が現れた集まりの方を見据えていた。

タンションは巧みにその方向の後を追跡させた。

しかし、サルセドは話すことができなかった。彼は死んでいた。

タンションはサルセドが非難していた視線が示していた方向の群衆の中を探し始めていた射手たちにいくつかの命令を与えた。

「私は見つけられてしまいました。」若い小姓がエルノートンの耳に言った。「後生ですから、私を助けてください、私を援助してください、ムッシュー、彼らが来ています!彼らが来ています!」

「しかし、きみは再び何を望んでいるんだい?」

「逃げたいのです。あなたは彼らが探しているのが私だということが分からないのですか?」

「しかし、それならきみは何者なんだい?」

「女なのです・・・私を救ってください!私を守ってください!」

エルノートンは青ざめた。しかし、寛大さは驚きと不安に打ち勝った。彼女の前に立ち、短剣の柄で一撃を食らわせながら、道を切り開き、デュ・ムートン通りの角の開いているドアの方に押し込んだ。

彼の小姓はさっと動き、彼を待っているかのように見えたドアの中に姿を消し、ドアは彼の後ろで閉まった。

彼は名前もどこで再び彼に会えるのかさえも尋ねる時間がなかった。

しかし、若い小姓は、あたかも彼の考えを見抜いていたかのように、姿を消しながら、十分な約束の合図をしていた。

今や自由になったエルノートンは広場の中心に振り返った。そして処刑台と王家の観覧席に一瞥を投げた。

サルセドは処刑台の上で硬直して、鉛色になって、横たわっていた。

カトリーヌは青ざめて、震えながら、観覧席の中で立っていた。

「息子よ、」彼女は額の汗を拭いながら、ついに言った。「息子よ、あなたは死刑執行人を変えるのがよかったでしょう。それは同盟者です!」

「そして、なぜあなたはそのように疑うのですか、母上?」アンリが尋ねた。

「御覧なさい!御覧なさい!」

「ああ!私は見ていますよ。」

「彼は1回引っ張っただけで、耐えられませんでした。そして死んだのです。」

「彼は痛みにあまりにも敏感すぎたからでしょう。」

「そうではありません!そうではありません!」カトリーヌが自分の息子の洞察力の少なさによって引き出された軽蔑の微笑みをしながら、言った。「なぜなら、自分に死をもたらした人々について告発しようとしたその瞬間に、彼は処刑台の下で細い紐によって考察されたのです。博学な医者に死体を調べさせなさい。そして、あなたが彼の首の周りに紐が残した丸い跡を見つけることを確信します。」

あなたは正しい!」アンリが目を輝かせながら、叫んだ。「私の従兄のギーズ(*3)は私よりもずっとよく奉仕されていますね。」

「静かに!静かに!息子よ。」カトリーヌが言った、「全く輝かしくありません。人々は私たちをあざ笑うでしょう。なぜならもう一度勝負に負けたのですから。」

「ジョワイユーズがどこか他の場所で楽しむのはもっともだった。」国王が言った。「人々はこの世では何も頼ることができない―処刑さえもだ。立ち去りましょう、ご婦人方。立ち去りましょう。」

<2013.5.8修正済>

*1:Rue St.Vannerie

多分Rue de la Vannerieのこと。下図でグレーヴ広場の下に通りでセーヌ川から数えて3番目の通りが該当。

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0013/f28l0013_5_1.html

*2:pied

1ピエは32.4cmなので、3ピエは約1m。

*3:アンリ三世とギーズ公爵は本当はまたいとこの関係です。(アンリ三世の父のアンリ二世とギーズ公爵の母アンナがいとこ同士という関係。)

2013年5月 7日 (火)

かなり長いです・・・(;;;´Д`)

結局今日(ってもう昨日)も『四十五人』は4章しか完了できませんでした。修正済の章は頭書きが変わっているので、そこでわかるかと思います。現時点では4章までが修正完了です。

そして文字量もこれまでのと比較して、1.5倍くらいになっています。っていうか、実は今まで読んできた内容の4割分くらいをこれから読まなきゃならない計算なのですsweat01

道理で時間がかかる訳だよって感じです・・・sweat02

でも、4章は抄訳版ではさら~っと流されていたサルセドについて非常に詳しく語られていて、カトリーヌ・ドメディシスの嫁いびりとか、中々面白かったです。多分フランスの歴史をそんなに知ったって・・・ってことで割愛されていたのかもしれませんが、どういう経緯でサルセドの処刑に至ったかがよくわかったって感じです。やっぱり詳しく読むと理解も深まるぞと思いました。いや、そんなことにこだわっているのは私くらいかもしれませんが・・・coldsweats01

明日(ってもう今日)からは1日1章もいけるかどうか微妙です・・・sweat02何せ1章当たり8~10ページくらいあるんで。だからいくら内容が分かっているとはいえ、一からの読み直しなので、読むペースも『シャルニー伯爵夫人』並みですね。あれは1日2章がノルマでしたが、うん、本当にそんな感じの分量です。

2013年5月 6日 (月)

4章:アンリ三世陛下のグレーヴの観覧席

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』 からの翻訳です。英文テキストにない内容はフランス語原文テキストから付け足しを行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

もし我々が今、サン-タントワーヌ地区のこの生きた塊が止まっているグレーヴ広場に行くなら、群衆の中に我々の知人の何人かを見つけるだろう。しかし、一方で、これらの哀れな市民たちの全ては、ロベール・ブリケのように賢くはなく、お互いを押し合い、肘鉄を食らわせ、喧嘩していた。効果を熟考した後に原因を調べるために我々が一瞬過去に戻りながら、一瞥で全光景を見てとる時、我々は歴史的翼が我々に与えてくれた特権のおかげで、広場そのものに移動することを好む。

我々はメートル・フリアールが10万人の人を計算したのは正しいと言ったかもしれない。少なくともそこで準備されている光景を楽しむためにグレーヴ広場及びその近所にその数の見物人が押し寄せていただろう。パリ中の人が市役所前で出会った。そしてパリはとても規則正しい。パリはお祭りに決して不足していない。そして、それはお祭りであり、とても異常なものであり、一人の男の死であり、彼がとても多くの情熱を呼び起こす方法を知っている知っている時、ある者は彼を呪い、他の者は彼を賞賛し、一方でとても多くの人たちが彼に同情する。

広場に到着することに成功した見物人は聖母マリア像の居酒屋の近くの河岸から、あるいはボードワエール(Baudoyer)広場(*1)のポーチさえからも、グレーヴの真ん中に、短い服を着た中尉のタンション(Tanchon)の弓の射手たち、そしてかなりの数のスイス兵と軽騎兵が4つの足の周りに建てられた小さな処刑台を取り囲んでいることを最初に気付く。

この処刑台はとても低かったので、その周りにいる人、あるいは聖職者たちの手の中にいる犠牲者を、朝から待ち、窓に場所を手に入れる幸せを持った人にしか見ることができず、人々の元気な表情と一致して、馬たちは彼を長い旅に連れて行くために待っていた。

事実、自発的にこの場所を選んだ、あるいは群衆によってそこに追いやられた女たちがとても恐怖に思ったことには、広場の中のデュ・ムートン通り(*2)から最初の家のアーチ形の道の下には、白いたてがみと毛深い脚を持ったペルシェ地方からの4頭の元気のよい馬がいらいらしながら舗道を踏み鳴らしていた。そして、お互いにかみつき、いなないた。

馬たちは新しいものだった。それらは生まれ故郷の草に覆われた平原で、時々、広い背中にがっしりとした農民の丸々と太った子供を運び、草原からの帰りが遅れるや否や、日が暮れた。

空の処刑台の後、いなないている元気な馬の後、この群衆の注意をいつもの度合い以上に引き付けていたのは、金と赤のヴェルヴェットが垂れ下がっていた市役所の主要な窓であり、ヴェルヴェットのカーペットをぶら下げ、王家の盾で飾られているバルコニーからだった。

事実、この窓には国王の観覧席があった。

グレーヴで、サン・ジャンからの1時半の時報が鳴り響いた時、この窓はそこに含まれることになる登場人物たちの絵の額のようであった。

最初の人は国王アンリ三世で、青ざめており、この時代、彼は34あるいは35歳以上ではなかったけれども、ほとんどはげていた。彼の目は暗い眼窩の中に沈み、彼の口は神経の収縮で全く震えていた。

彼は黙りこくって、入ってきた。彼の表情は確固として、威厳があり、不安定だった。彼の服装は稀に見るもので、立ち振る舞いも稀に見るものだった。生きている者と言うよりむしろ影だった。国王と言うよりむしろ幽霊だった。謎は彼を見ながら、「国王万歳!」あるいは「彼の魂のために祈れ。」と叫んでいいのかどうかわからない家臣たちにはいつも理解できない、いつも真価を認められないもののように見えた。

アンリは黒い房飾りのついた黒いダブレットを着ていた。彼は縁なし帽(*3)の中で、3つの短い、巻き毛の羽毛の留め金として使われていた、きらきら輝いている1粒のダイヤモンドを除いては、勲章も宝石も身に着けていなかった。彼の左手には義姉のメアリー・スチュアートが牢獄から彼に送ってよこした小さな黒い犬を持っていた。そして彼の絹の上着の上には雪花石膏の指のような小さく、白い指が輝いていた。

彼の後ろから、年齢のためにすでに腰が曲がっていた、カトリーヌ・ド・メディシスがやって来た。と言うのは、この時代、母后は66歳か67歳であった。しかし、まだ頭をしっかり真っ直ぐにし、彼女のしかめた眉の下から突き刺すような視線を投げていた。そしてこの視線にもかかわらず、永遠の喪服の中で、蝋の像のように、いつも冷たく、威厳があった。

同じ列の中に、アンリ三世の妻である、王妃ルイーズ・ド・ロレーヌの穏やかで、憂鬱な姿が、彼の騒々しい、そして重要な生活の現実において重要でない相手ではあるが、忠実である様子で、現れた。

母后カトリーヌ・ド・メディシスは勝ち誇ったように前に進んだ。

王妃ルイーズはその実行を手助けした。

国王アンリはそれを出来事として扱った。

3つの色合い、最初の人の額には高慢さ、二番目の人の額にはあきらめ、そして三番目の人の額にはぼんやりして、あきあきしているのが読み取れた。

人々が賞賛する、とても青ざめていて、とても静かな3人の有名な個人の行列の中に、二人の美しい若者が従っていた。一人は20歳くらい、もう一人は多くても25歳くらいだった。

教会の中の神の前でのように、陛下の面前で人が何かにくっついているのは禁じられている礼儀作法であったにもかからわず、彼らは腕を組んでいた。

彼らは微笑んだ。

若い方は言い表せない悲しみとともに、もう一方は魅力的な優雅さと共に。彼らは美しく、背が高く、兄弟だった。

若い方はデュ・ブシャージュ(du Bouchage)伯爵アンリ・ド・ジョワイユーズ(de Joyeuse)と言った。もう一方はアンヌ・ド・ジョワイユーズ公爵だった。更に最近、彼はダルク(d'Arques)という名前で、宮廷で知られていた。しかし、国王アンリは誰よりも彼を愛し、1年くらい前にジョワイユーズの子爵位を公爵位に上げることで、彼をフランスの大貴族にした。

人々はこの寵臣に対して、以前モジロン(Maugiron)やケリュス(Quelus)やショーンベルク(Shomberg)に対して持ったような強い嫌悪感やデペルノンにだけ受け継がれた強い嫌悪感を持たなかった。

それゆえ、人々は王子と2人の兄弟を控えめな、しかしお世辞の喝采と共に受け入れた。

国王アンリは群衆に厳かにそして微笑まず、挨拶した。それから頭の上の彼の子犬にキスをした。

そして、二人の若者たちに振り返った―。

「タペストリーにもたれていなさい、アンヌ。」彼は年長者に言った。「立ったままでいるのが疲れないように。多分長くかかるだろうから。」

「私も本当にそのように望みます。」カトリーヌが遮った。「長く、十分に、陛下。」

「それでは、サルセドは話すだろうとお考えなのですか、母上?」アンリが言った。

「神は私たちの敵にこのようにして間違いを悟らせるだろうと思います。私は私たちの敵と言います。と言うのは、彼らはあなたの敵でもあるからです、私の娘よ。」彼女は青ざめて、彼女の穏やかな視線を地面に向けた王妃の方に振り返りながら、付け加えた。

国王は疑念のしるしに頭を振った。

そして、二度目にジョワイユーズの方に振り返って、彼の提案にもかかわらず、後者が立ったままであることを見て―、

「さあ、アンヌ、」彼が言った。「私が言ったようにしなさい。壁にもたれるか、肘掛け椅子に寄り掛かりなさい。」

「陛下は本当にあまりにもご親切です。」若い公爵が言った。「そして私はいくらか疲れるまで許可を利用しません。」

「そして私たちはあなたが疲れるまで待っていないでしょうね、私の兄上?」アンリが小声で言った。

「落ち着きなさい。」アンヌが声よりむしろ目で答えた。

「私の息子よ、」カトリーヌが言った。「私は河岸の角のそこの下の騒動を見ていないのですか?」

「何と慧眼な!母上。そうです、事実、私はあなたは正しいと思っています。おお!まだ年寄りでもないのに、私は何と悪い視力を持っているのか。」

「陛下、」ジョワイユーズが自由に遮った。「わめき声が弓の射手の中隊のそばで、広場に入ってきた民衆の人混みから挙がっています。十中八九、到着したのは死刑囚です。」

「国王たちにとって何と喜ばしいことでしょう。」カトリーヌが言った。「血管に王家の血の滴りを持つ男の四つ裂き刑を見ることは。」

これらの言葉を言いながら、彼女の視線はルイーズに落とされた。

「おお!マダム、私をお許しくださいませ、私をご容赦くださいませ!」若い王妃が仮面をつけようと虚しく努力した絶望と共に、言った。「いいえ!この怪物は私の家族の一員ではありません。そしてあなたは彼がそうであると言うことができなかったんですわ。」

「いいや、確実に!」国王が言った。「そして私は全く母上がそういうつもりはなかったと確信している。」

「まあ!でも、」カトリーヌが鋭く言った。「彼はロレーヌたちに共感しているわ。そしてロレーヌはあなたの家ですよ、マダム。少なくとも私はそう思いますよ。このサルセドはそれゆえあなたに、そして密接に接触するのです。」

「それが意味するのは、」ジョワイユーズが、彼の性格の独特な特徴であり、それを起こさせる人に対して、それが誰であっても、あらゆる場合に示した正直な憤りで、遮った。「それが意味するのは彼が、多分、フランスの王妃ではなく、ムッシュー・ド・ギーズに接触しているということです。」

「ああ!あなたはそこにいるのね、ムッシュー・ド・ジョワイユーズ?」カトリーヌがはっきりと言い表せない高慢さと共に、そして反駁に対して屈辱を与えながら、言った。「ああ!あなたはそこにいるのね?私はあなたを見ていなかったわ。」

「私はここにおります。許可をいただいているだけでなく、国王のご命令によって、マダム。」ジョワイユーズが国王アンリを見ながら、答えた。「人が四つ裂きにされるのを見ることはとても楽しい出来事ではありませんので、もし私がそれを余儀なくされないのであれば、私はそのような光景に参加しないでしょう。」

「ジョワイユーズは正しいです、マダム。」国王が言った。「ここにはロレーヌにもギーズにも関わることはありません。そしてとりわけ王妃にもです。私たちはムッシュー・ド・サルセド、つまり私の弟を殺しただろう暗殺者が四つ裂きにされるのを見るためにここにいるのです。」

「私は今日は不幸ですよ。」カトリーヌが突然屈服しながら、言った。それは彼女のとても熟練した攻撃方法だった。「私は私の娘を泣かせてしまいました。そして神が私をご容赦くださいますように。私はムッシュー・ド・ジョワイユーズを笑わせたと思いますよ。」

「ああ!マダム。」ルイーズがカトリーヌの両手を掴みながら、叫んだ。「王太后陛下が私の苦しみを誤解なさるのはありえることですわね?」

「そして私の深い尊敬も。」アンヌ・ド・ジョワイユーズが王家の肘掛け椅子の手にもたれながら、付け加えた。

「その通りです、その通りです。カトリーヌが別な矢を彼女の義理の娘の心に埋めながら、答えた。「私は、あなたの親戚のロレーヌの陰謀が暴露されることを見ることは、あなたにとってとても痛ましいことであると知るべきでしたよ、私の親愛なる子供よ。そして、あなたは彼らと共にいないかもしれないけれど、それにもかかわらずこの親戚関係のために苦しんでいるだろうと。」

「ああ、そのことに関して言えば、母上、それはいくらかその通りです。」国王が彼女らの間を仲直りさせようと努力しながら、言った。「と言うのは、今回、私たちはムッシュー・ド・ギーズたちのこの陰謀への参加について考えることに気付いたのです。」

「でも、陛下、」ルイーズ・ド・ロレーヌが、彼女がまだしたことがないような大胆さで、遮った。「陛下は私がフランスの王妃になる時に、私が親戚を王位の下に遠ざけたことをよくご存知ですわ。」

「ああ!」アンヌ・ド・ジョワイユーズが叫んだ。「私が間違っていなかったことがお分かりでしょう、陛下。ここに苦しんでいる人がいます。その場所に姿を現すことを!ああ、何と残酷な姿だ!」

「彼はおびえているわね。」カトリーヌが言った。「彼は話すでしょう。」

「もし彼が力を持っているのなら、」国王が言った。「それなら、ご覧ください、母上、彼の頭は死体のもののようによろめいているのを。」

「私はそれを認めます、陛下。」ジョワイユーズが言った。「恐ろしいことです。」

「考えがとても醜い男をそなたはどうやってそれを美しいものにしたいのだ?私はそなたに説明していなかったか、アンヌ?ヒポクラテスやガレヌスが理解していたように、そして彼らが説明したように、物理学と道徳性の秘密の報告について。」

「私はそれを否定しません、陛下。しかし私はあなた自身と同等の生徒ではないのです。そして私は時々とても醜い男たちがとても勇敢な兵士たちになるのを見ました。そうではないかい、アンリ?」

ジョワイユーズは、あたかも賛成の援助を求めるかのように、弟の方に振り返った。しかし、アンリは見ることなしに見て、聞くことなしに聞いていた。彼は深い空想の中に陥っていた。それゆえ、彼のために答えたのは国王だった。

「ああ!何と!私の親愛なるアンヌ。」彼は叫んだ。「誰がそなたにこの者が勇敢でないと言うのだ?彼は、おお、熊のように、狼のように、蛇のように、そうだ。そなたは彼の行いを覚えていないのかね?彼は家の中で、彼の敵であるノルマン人の紳士を焼き殺した。彼は10回戦い、彼の敵の3人を殺した。彼は贋金を鋳造している現場を取り押さえられた。そしてこの行為のために死刑宣告を受けたのだ。」

「その証拠に、」カトリーヌ・ド・メディシスが言った。「彼は、あなたの従兄(*4)のギーズ公爵殿のとりなしで容赦されたのです、私の娘よ。」

この時、ルイーズは力を使い果たしていた。彼女は深いため息をつくことに甘んじた。

「さあ、」ジョワイユーズが言った。「十分に過ごした、そしてまもなく終わりを迎える命です。」

「私は望みますよ、ムッシュー・ド・ジョワイユーズ。」カトリーヌが言った。「逆に出来る限りゆっくり終わることを。」

「マダム、」ジョワイユーズが頭を振りながら、言った。「日よけの下のそこにとてもよい馬たちがいるのを見ます。そして、私には、それらが何もしないで、そこに留まることを余儀なくされえていることに対してとてもいらいらしているように見えるので、ムッシュー・ド・サルセドのアキレス腱、筋肉、軟骨がとても抵抗を示すだろうとは思えません。」

「そうです、もしそれらがそのような場合に反して用意されていなかったならです。しかし、私の息子は慈悲深いのです。」王太后は自分自身が持っている微笑みの1つを浮かべながら、付け加えた。「彼は優しく引っ張るように言われた助手たちを持つでしょう。」

「にもかかわらず、マダム、」おどおどしながら、若い王妃が反論した。「私は今朝あなたがマダム・ドメルクール(Mercoeur)に言っているのを聞きましたわ。少なくともそう思います。みじめな不幸な人はたった2回引っ張られる苦しみを負うだけだろうと。」

「もし彼が申し分なく振る舞えば、その通りです。」カトリーヌが言った。「その場合、彼は出来る限り早く始末されるでしょう。しかし、あなたが聞いている通り、私の娘よ、そして私が聞いていただろう通り、あなたは彼に何か関心を持っているので、彼にそれを知らせていたのです。もし彼が申し分なく振る舞えば、それは彼の個人的な問題です。」

「私の唯一の理由は、マダム、」ルイーズが言った。「神が私にあなたの力をお与えくださらなかったので、私は苦痛を見るのをとても望んでいないということです。」

「よろしい、それなら目を背けておいでなさい、私の娘よ。」

ルイーズは沈黙した。

国王は何も聞いていなかった。彼は熱心に注視していた。と言うのは、人々が犠牲者を小さな処刑台の上に置くために、彼を連れて来た荷車から持ち上げているのに専念していたからだ。

この時間の間、ほこやり(*5)で武装した護衛たち、弓の射手たち、スイス兵が場所を大きく取っていた。サルセドの葬式の台座がわずかな高さだったにもかかわらず、あらゆる目がサルセドを見分けるために、処刑台の周りには十分な余地があった。

サルセドは34歳か35歳だった。彼は力強く、活動的だった。彼の青ざめた顔には真珠のような数滴の血と汗が置かれており、彼が時々希望の、時々絶望の言い表せられない表情と共に辺りを見回した時、生気に満ちていた。

彼は最初の瞬間王家の観覧席に一瞥を投げた。しかし、あたかも彼が人生の代わりにそこから来るのは死であると理解したかのように、彼の視線は再びそこには据えられなかった。

彼が求めていたのは群衆の中だった。彼が燃えるような目で、そして唇の端を震えさせる魂で探していたのは、この嵐のような海の内部だった。

群衆は沈黙していた。

サルセドは卑しい暗殺者ではなかった。本人が自負している以上に家系図に関してより優れた鑑定家であったカトリーヌ・ド・メディシスが血管に王家の血の雫を発見していたので、サルセドの出自はよかった。その上、サルセドはある有名な大尉だった。不名誉な紐で縛られているその手が勇敢に剣をふるった。その鉛色の頭は、囚人が多分彼の魂の奥底に埋めていただろう死の恐怖で塗られていた。もし希望がそこにそんなに大きな場所をとらなかったら、この鉛色の頭はいくつかの大きな陰謀を隠していた。

我々が言ったものから、多くの見物人にとって、サルセドは英雄だと言う結果になった。多くのその他の者たちの意見では、彼は犠牲者だった。ある者は彼を本当に暗殺者と見做したが、群衆は裁判同様、歴史のページに記録された大殺戮を企てた人たちを普通の犯罪者の階級では軽蔑となるものに導くのは難しかった。

こうして、群衆がどのようにしてサルセドが武人の家系に生まれたかを語るのはそれゆえだった。彼の父親はド・ロレーヌ枢機卿に対して戦い、それが彼にサン・バルテルミーの大虐殺の真っ只中での輝かしい死の犠牲をもたらしたが、この死を忘れた、正確に言えば自分の憎悪を、民衆がいつも何らかの同情をしている、ある野心への生贄に捧げた息子、我々が言ったこの息子はフランス人からとても嫌われていたダンジュー公爵のフランドルにおいて増大していた力を壊滅させるためにスペインとギーズ家と協定を結んでいた。

人々は、アンリ三世の弟であるフランソワ公爵の命をほとんど犠牲にしていた、この陰謀の疑わしい張本人たちである、バザ(Baza)とバルアン(Balouin)との関係を引き合いに出した。人々は彼がこれらの訴訟手続きの全てにおいて、車責めの刑車、さらし絞首台、そして彼の共犯者たちの血がまだくすぶっていた火刑用の磔台を逃れるために示した巧妙さを引き合いに出した。ロレーヌが言ったように、彼だけが暴露によって偽の、そしてたくさんんの策略を持っており、そのような点において裁判官をそそのかし、さらに多くの情報を知るために、ダンジュー公爵は彼を差し当たり容赦し、アントワープかブリュッセルで首を刎ねる代わりに、フランスに連行した。結果が同じであったことは事実だった。しかし、旅行中が暴露の目的であり、サルセドは自分の同志たちによって解放されることを望んでいた。彼にとって不幸なことに、彼はとても注意をしていたムッシュー・ド・ベリエーヴル(Bellievre)を考慮していなかったので、スペイン人もロレーヌたちも同盟者たちも彼に近づくことはできなかった。

牢獄の中で、サルセドは希望を持っていた。拷問にあっても、サルセドは希望を持っていた。荷車の中でも彼はまだ希望を持っていた。そして処刑台の上で、希望は彼を見捨てていなかった。それは彼が勇気を失ったことでもあきらめがなくなったことでもなかった。しかし、彼は最後の息まで、力強く整えられていない心が滅多に達成しないがんこさと活力を持って自分自身を守る人たちの一人だった。

国王も、それ以上に人々もサルセドについてのこの絶え間ない考えを失っていなかった。

カトリーヌに関しては、心配そうに不幸な若者のわずかな動きを注意して観察していた。しかし、彼女はあまりにも距離があり過ぎたので、彼の目の方向を追うことも、彼の絶え間ない動きに気付くこともできなかった。

囚人が到着して、群衆の中で魔法のように舞台の男達、女達、子供達がそこに立ち上がった。すでにサルセドの用心深い目によって見られていた、彼が動いている位置より上に新しい頭に気付く度に、彼は1時間同様に十分であった1秒でそれを完全に分析した。この極度に興奮した組織は、今やとても貴重になってきた時間の中で、その能力全てを10倍、しかり100倍に増大させた。

この素早い吟味の後、サルセドは機嫌が悪くなり、注意を他にそらした。

しかしながら、死刑執行人は彼を手に入れ始めた。そして、死刑執行人は彼の身体の真ん中を処刑台の真ん中に縛り付けた。

すでに、軍服の中尉であるメートル・タンションからの合図によってさえ、処刑が指揮監督され、2人の弓の射手たちが群衆を突き抜け、馬を探しに行った。

他のどんな状況下においても、あるいはどんな意図を持っていても、射手たちはこの密集した群衆の塊の真ん中を通って、一歩踏み出すことはできなかっただろう。しかし、群衆は射手たちが何をしに行ったのかを知っていた。そして、塞がれた劇場で、人々がいつも重要な役を課された俳優たちに場所を与えるように、近くに引き寄せ、道を開けた。

この瞬間、王家の観覧席のドアで何か騒ぎがあった。そして、案内係がタペストリーを上げ、陛下たちにブリッソン(Brisson)議長と4人の議員たち―彼らの一人は裁判の記録係だった―が少しの間国王と死刑執行の件について話をする栄誉に浴することを望んでいることを知らせた。

「それは素晴らしい。」国王が言った。

そして、カトリーヌの方に振り向きながら―、

「さあ!母上、」彼が続けた。「あなたは満足されるでしょう。」

カトリーヌは承認の手段として、かすかに頭を傾けた。

「これらの紳士たちを案内してくれ。」国王が言った。

「陛下、お願いが。」ジョワイユーズが要求した。

「話しなさい、ジョワイユーズ。」国王が言った。「そして、もしそれが死刑囚のものでなければ。」

「ご安心ください、陛下。」

「私は聴いているよ。」

「陛下、私の弟ととりわけ私の視力を特に傷つける1つのことがあります。それは赤い服と黒い服です。それゆえ陛下は私たちが退出することをご親切にもお許しくださいますか?」

「なんと!そなたは私の出来事に関してそんなに興味がないのか、ムッシュー・ド・ジョイワユーズ。だからそなたはこのような時に退出を求めるのだな?」アンリが叫んだ。

「それを信じないでください、陛下。陛下のお心を動かすものが何であれ、私にとっては深い関心があります。しかし、私は不幸な組織を持っているのです。この点においては最も弱い女性でさえ私よりも強いでしょう。私は処刑を見ることができませんが、1週間病気になります。しかし、私はなぜそうなったのかはわかりませんが、私の弟がもはや笑わなくなって以来、今や宮廷には私自身以外笑う者は誰もおりませんので、もし私が自分自身でまだ更に陰鬱にすることを決めたのなら、すでにとても陰鬱になっている哀れなルーヴルがどうなるか、お考えください。それゆえ、陛下、お願いです―。」

「そなたは私から離れたいのだな、アンヌ?」アンリが悲しげに言った。

「何と、陛下、あなたは注文の多い方です。あなたは仇討と見世物を同時に望んでいるのです。そして、何と言う見世物でしょう。私自身とは全く違い、あなたは最も好奇心を持っておられる。仇討と見世物はあなたを苦しめません。そしてあなたは同時にあなたの友人たちの弱さを楽しまれるに違いありません。」

「残りなさい、ジョワイユーズ、残りなさい。そなたはそれが興味深いことであると知っているだろう。」

「私はそれを疑ってはおりません。私は恐れてさえいるのです。私が陛下に申し上げました通り、興味が私の我慢できないところまで届くだろうことを。それゆえ、お許しいただけませんか、陛下?」

「わかった!わかった!」アンリ三世がため息をつきながら、言った。「勝手にしなさい。私の運命は一人で生きることだ。」

そして、国王は眉をしかめ、彼と彼の寵臣の間で交わされた会話を聞いていなかったか、恐れながら、母親の方に振り返った。

カトリーヌの聴力は視力同様、はっきりしていた。しかし、彼女が聞くことを望まない時、彼女の耳より近い耳はなかった。

そうこうしているうちに、ジョワイユーズが弟の耳に身をかがめた。そして、彼に言った―。

「早く、早く!デュ・ブシャージュ。これらの議員たちが入ってくる間に、彼らの大きな服の後ろに素早く動いて、逃げよう。国王は今『いい。』と言っているが、5分以内に『ダメだ。』と言うだろう。」

「ありがとう!ありがとう!兄上。」若者が答えた。「私はあなたのようだった。私は離れるために急ぎました。」

「来るんだ、来るんだ、貪欲な人たちが近づいてきている。姿を消すんだ、優しいナイチンゲール。」

事実、議員たちの後ろには二人の若者たちが2つの素早い幽霊のように逃げ去るのが見られたかもしれない。

彼らの上に重いタペストリーが落とされた。

国王が振り返った時、彼らは既に姿を消していた。

アンリは深いため息をつき、彼の子犬にキスをした。

<2013.5.6修正済>

*1:Place Baudoyer

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0013/f28l0013_4_1.html

*2:Rue du Mouton

上記地図のグレーヴ広場から左に出ている通り。

*3:toquet

Img

*4:従兄といっても実際のいとこ関係にはない。ギーズ家はロレーヌ家の分家筋で、遠い親戚なので、一般的に遠い親戚のことを「いとこ」と言ったことで、この表現になっていると推察します。

*5:halberdier(ほこやりを持つ護衛)。ほこやりとは下図の鎧の人が持っている武器です。

Img

2013年5月 5日 (日)

3章:吟味

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』 からの翻訳です。英文テキストにない内容はフランス語原文テキストから付け足しを行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02

我々が人々の列から姿を現したのを見た、6人の特権を与えられた個人への吟味は門に近づきながら受けさせられ、とても長くもとても複雑でもなかった。

それはポケットから証明書の半分を取り出し、それを将校に見せ、彼が別な半分と比べることで構成されていた。そして、もしそれらの比較で二つの半券が合致し、1枚になれば、証明書の所有者の権利が証明された。

無帽のガスコーニュ人が最初に近づいた。それゆえ、吟味は彼と始まった。

「お名前は?」将校が尋ねた。

「私の名前ですか、将校殿?証明書の上に書いてありますよ。あなたもその上に何か他のものを見ているでしょう。」

「そんなことはどうでもいい。きみの名前は?」将校がいらいらして、繰り返した。「きみは名前を知らないのかね?」

「知ってますよ、もちろん。ちぇっ!そして、もし私がそれを忘れていたのなら、あなたは私にそれを思い出させることができますよ。私たちは同郷人であり、従兄弟でさえあるのだから。」

「お名前は?きみは私が認証するのに時間を無駄にできると思っているのかね?」

「大いに結構。私の名前はペルデュカ・ド・パンコルネ(Perducas de Pincornay)です。」

「ペルデュカ・ド・パンコルネ。」ムッシュード・ロワニャック(de Loignac)―我々はこれから彼の同志が彼に挨拶する名前を与えよう―が繰り返した。そして、証明書に視線を投げた。

「ペルデュカ・ド・パンコルネ、1585年10月26日正午正確に。」

「サン-タントワーヌ門。」ガスコーニュ人は証明書の上に彼の乾燥した浅黒い指を伸ばした。」

「大いによろしい!それは正規の用紙だ。入れ。」ムッシュー・ド・ロワニャックは自分と同郷人との会話をさらに短くするために、言った。「さあ、きみだ!」彼は二番目の人に言った。

胴鎧を着けた人が近づいてきた。

「きみの証明書は?」ロワニャックが尋ねた。

「えっ、何と!ムッシュー・ド・ロワニャック、」彼が叫んだ。「あなたは膝の上で20回も飛ばさせた、若者だった頃の友人の一人の息子を覚えていないのですか?」

「そうだ。」

「ペルティナ・ド・モンクラボー(Pertinax de Montcrabeau)です。」若者は驚いて、答えた。「あなたは彼がわからないのですか?」

「私は勤務中の時は誰もわからない。きみの証明書は、ムッシュー?」

若者は彼の証明書を前に出した。

「ペルティナ・ド・モンクラボー、10月26日、正午正確に、サン-タントワーヌ門、通過しろ。」

若者が通過した。そして、少し彼の応対にまごついて、開かれた門で待っていたペルデュカに再会した。

3番目のガスコーニュ人が近づいてきた。妻と子供たちを持つ人だった。

「きみの証明書は?」ロワニャックが尋ねた。

彼の従順な手はすぐに彼が右側に身に着けていた小さな革袋の中に突っ込まれた。

しかし、それは無駄だった。彼が両手に抱える子供に邪魔をされ、彼は望んでいる書類を見つけることができなかった。

「きみは一体全体その子供と何をするのかね、ムッシュー?きみは彼が邪魔になっていることを明らかに知っているのでは?」

「それは私の息子です、ムッシュー・ド・ロワニャック。」

「よろしい!きみの息子を地面に置きなさい。」

ガスコーニュ人は従った。子供は大声で泣き叫び始めた。

「なんだい、きみは結婚をしているのかね?」ロワニャックが尋ねた。

「はい、将校殿。」

「20歳で?」

「私たちの地域では若くして結婚しています。あなたはそれをよくご存知です、ムッシュー・ド・ロワニャック、あなたは18歳で結婚されたのですから。」

「よろしい!」ロワニャックが言った。「ここにもう一人私を知っている人がいるぞ。」

そうこうしているうちに女が近づいていた。そして彼女のガウンに垂れ下がっている子供たちが彼女の後を追って来ていた。

「それで、どうして彼は結婚するべきではなかったんですか?」彼女は身を引き上げ、パイ皮のように道からの埃がそこにくっついていた黒い髪を額から動かしながら、尋ねた。「パリでは結婚することが流行遅れなんですか?そうです、ムッシュー、彼は結婚しています。そしてここに彼を父と呼ぶ二人の他の子供たちがいます。」

「そうです、しかし私の妻の息子たちだけではないのです、ムッシュー・ド・ロワニャック。後ろに隠れているこの大きな少年も同様です。前に出ておいで、ミリトール(Militor)、そして私たちの同郷人であるムッシュー・ド・ロワニャックにご挨拶するんだ。」

少年は16か17歳くらいの年齢で、力強く、活動的で、ハヤブサのように丸い目と鉤鼻を持ち、両手を彼のもみ革のベルトの中に動かしながら、近づいてきた。彼は毛糸で編んだ上等な袖の広いマントを着て、筋肉質な脚にはシャモア革の半ズボンを身につけ、早熟な口ひげが彼の官能的で、生意気でもあるめくれあがった唇を隠していた。

「それはミリトール、私の義理の息子です、ムッシュー・ド・ロワニャック、私の妻の年長の息子で、ロワニャックの親戚のシャヴァントラド(Chavantrade)です。ミリトール・ド・シャヴァントラドです、いつでもあなたのお役にたちます。さあ、挨拶するんだ、ミリトール。」

そして、地面に転がり、泣いている子供の方に身をかがめながら―、

「静かにするんだ、スキピオ(Scipio)、静かにするんだ、私の子供よ。」彼はあらゆるポケットの中を手探りで証明書を探しながら、付け加えた。

この間、ミリトールは父の命令に従って、微かにお辞儀をした。しかし、ベルトから手を動かすことはしなかった。

「お願いだから、きみの証明書を、ムッシュー。」ロワニャックがいらいらして叫んだ。

「ここに来て、私を手伝っておくれ、ラルディーユ(Lardille)。」赤面しているカスコーニュ人が妻に言った。

ラルディーユは次から次へと彼女のガウンにしがみついている二人の手をゆるめ、自分自身、肩から掛けている革袋、夫のポケットを探した。

「まあ!」彼女が言った。「私たちはそれを失くしてしまったに違いないわ。」

「その場合、私はきみたちを止めなければならない。」ロワニャックが言った。

ガスコーニュ人は青ざめた。

「私の名前はユスターシュ・ド・ミラドゥー(Eustache de Miradoux)です。」彼が言った。「そして私は親戚のムッシュー・ド・サント・マリーヌ(de Sante Maline)によって推薦されています。」

「ああ!きみたちはムッシュー・ド・サント・マリーヌの親戚なのかね?」ロワニャックが少し落ち着いて、言った。「もし我々が彼らに耳を傾けるのなら、彼らは世界中と親戚であることは事実だ。さあ、もう一度探しなさい。そして気を付けて、十分に探しなさい。」

「見てくれ、ラルディーユ、きみの子供たちの服の中を見てくれ。」ユスターシュが苛立ちと不安で身震いしながら、言った。

ラルディーユはあまり高くない衣類の小さな包みの前に跪き、その間ずっとぶつぶつ言いながら、その中をくまなく探した。

若いスキピオは転がり、叫び続けた。彼の義理の兄たちが注目されていないことに気付き、彼の口の中に砂を入れることで面白がっていたのは事実だった。

ミリトールは少しも動かなかった。家族の不幸は彼に到達していないこの偉大なる若さの上か下かを通り過ぎていると人は言っただろう。

「えっ!」突然ムッシュー・ド・ロワニャックが言った。「革で包まれているその馬鹿者の袖の上に私が見ているのもは何かね?」

「はい、はい、それです。」ユスターシュは勝ち誇ったように叫んだ。「それはラルディーユの考えでした。―私は今思い出しました。彼女がミリトールに証明書を縫い付けたんでした。」

「彼は何かを運んでいるかもしれない。」ロワニャックが皮肉を込めて、言った。

「おや、立派な仔牛です。彼はそれらを運ばなければならないことを恐れて、両腕を自由にすることさえもできません。」

ミリトールの唇は怒りで青ざめた。一方で彼の顔には鼻、顎、そして眉に血そのものが現れていた。

「仔牛は両手を持たない。」彼は短剣を見ながら、不平を言った。「彼は私の知り合いのある紳士階級の人のように足を持っているんだ。」

「静かに!」ユスターシュが言った。「お前は知っているだろう、ミリトール、ムッシュー・ド・ロワニャックは光栄にも私たちに冗談を言ってくださっているんだ。」

「いいや、誓って、私は冗談など言ってはいない。」ロワニャックが答えた。「逆に私はその偉大な愚か者に私が言った言葉を受け取って欲しい。もし彼が私の義理の息子なら、私は彼に母親、兄弟、荷物を運ばせ、ふん、私はまさに彼の耳を伸ばして、彼が馬鹿以外の何者でもないことを証明するために、全ての頂点に上るだろうよ。」

ミリトールは落ち着きを全く失くした。ユスターシュは不安そうに見えた。しかし、この不安の下で、彼の義理の息子に与えられた屈辱にある種の喜びを発していた。

ラルディーユは全ての困難を取り除き、彼女の長男をムッシュー・ド・ロワニャックのあざけりから救おうとして、その革の覆いから解放された証明書を将校に差し出した。

ムッシュー・ド・ロワニャックはそれを受け取り、読んだ。

「ユスターシュ・ド・ミラドゥー、10月26日、正午正確に、サン-タントワーヌ門。」

「通りなさい。」彼が言った。「そしてきみがきみの醜い、あるいは美しいガキどものどちらも忘れないように見るんだ。」

ユスターシュ・ド・ミラドゥーは両腕に若いスキピオを抱いた。ラルディーユは再びベルトを締めた。二人の子供たちは母親の服を掴んだ。のしてこの家族の集まりが沈黙しているミリトールによって従われ、必要とされた吟味の後で待っている人たちの近くに並んだ。

「忌々しい!」ロワニャックが、ユスターシュ・ド・ミラドゥーと彼の行列が変化しているのを見ながら、歯の間からぶつぶつ言った。「ムッシュー・デペルノン(d'Epernon)がそこに持っているだろう兵士たちの困り者だ。」

そして、振り返った―。

「来なさい、次はきみだ!」彼が言った。

これらの言葉は4番目の候補者に言われた。

彼は一人だった。そしてとても堅苦しかった。彼の鉄灰色のダブレットをはじき、そこから埃を振るい落とすために親指と中指を一緒に持って行った。彼の口ひげは猫の毛で出来ているように見えた。彼の緑のきらきら輝く目、眉は二つの突き出た頬骨の上に丸く半円のアーチを作っていた。最後に彼の薄い唇は疑念と我々が心の深さ同様に財布の長さを隠す人を認めることができるけちな貯蓄をする種類の人相を表していた。

「シャラブル(Chalabre)、10月26日、正午正確に、サン-タントワーヌ門。」

「よろしい、行け!」ロワニャックが言った。

「旅行の出費は許されるだろうと思います。」そのガスコーニュ人が穏やかに述べた。

「私は会計係ではない、ムッシュー。」ロワニャックが冷淡に言った。「私は単に門番であるだけだ。通りなさい。」

シャラブルが通過した。

シャラブルの後ろに若く、金髪の騎士が彼の証明書を引き出しながら、やって来て、ポケットから鍵と数枚のタロットを落とした。

彼はサン・カポテル(Sant Capautel)と呼ばれていると宣言し、彼の宣言は正規の書式である彼の証明書によって裏付けられた。彼はシャラブルの後を追った。

そこに6番目の人が残った。急ごしらえの小姓に命令をしながら、彼は馬から降り、ムッシュー・ド・ロワニャックに次のように書かれた証明書を見せた―。

「エルノートン・ド・カルマンジュ、10月26日、正午正確に、サン-タントワーヌ門。」

ムッシュー・ド・ロワニャックが読んでいる間、小姓も馬を降り、彼の偽の主人の馬のすでにそのふさわしい場所にあった大くつわを固定することによって顔を隠そうと努力をした。

「その小姓はきみのものかい?、ムッシュー?」ロワニャックがエルノートンに、指で若者を指しながら、尋ねた。

「ご覧のとおりです、将校殿。」エルノートンは裏切っても嘘をついてもいなかっただろう。「あなたがご覧の通り、彼は私の馬に馬勒をつけています。」

「通過しろ。」ロワニャックが注意をして、ムッシュー・ド・カルメンジュを吟味しながら、言った。彼の姿と服はロワニャックには他の者たちの物よりも適しているように見えた。

「少なくとも我慢できる者が一人いる。」彼が呟いた。

エルノートンは再び彼の馬に乗った。小姓は気取らずに、、遅滞なく、彼を先導し、そしてすでに彼の前の人々の集まりの中に混じっていた。

「門を開け。」ロワニャックが言った。「そしてこれら6人と供の者を通過させろ。」

「来てください、早く、早く、私のご主人様。」小姓が言った。「鞍の中に。そして出発しましょう。」

エルノートンは再びこの奇妙な人によって彼に行使されている支配力に屈した。そして、門が開かれ、彼は馬に拍車をかけ、小姓の指示によって案内され、フォーブル-サン-タントワーヌのまさに中心に突っ込んだ。

ロワニャックは6人の選ばれた個人のところで門を閉めるように命令した。群衆がひどく不満に思ったことには、形式的な手続きが承認されたら、通過するのは自分たちの番だと思っていたからだ。しかし、彼らの期待が裏切られたことに気付き、大声で不満を示した。

メートル・ミトンは恐ろしい競争の後、野原にいたが、ゆっくりと勇気を取り戻し、一足ごとに地面を調べ、彼が出発した場所に戻った。我々が言うメートル・ミトンは兵士たちが会話を盗み聞きしていたということを思い切って気まぐれな方法で不平を言った。

仲間のフリアールは首尾よく妻を見つけ、彼女によって守られ、今や恐れるものは何もないように見え、彼のその日の堂々とした半分のニュースを、彼自身の注釈で豊かにしながら、述べた。

ついに、騎士たちの1人で、小さな小姓によってマイヌヴィルと呼ばれていた人が、サン・タントワーヌ門あるいは他の門の前にもはやこれ以上自分たちの姿を現す必要性がなくパリに入るというこの違反を見つけることは十分根拠のあることであると期待しながら、壁を迂回するべきではないかどうか会議を持った。

ロベール・ブリケは本質を引き出す方法を分析し、知っている哲学者のように、我々が門の近くで起こっていることとして詳細に語っていた場面の結末の全てで、騎士達、中産階級の人達、そして農民達の会話が彼に最もわずかな情報も与えなかったことに気付いた。

それゆえ彼は門番小屋として使われ、1つはパリに向いて開き、もう1つは地方に向いて開いていた2つの窓によって照らされていた小さな納屋の近くに出来る限り近付いた。

彼が新しい場所に身を置くや否や、一人の男がパリの中から全速力でパリの中から急いで来て、馬から飛び降り、小屋に入り、窓に姿を現した。

「ああ!ああ!」ロワニャックが言った。

「私はここにいます、ムッシュー・ド・ロワニャック。」その男が言った。

「よろしい。きみはどこから来たのかね?」

「サン・ヴィクトール門からです。」

「きみの数は?」

「5です。」

「証明書は?」

「ここにあります。」

ロワニャックは証明書を受け取り、それらを照合し、石板に数字の5を書いた。それはこの目的のために準備されていたように見えた。

使者は出発した。

5分が経過して、2人の他の使者が到着した。

ロワニャックは彼らに引き続いて質問をし、いつも彼のくぐり戸を通った。

一人はタンプル門から来て、数字の6を告げた。

もう一方はブールデル門から来て、数字4を持っていた。

ロワニャックはこれらの数字を注意して、石板に書いた―。

これらの使者たちは最初の使者のように姿を消した。そして引き続いて、到着した他の4人に取って代わられた―。

最初の人はサン-ドニ門からで、数字の5を持ってきた。

二番目の人はサン-ジャック門からで、数字の3を持ってきた。

三番目の人はサン-トノレ門からで、数字の8を持ってきた。

四番目の人はモンマルトル門からで、数字の4を持ってきた。

最後に、ついにビュッシー門からの人が現れ、数字の4を持ってきた。

ロワニャックはそれから一列に、注意して、場所と数字を次のように、書き出した―。

サン-ヴィクトール門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

ブールデル門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

デュ・タンプル門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

サン-ドニ門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

サン-ジャック門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

サン-トノレ門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

モンマルトル門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

ビュッシー門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

サン-タントワーヌ門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

                           ―

合計 45                     45

「ぴったりだ。さあ、」ロワニャックが大声で叫んだ。「門を開けろ。そして選ばれている人を入れろ。」

門が開かれた。

すぐに馬、ラバ、女たち、子供たち、荷車がはね橋の2本の柱の狭くなっているところで窒息させられる危険を冒しながら、パリに突進した。

この人で混雑していた潮の全ての塊は朝からこのつかの間の堤防の周りに滞在していたので、15分で、サン-タントワーヌ通りと呼ばれるこの非常に広い動脈を汚した。

呟きは次第に消えて行った。

ムッシュー・ド・ロワニャックは部下たちと共に馬に乗った。

ロベール・ブリケは最初から最後まで留まって、冷静に橋の鎖にまたがりながら、言った―。

「これらの人々の全ては何かを見たがっていた。そして、彼らは何も見ていなかった。彼らの仕事さえもだ。私は何も見たくなかった。そして、私は何かを見た唯一の人間だ。それはとても人を引き付ける。―続けよう。しかし、何が続けるのに適しているのだ?私はそれを十分知っている。ムッシュー・ド・サルセドが四つ裂きされるのを見ることは私にとってとても勇気のいることではないだろうか?いいや、ちくしょう!そのうえ、私は政治を放棄したのだ。

さあ、ディナーに行こう。もし太陽があるならば、太陽は正午を示しているだろう。その時間だ。」彼は言った。そして穏やかで、意地の悪い微笑みを浮かべながら、パリに入った。

<2013.5.5修正済>

2013年5月 4日 (土)

恐ろしく骨の折れる作業・・・( ̄Д ̄;;

日付が変わってしまいましたが、昨日から『四十五人』の再翻訳を開始しました。

使用しているテキストはカナダのトロント大学の図書館所蔵のLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』 です。

この英訳版は一見すると完全版っぽいので、大丈夫かなと思っていたのですが、何とな~く不安を覚えてsweat01、並行してネットでフランス語の原文テキストとも突き合わせをすることにしました。突き合わせと言っても逐一見ているのではなく、この文章に当てはまる文章があるかどうか、つまり英語と似たようなフランス語で構成されている文章があるかどうかをチェックしています。一応大学時代にフランス語を履修したので、何となくはわかるのです。

そしたら、案の定、この英文テキストにも省略されていた内容を発見してしまい、もうフランス語テキストとの突き合わせは必須状態になってきましたsweat02

更に英語だとどうも意味が取れない内容が出てきて、原文に戻って調べるという作業も発生して、現在以下の5つを駆使して、再翻訳中ですdespair

・上記の英文テキスト

・フランス語版テキスト

・英和中辞典

・仏和辞典

・google翻訳

英文を無視して、フランス語テキストの内容で翻訳した部分とかもあります。goole翻訳、大活躍happy02!これだけがラテン語翻訳ができるので、私はgoogle翻訳をご愛用です。そして日本語には訳さず、必ず英語に訳して、意味を理解するようにしています。でないとおかしなことになるので。

ここまでするのなら、「いっそのこと、フランス語で読んだ方が早いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、フランス語は動詞の変格が複雑なので、英語のようにすぐに時制の把握ができないのです。(そこまで覚えていないから、逐一調べることになる。)なので、大変ではあるのですが、フランス語を一から読み直すよりは負荷がかからないということで、この方法を採択しております。

という訳で、昨日は午後から取り掛かっていたのですが、こんな時間になっても終わったのはたったの1章分だけだったのです・・・sweat02

恐ろしく骨の折れる作業になっています・・・despairsweat01

この話、90章あるんです・・・sweat02。1日1章しか進まないと、90日かかるんだけど・・・sweat01と、かなり気が遠くなってきましたsweat01

でも『四十五人』は日本で未翻訳なので、どうしても出来るところまでは何とか頑張りたいと思っているのです。(『シャルニー伯爵夫人』は東様がいずれ翻訳してくださるから、東様待ちでOKですが、『四十五人』はそういう訳に行かないんで。)

そして、まあほとんどフランス語原文テキスト同様の内容で、1章の翻訳が一応完了したのですが、私の読んでいた抄訳版がどれだけ強引な抄訳(もう改稿といっておかしくないannoy)!だったかがよくわかりましたannoy。当然のことながら、またしても誤訳も見つけました。「太っている」を「背が高い」に訳すってどうなんですか?って感じですannoy。つまり私が言いたいのは、これは先日出版社に文句をつけた時にも触れたのですが、この翻訳者、本当にフランス語を知っている人なんですか?ってことなんです。こんな素人が辞書を引いてさえもわかる単語を誤訳しているって・・・sweat02。もうどれだけの誤訳が見つかるか、今から気が遠くなっています。何しろ抄訳版でさえも結構あったくらいなんで・・・sweat02

今日も頑張ります!!

ってか、このまま大デュマ先生作品を読み続ける気があるのなら、フランス語をブラッシュアップした方がいいんじゃないか?という気にもなっています・・・despair

今の読書法は英語の語彙力が増えている!というメリットはあるものの、抄訳版問題に振り回されるので・・・sweat02。しかし英語の語彙力が高まっても、発音ができないので、口頭コミュニケーション力には全くつながっていないということを付け加えておきましょうcoldsweats01

2章:サン-タントワーヌ門の外側で起こっていたこと

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』 からの翻訳です。英文テキストにない内容はフランス語原文テキストから付け足しを行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02。                     

グループの1つはこの予期せぬ門の閉鎖に、街の外側で驚かされていた、かなりの数の市民で構成されていた。これらの市民たちはとても好戦的な様子の4~5人の騎士たちを取り囲んでいた。彼らは市壁の閉鎖にとても悩まされているように見えた。と言うのは彼らは力いっぱい叫んでいたからだ―。

「門を!門を!」

これらの叫びは、この瞬間にバベルの混乱をもたらしながら、追加された活力と共に全ての見物人たちによって繰り返された。

ロベール・ブリケはこのグループの方に前進し、彼に先行していた誰よりも大きな声で叫び始めた―。

「門を!門を!」

この結果、騎士たちの1人がこの声の力に喜んで、振り返り、彼にお辞儀をして、言った―。

「あたかもスペイン人やイギリス人がパリを包囲したかのように、一日中市の門を閉めているのは不名誉なことではありませんか、ムッシュー?」

ロベール・ブリケは自分に話しかけてきた人物を注意を払いながら見た。彼は40~45歳くらいの男だった。

この男もまた彼を取り囲んでいる3~4人の他の騎士たちの長であるように見えた。

吟味は確かにロベール・ブリケに信頼を与えた。と言うのは、彼は直接挨拶を返したからだ。そして答えた。

「ああ!ムッシュー、あなたは正しい。10倍正しい、20倍正しい。しかし、」彼が付け加えた。「あまりにも好奇心がないので、あなたがこの措置に対して気付いている目的は何であるかをお尋ねしてもよろしいですか?」

「もちろんです!」見物人が言った。「サルセドを貪り食うことができないだろうという心配からですよ!」

「ちくしょう!」1つの声が言った。「悲しい食べ物だ。」

ロベール・ブリケはこの声がした方に振り返った。その声には強いガスコーニュ訛りがあった。そして彼はリーダーと思われる人の馬の尻に手を置いている20~25歳の若者に気付いた。

若者は、多分この混乱の中で帽子を失くしてしまっていて、無帽だった。

メートル・ブリケは観察者のように見えた。しかし、概して彼の観察は短かった。と言うのは、彼は多分少しも重要だと思わないガスコーニュ人から素早く注意をそらし、騎士の方に置いた。

「しかし、」後者が言った。「このサルセドはムッシュー・ド・ギーズの一員であると発表されていますから、とてもひどい料理ではないですよ!」

「ふん!人々が言っているって?」風変わりなガスコーニュ人が大きな目を見開きながら、尋ねた。

「そうです、確かに、人々はそう言っています。」騎士は肩をひそめながら、答えた。「しかし、今回人々はたくさんの根拠のない話を言っていますよ。」

「ああ!それではあなたは考えておられるのですね、ムッシュー。」ブリケは知りたがりの目と悪賢い微笑をしながら、思い切って、言った。「サルセドはムッシュー・ド・ギーズの一員ではないと?」

「私はそう信じているだけでなく、確信していますよ。」騎士が答えた。そして、ロベール・ブリケが彼に近づき、「ああ!ああ!―そしてあなたはこの確信をどんな根拠に基づいてしているのですか?」という意味の動きをしたので、続けた―。

「確かに、もしサルセドが公爵の一員だったなら、公爵は彼が奪われるのを許さなかったことでしょう。あるいは少なくとも、彼がブリュッセルからパリまで、手足を縛られ、少なくとも救助の試みもなく、こんなふうに連れて来られるのを許さなかったことでしょう。」

「救助の試みは、」ブリケが言った。「かなり勇気が必要だったでしょう。と言うのは、事実、それが成功しようが、失敗しようが、ムッシュー・ド・ギーズ側でそれを達成した瞬間に、ムッシュー・ド・ギーズはダンジュー公爵に対して陰謀を企てていることを明言することになるからです。」

「ムッシュー・ド・ギーズは、」騎士が冷淡に答えた。「この考えで行動を抑制されることはなかっただろうと確信しています。そして、彼がサルセドを要求も守りもしない時から、サルセドは彼の一員ではなかったのです。」

「にもかかわらず、私が強く主張することをご容赦ください。」ブリケが続けた。「しかし、考えたのは私ではありませんが、サルセドが話したことは確実であるように見えますよ。」

「どこでですか?裁判官たちの前で?」

「いいえ、裁判官たちの前ではありません、ムッシュー。拷問でです。」

「それではそれは同じことではないのですか?」メートル・ブリケは悪気がないようにするよう無駄に努力をしている様子で、問い質した。

「いいえ、確実に、同じことではありません。更に人々は彼がそのように話したというふりをしているのです。しかし、人々は彼が言ったことを繰り返せません。」

「再び私をご容赦ください、ムッシュー。」ロベール・ブリケが言った。「人々はそれを繰り返しているのです。そして、とても長ったらしく。」

「それでは彼は何と言ったのです?聞きましょう。」騎士がいらいらしながら、言った。「話してください。あなたはとてもよく教わっている方だ。」

「私は十分知っていることを自慢していませんよ、ムッシュー。逆にあなたから情報を求めているのですから。」ブリケが言った。

「さあ、お互い理解し合いましょう!」騎士がまだいらいらしながら、言った。「あなたは人々がサルセドの言葉を繰り返しているというふりをしている。これらの言葉は何だったのです?教えてください。」

「私はそれらが彼自身の言葉であると言うことはできません、ムッシュー。」騎士をいらいらさせていることを楽しんでいるように見えた、ロベール・ブリケが言った。

「しかし、人々が彼に与えたものは何なのですか?」

「人々は彼がムッシュー・ド・ギーズのために陰謀を企てていたと自白したというふりをしているのです。」

「多分フランス国王に対してではないのですか?いつも同じ歌が歌われています!」

「いいえ、フランスの国王陛下に対してではないのです。しかし、ダンジュー公爵殿下に対してです。」

「もし彼が自白したなら―。」

「それなら?」ロベール・ブリケが尋ねた。

「それなら!彼は見下げ果てた奴だ。」騎士は眉をしかめながら、言った。

「そうですね。」ロベール・ブリケは静かに言った。「しかし、もし彼が自白したなら、彼は勇敢な男です。ああ!ムッシュー、足締め刑具、吊るし落としの刑具、そして沸騰している鍋は正直な人々に多くを語らせるでしょう。」

「ああ!あなたはそこで重大な真実を話していますね、ムッシュー。」騎士は少し気を静め、ため息をつきながら、言った。

「ふん!」頭をそれぞれの話し手たちの方に傾けて、全部を聞いていたガスコーニュ人が遮った。「ふん!足締め刑具、吊るし落としの刑具、これらは素晴らしくつまらないものだね。もしサルセドが話したなら、彼は不正直だ。そして彼の主人は別人なのさ。」

「おお!おお!」騎士がいらいらした動作を抑えることができず、呟いた。「きみはとても甲高く歌っているね、ムッシュー・ル・ガスコン。」

「私ですか?」

「そうだ、きみだ。」

「私は私の気に入っている調子で歌っていますよ、ちくしょうめ!私の歌が気に入らない人にとって一層悪いことにね。」

騎士はあたかも起こっているかのように動いた。

「静かに!」命令的ではあるけれども、穏やかな声が言った。ロベール・ブリケはその声の持ち主を見つけようと虚しく努力をした。

騎士は従う努力をしているように見えた。しかしながら、彼は自分自身を抑える力を全く持っていなかった。

「それで、きみはきみがが話している人をよく知っているのかね?」彼がガスコーニュ人に尋ねた。

「私がサルセドを知っているかって?」

「そうだ。」

「全然ですよ。」

「では、ギーズ公爵は?」

「さらに少しも。」

「では、アランソン公爵は?」

「いわんやですよ。」

「きみはムッシュー・ド・サルセドが勇敢な男と知っているのかね?」

「それならますます結構。その場合、彼は勇敢に死ぬでしょう。」

「では、ムッシュー・ド・ギーズが陰謀を企もうとしている時、一人でそれをするだろうということは?」

「やれやれ、それが私にとって何なのです?」

「それでは、ダンジュー公爵、前のアランソン公爵が関心を持つ人が誰であれ―ラ・モル(La Mole)、ココナス(Coconas)、ビュッシー(Bussy)そして残りを―殺す、あるいは殺されるのを許したことは?」

「私はそれをあざ笑いますよ。」

「何と!きみはそれをあざ笑うとは?」

「マイヌヴィル(Mayneville)!マイヌヴィル!」同じ声が呟いた。

「疑いもなく、私はそれを笑いますよ。私は1つのことを知っているだけだ、ちくしょうめ!私は今朝まさにパリで仕事をしに来た。そして、この狂人のサルセドのために、私の面前で門が閉められている!ちくしょう!このサルセドはならず者だ!そして彼と一緒にいて、門を開く代わりに閉めている原因になっている人たちもだ。」

「おお!おお!ここにがさつなガスコーニュ人がいる。」ロベール・ブリケが呟いた。「そして、確かに私たちは好奇心をそそるものを見るだろう。」

しかし、その中産階級の人が期待した、この好奇心をそそるものは起こらなかった。騎士は、この最後の呼びかけで顔に血を突進させ、声を低め、黙り、怒りを飲み込んだ。

「きみは正しい。」彼が言った。「私たちがパリに入ることを妨げている人に災いあれ!」

「おお!おお!」ロベール・ブリケが自分自身に言った。彼は騎士の顔に現れている雲も騎士に忍耐をさせている2つの懇願も見失っていなかった。「ああ!ああ!私が期待していたものよりまだもっと好奇心のそそるものを見るように思えるぞ。」

彼がこれを考えていた時、トランペットの音が聞こえた。そして、ほとんどすぐにスイス兵があたかもひばりの非常に大きなパイを分けているかのように、矛槍を持って、群衆を突破し、集団を二つの密集した塊に分けた。塊は真ん中を空にしながら、道のそれぞれの脇に一列に並んだ。

この真ん中の空間で、我々が話し、門の管理を委ねられているように見える将校が馬に乗って、行ったり来たりして通り過ぎた。そして果敢な抵抗のように見えた一瞬の吟味の後、彼はトランペットを鳴らすことを命令した。

これは同時に遂行された。そしてとても大きな動揺と騒動の後では不可能と思われたかもしれない沈黙を群衆に行き渡らせた。

そして、今や百合の花飾りのあるチュニックを着て、胸にパリ市の紋章の盾を付けた先触れが手に書類を持って、前進し、この人種に独特の鼻づまりの口調で、読んだ。

「我々のパリと近隣の善良な人々にお知らせします。門は今から午後1時まで閉まっています。そしてその前の時間に誰も市に入ることはできません。これは国王とパリの警視総監の意志によるものです。」

先触れは一息つくために止まった。群衆はこの休止を彼らの驚きと不満を大声で叫んで示すのに利用した。そして先触れは、我々は彼を正当に評価しなければならないが、ひるむことなく、それに耐えた。

将校が手で合図をし、再び沈黙が戻った。

先触れは、あたかも習慣がこれらの表明に対して彼を堅固にしていたかのように、困難なく、躊躇なく、彼がまさにさらされている一つを続けた―。

「この措置から除外されるのは承認の署名を持って出頭する者、あるいは正当に、そして正式に手紙と命令書で呼ばれた者です。

恩恵の年1585年10月26日、パリ市役所にて陛下の緊急の命令を与える。」

「トランペットを鳴らせ。」

トランペットがすぐに元気のいい音を発した。

先触れが話すのを止めるや否や、生垣のスイス人と兵士たちの後ろで、群衆が円形を膨らませたり、身をよじったりする蛇のようにうねり始めた。

「これはどういう意味ですか?」最も平和を好む人たちがお互い尋ね合った。「多分何か新しい陰謀だ!」

「おお!おお!このように準備されている出来事は私たちがパリに入るのを妨げていることのように思えます。」低い口調で仲間に話しながら、とても奇妙な忍耐で、ガスコーニュ人の荒々しい拒絶に耐えている騎士が言った。「これらのスイス兵、この先触れ、これらのかんぬき、これらの軍隊は私たちのためだ。誓って、私はそれを誇りに思う。」

「場所を!場所を!あなた方は他へ。」派遣隊の管理を任されている将校が叫んだ。「ちっ、あなた方は入場する権利を持っている人が門を通過することを妨げているのがよくわかるでしょう。」

「やれやれ!私は通過するだろう者を知っているよ。もし地上の中産階級の人々の全てが彼と門の間にいるのならば。」と言って、ガスコーニュ人が肘で道を押し分けながら、彼の乱暴な答えでロベール・ブリケの賞賛を引き付けた。

そして、事実彼はスイス兵のおかげで、2つの見物人たちの塊の間に作られていた空いている場所にすぐにいた。

もし、この場所に行くことに恵まれた男が外側に留まることを命令された時に目が熱心に、そして好奇心を持って向けられたかどうかを我々は判断する。

しかし、そのガスコーニュ人はこれらの妬んでいるように見える人々の全てを少しも気に掛けず、横柄に身を置いた。クランクハンドルによってたくさんの紐が伸ばされたように見えた、彼の身体のあらゆる筋肉が彼の痩せた緑のダブレットを通して、出っ張った。彼の手首は乾燥して、骨ばっていて、与えられた袖から十分に3インチは超えていた。彼は澄んだ目をしていて、自然なのか偶然なのか、黄色く、縮れた髪をしていた。と言うのは、埃が大いにその色に加わっていたからだ。彼の足は大きく、しなやかで、鹿のものと同じくらい素晴らしく、興奮しやすい脛骨を差し挟んでいた。彼の手の一方の上でだけ彼は刺繍された革の手袋を引き抜いた。それ自体よりも粗い外側の皮膚を守るためのものであることに気付くことは全くの驚きだった。そして彼の他方の手で、彼はヘーゼルナッツの小枝をくるくる回していた。

一瞬、彼は辺りを見回した。それから、我々が話した将校は軍の最も注目に値する人と考えて、彼に向かって真っすぐ歩いて行った。

後者はしばらくの間話をせずに彼を見ていた。

ガスコーニュ人は少しも狼狽することなく、同じことをした。

「おや、あなたは帽子を失くされたように思いますね。」彼がガスコーニュ人に言った。

「そうです、ムッシュー。」

「群衆の中でですか?」

「いいえ、私は恋人からの手紙を受け取っていたのです。それを読んでいました。ちくしょう!ここから4分の1リュー(*1)離れた川の近くで。急に突風が私の帽子と手紙を運び去ってしまったのです。私の帽子のボタンは1つのダイヤモンドでしたが、私は手紙を追いかけました。手紙は取り戻せました。しかし、私に帽子が戻ってきた時に、風がそれを川の中に吹き飛ばしてしまったのです。そしてパリの川です!それは不運な人の幸運を作るでしょう。―それでますます結構です。」

「それであなたは帽子を被っていないのですか?」

「パリには帽子がないのですか?ちくしょう!私はもっと素晴らしい物を買うつもりです。そして、そこに以前の物より2倍の大きさのダイヤモンドを置きますよ。」

その将校はかすかに肩をひそめた。しかし、この動きは感知できないものだったので、ガスコーニュ人の目には留まらなかった。

「もしよろしければ?」彼が言った。

「あなたは証明書をお持ちですか?」将校が尋ねた。

「確実に、私は1つ持っています。そして、かなり1つ以上です。」

「1つで十分ですよ。もしそれが規定通りであるならば。」

「さあ、私は間違っていませんよ。」ガスコーニュ人が大きな目を見開きながら、続けた。「いいえ、ちくしょう、私は間違っていません。私はムッシュー・ド・ロワニャックとお話が出来て喜んでいますか?」

「それはありえます、ムッシュー。」将校は明らかにこの認知に少し喜んでいたが、冷淡に答えた。

「私の同郷人のムッシュー・ド・ロワニャックとですか?」

「私はそれを否定しません。」

「私の従兄の?」

「十分です!あなたの証明書は?」

「ここにあります。」

ガスコーニュ人は手袋から芸術的に切られた証明書の半分を取り出した。

「私の後についてきてください。」ロワニャックは証明書を見ないで、言った。「もしあなたが持っているのなら、あなたとあなたの仲間を。私たちは通行証を照合します。」

そして彼は門の近くの彼の持ち場に行った。

ガスコーニュ人はまだ帽子を被らず、彼の後を追った。5人の他の個人がそのガスコーニュ人の後を追った。

最初の人は素晴らしい胴鎧で覆われていた。とても美しく細工されていたので、ベンヴェヌート・チェリーニの細工と思ったかもしれなかった。しかし、この胴鎧が作られた型は幾分流行遅れだったので、この素晴らしさは賛美よりむしろ笑いを生み出した。この鎧を着ている個人の服のその他の部分はほとんど内容見本の王者のような素晴らしさが満たされていなかったのは事実だった。

2番目の人はぴったり後をついて歩いていて、大きく、白髪の従僕に従われていた。そして、彼は痩せて、日に焼けていたので、彼の従者がサンチョの先駆者として受け取られたかもしれないのと同じように、ドン・キホーテの先駆者のように見えた。

3番目の人は10ケ月の赤ん坊を両腕に抱き、彼の革のベルトにしっかりくっついている一人の女に従われて、姿を現した。一方で一人は4歳、もう一人は5歳になる他の2人の子供はその女のドレスにくっついていた。

4番目の人は足が不自由なように見え、大きな剣を身に着けていた。

そして、ついにこの行進を締めくくるのは、申し分のない顔つきの若者で、埃まみれだったが、申し分のない品種の黒い馬に乗って、前進した。その他の人たちの中で、後者は王者の様相を持っていた。

ゆっくり動くことを強いられていたので、彼は仲間たちを追い越さなかったかもしれない。多分、更に彼らにあまりに近づきすぎずに歩かないことに密かに満足していたので、若者は一瞬人々によって作られていた生垣の限界に留まった。

この瞬間、彼は自分の剣の鞘を引っ張られていると感じ、振り返った。

このようにして彼の注意を引いていた個人は、黒い髪ときらきら光る目をした、小柄で、華奢で、上品な若者で、手には手袋をはめていた。

「私は何かあなたのためにして差し上げられることがありますか、ムッシュー?」我々の騎士が尋ねた。

「お願いがあります、ムッシュー。」

「話してください。しかし、お願いですから、急いで話してください。あなたがご覧の通り、彼らが私を待っているのです。」

「私は市に入りたいのです、ムッシュー。急を要する必要なのです。―ご理解いただけますか?あなたはお一人です。そしてあなたの美しいお顔に敬意を表する小姓を求めています。」

「それで?」

「そうです!私を入らせてください。私はあなたの小姓になります。」

「ありがとう。」その騎士が言った。「しかし、私は誰にも奉仕されたくないのですよ。」

「例え私によってでなくてもですか?」その若者は奇妙な微笑を浮かべ、言った。そして、騎士はその微笑が自分の心を包もうと努力していた凍った覆いを解かしているのを感じた。

「私は小姓を持つことができないということを意味していたのです。」

「はい、私はあなたがお金持ちではないことを知っています、ムッシュー・エルノートン・ド・カルマンジュ(Ernauton de Carmainges)。」その若い小姓が言った。

騎士が動いた。しかし、この動きに注意を払うことなく、若者は続けた―。

「それゆえ、私たちは賃金のことを話すつもりはありません。そして、逆に、もしあなたが私に私が求めていることに応じてくださったなら、あなたが私にしてくださるかもしれない奉仕に対して100倍支払われるのはあなたです。ですから、あなたが時々命令することを懇願する彼を理解して、どうか私にあなたに奉仕することをお許しください。」

若者は手を振った。それは小姓にとってとてもありふれたことだった。そして、我々がすでに言及していた騎士たちのグループの方に振り返った。―。

「私は通過します。」彼が言った。「それは最も重要なことです。あなたも、マイヌヴィル(Mayneville)、どんな手段でもいいので、同じことをするよう努力してください。」

「あなたが通過することでは十分ではありません。」その紳士が答えた。「彼があなたを見なければなりません。」

「おお!落ち着いて。私がこの門を通過した瞬間、彼は私を見るでしょう。」

「同意の合図を忘れてはなりません。」

「唇に二本の指を置くですね?」

「そうです。さあ、神があなたをお守りくださいますように。」

「それでは!」黒い馬の所有者が言った。「ムッシュー・小姓、私たちは決着をつけますか?」

「私はここにおります、ご主人様。」その若者が答えた。そして、彼は彼の仲間の後ろの馬の尻に素早く飛び乗り、5人のその他の選ばれた人たちに加わった。彼らは証明書を見せ、権利を証明することに没頭していた。

「ちくしょう!」彼らを目で追っていたロベール・ブリケが言った。「ここにいたのは丸ごとガスコーニュ人達の到着だ。さもなければ悪魔にさらわれてしまえ!」

<2013.5.4修正済>

*1:lieue

昔の距離の単位。約4km。4分の1だと約1km。

2013年5月 3日 (金)

1章:サン-タントワーヌ門

*以下はLONDON & GLASGOW COLLINS' CLEAR-TYPE PRESSの『THE FORTY-FIVE GUARDSMEN』 からの翻訳です。英文テキストにない内容はフランス語原文テキストから付け足しを行っています。翻訳内容が正しいかどうかは保証しませんsweat01。また意味が取れないと明らかに直訳になっているところもありますsweat01。固有名詞の読み方も間違っている可能性が高いです。あしからずsweat02。                                  

                                    たとえ全てであっても!(*1)

1585年10月26日、サン-タントワーヌ門(*2)の市壁はいつもとは異なり、午前10時半にまだ閉まっていた。

10時45分に、その制服からスイスの小州出身であることが認められた20人のスイス人護衛隊、つまり時の支配者であるアンリ3世のお気に入りがラ・モルトリー(La Mortellrie)通りから現れ、サン・タントワーヌ門の方に前進し、彼らの前で門が開かれ、閉じられた。この門の外側ですぐに彼らは各々の道の側面に散財している囲い地に接している生垣に沿って整列した。そして彼らの出現だけによって、正午前には市に入るために、モントルイユ(Montreuil)、ヴァンセンヌ(Vincennes)、あるいはサン・モール(St.Maur)からやって来た多くの農民たち、中産階級たちが後ろに追いやられ、我々が見たとおり、門が閉まっているのに気づき、彼らはその期限を達成できなくなっていた。

もし群衆が自然とその行列に無秩序をもたらすなら、長官殿はこの護衛隊を送ることによってサン-タントワーヌ門で起こるかもしれない無秩序を避けるつもりだったと仮定するかもしれない。

事実、集まりはかなりの人数になっていた。それは3つの集中している道路から到着していた。そして、絶えず、周辺の修道院からの修道士たち、ロバの荷かごに座っている女たち、荷車の中の農民たちが増え、これはすでに密集した塊になっており、門が例外的に閉まっていることで、市壁で阻まれ、そして全員が自分たちの問題で多かれ少なかれ急いでおり、一種の低い絶え間ないつぶやきが生じていた。しばらくの間、時々、いくつかの声が標準音域で発せられたが、威嚇あるいは不平の音域まで高まったものさえあった。

街に入りたがっているこの到着した人々の塊に加え、そこから生じていたように見えたいくつかの独特なグループについても述べてもよいかもしれない。

これらは街の方を見る代わりに、市壁の隙間からジャコバンの修道院、ヴァンセンヌの小修道院、そしてクロワ・フォバン(Croix Faubin)によって境界を接している地平線を、あたかもこれら3つの道の1つから、ある種の愉しみを作りながら、何某かの救世主がそこに現れるのを期待されているかのように、じっと見ていた。

後者のグループはセーヌ川の真ん中に生じている静かな島、それらの周りでは水がくるくると回り、揺らぎ、少しの芝生あるいはいくつかの柳の小枝を摘み、しばらくの間渦の上に休んだ後、ついには流れとともに浮かぶことを決めているものとはひどく似ていなかった。

これらのグループは、我々がかなり詳しく戻るもので、なぜなら、彼らは我々の注意の全てに値するからであり、主としてパリの中産階級で構成されており、暖かくして衣服にくるまっていた。と言うのは我々は述べるのを忘れていたが、天気は寒く、そよ風は身を切るようで、重い雲が地上近くにうねり、木々からまだ枝の上で悲しげに震えていた最後の黄色の葉っぱをもぎ取ろうと決めていたように見えた。

その中産階級たちの3人が一緒に会話をしていた。正確言うと2人が会話をしていて、3番目の人は聞いていた。我々の意味をよりよく説明し、言おう。3番目の人はヴァンセンヌの方を見ている注意がとても深かったので、聞いているようにさえ見えなかった。

最初に後者について専念しよう。

彼は真っ直ぐに立った時にある程度の身長がある男だった。しかし、この時、彼の長い両脚は体の下で曲げられ、比例して長い両腕はダブレット(*3)の上で組まれていた。生垣にもたれ、しなやかな低木の茂みによって気持ちよく支えられながら、気付かれたくない人間の頑固さで、彼は顔を大きな手で隠し続け、中指と薬指の間から突き刺すような視線を投げている目だけをさらしながら、視線の通行のために必要な正確な距離を置いていた。

この奇妙な人物の側で、小丘の上で休んでいた小さな男が太っている男に話しかけていた。太っている男は同じ小丘の下り坂で体を落ち着かそうとして、滑る度に、彼が会話している人のダブレットのボタンを掴んだ。

これらは、我々が前段落で言及した、二人の先の中産階級と座っている人物で構成されている、3という神秘的な数だった。

「そうです、メートル(*4)・ミトン(Miton)」小さな男は太った男に言った。「そうです、私は言います。そして繰り返します。サルセド(Salcede)の処刑には10万人―少なくとも10万人はいるだろうということを。すでにグレーヴ広場(*5)にいる人、あるいはパリの色々な地区からそこに到着した人を数えなくとも、見てください。ここの数の多さを見てください。そしてこれはたった1つの門に過ぎないのです。正確に数えたら、私たちは16の門を見つけるのです。それから判断してください。」

「10万人!それは随分多いな、フリアール(Friard)くん。」太った男が答えた。「本当に多くの人は私の例に従い、騒動の恐怖から、この不幸なサルセドが四つ裂きにされるのを見に行ってはならない。そして彼らは正しくあるべきだ。」

「メートル・ミトン、メートル・ミトン、気を付けてください。」小さな男が答えた。「あなたは政治家のように話しています。何もありませんよ。全く何もありませんよ。私はその責任を取ります。」

そして、彼の質問者が疑っている様子で、頭を振るのを見ながら―、

「そうではないですか、ムッシュー?」彼は長い手足を持つ男の方に振り返って、続けた。彼は視線をヴァンセンヌの方に向け続ける代わりに、顔から手を動かすことなく、視点を変え、自分の注意を置く市壁を選んでいた。

「何とおっしゃいましたか?」後者は、あたかも、二番目の中産階級の人に言われたこの挿入に先行する言葉ではなく、自分に言われた質問を聞いただけかのように、聞き質した。

「今日グレーヴ広場で何も起こらないだろうと言っているんです。」

「あなたは間違っています。サルセドの四つ裂きの刑があると思いますよ。」長い手足を持った男が静かに答えた。

「そうです、確かに。しかし私はこの四つ裂きの刑に続く騒ぎがないだろうと言っているのです。」

「馬に与える鞭の音があるでしょう。」

「あなたは私を誤解していますね。私は騒音による騒動を意味しているのです。そして、グレーヴでは騒動はないだろうと言っているのです。もし騒動がありそうなら、国王は二人の王妃たちと宮廷の一部たちと共に処刑に出席するために、市役所に飾りつけをされた観覧席を持たなかったでしょう。」

「国王たちはいつも騒動が起きるだろう時を知っているでしょうか?」背の高い男が、君主に同情をして、肩をすくめながら、言った。

「おお、おお!」メートル・ミトンが彼の仲間の耳に身をかがめながら、言った。「その人は奇妙な様子で話している。きみは彼が誰かを知っているかね、仲間よ?」

「いいえ。」小さな男が答えた。

「それではなぜきみは彼に話しかけているのだ?」

「私は彼に話しかけるために話しかけているのです。」

「きみは間違っている。彼が自然に話をする人ではないことははっきりわかっているはずだ。」

「それにもかかわらず、私には」フリアールは暗に仄めかされた男に十分聞こえる大きな声で答えた。「人生における最も大きな恩恵の1つは考えを交わし合うことだと思われるからです。」

「我々がよく知っている人とはだ。」メートル・ミトンが答えた。「しかし、私たちが何も知らない人とではない。」

「サン・ルー(St.Leu)の司祭が言うように、全ての人間は兄弟ではないのですか?」フリアールは説得力のある口調で付け加えた。

「それが意味しているのは彼らが本来そうだったということだ。しかし我々のような時代においては関係はひどく弱められているのだ、フリアールくん。もしきみが意見を交わしたいと決めているのなら、それでは私と話しなさい。そしてこの見知らぬ人を一人にしなさい。」

「はい。しかしあなたが言うように私はあなたを長い間知っています。そして私はあなたが私に答えるだろうことを予め知っています。一方、逆に、この見知らぬ人は私に何か新しいことを話すかもしれないのです。」

「静かに!彼がきみの話を聞いている。」

「それでますます結構です。もし彼が私の話を聞いているなら、多分彼は答えてくれるでしょう。それからあなたは考えます、ムッシュー。」フリアールは見知らぬ男に振り返りながら、続けた。「グレーヴで騒動はあるだろうかと。」

「私は、私はそういうことは言っていない。」

「私はあなたがそう言ったというふりはしていませんよ。」フリアールは繊細であることを表現しようとしている口調で、続けた。「私はあなたがそう考えているというふりをしているのす。それだけのことです。」

「きみは何を根拠にこの確信を持っているのかね?きみは魔法使いかい、ムッシュー・フリアール?」

「おや、彼が私を知っているからですよ!」その中産階級の人が驚いて、叫んだ。「どうやって彼は私を知っているのでしょう?」

「私は2~3回きみの名前を呼ばなかったかね?」ミトンが見知らぬ人の前で自分の友人のわずかな知性に恥じている人のように、肩をすくめながら、言った。

「ああ!本当です。」フリアールが理解する努力をし、この効果が成功していることに感謝しながら、言った。「誓って、本当です。それでは彼が私を知っているので、彼は答えてくれるでしょう。では、ムッシュー。」彼は見知らぬ人の方に振り返りながら、続けた。「私はあなたがグレーヴで騒動があるだろうと考えていると思っています。もしあなたがそう考えていなかったら、あなたはそこにいたでしょうということがわかっていますよ。逆にあなたはここにいるのですから。おや!」

この「おや!」はフリアールが推論を自分の論理と想像の最も遠い限界に到達させたことを証明した。

「しかし、ムッシュー・フリアール、あなたはあなたが私が考えていると思っていることと逆のことを考えている。」その見知らぬ人は質問者によって、そして自分自身によってすでに発せられた言葉を長々と述べながら、答えた。「なぜあなたはグレーヴにいないのですか?しかしながら、私には見世物は国王の友人たちにとってそこに詰めかけるために十分な楽しいものであるように思えます。多分この後、あなたは私に自分は国王の友人の一人ではなく、ムッシュー・ド・ギーズの友人の一人であると、そしてあなたはここでムッシュー・ド・サルセドを引き渡すためにパリに入場しつつあると言われているロレーヌたちを待っているのだと答えるでしょう。」

「いいえ、ムッシュー。」小さな男は見知らぬ男が仮定したものに明らかに驚いて答えた。「私は妻のニコル・フリアール嬢を待っているのです。彼女は光栄にも尊師モデスト・ゴランフロ神父の洗濯女として、ジャコバンの小修道院に24のテーブルクロスを持って行っているのです。しかし、私の友人のミトンが話している騒動に、そして私が信じていない、そして少なくともあなたがいうことによってあなたも信じていないことについて戻りましょう―。」

「仲間よ、仲間よ。」ミトンが叫んだ。「起こっているものを見なさい。」

メートル・フリアールは彼の仲間の指が示した方向を目で追った。そして、市壁に加え、すでに彼らの心をとても奪っている閉鎖を見た。彼らもまた門を閉ざしていた。

門が閉じられ、スイス兵の集団が溝の前の持ち場についていた。

「何と!何と!」フリアールが青ざめながら、叫んだ。「防壁は十分ではなかったのです。そして彼らは今門を閉めようとしている!」

「それで、私はきみに何と言ったかね?」ミトンもまた青ざめながら、言った。

「それはおどけですね?」見知らぬ人が言った。

そして笑いながら、彼は口ひげとあごひげの間の顎の中に、一日に少なくとも4回は使われる習慣によって素晴らしく研ぎ澄まされたように見える、鋭く白い歯の二重の列を発見した。

この新しい予防措置を見て、驚きの長いつぶやきといくつかの恐怖の叫びが、市壁へ通じる道を塞いでいる集まった群衆から挙がった。

「円を作れ!」将校の命令的な声が叫んだ。

同時に作戦行動が遂行されたが、ある困難なしではなかった。馬に乗った人達や荷車の中にいた人達は後ろに下がることを余儀なくされ、あちらこちらで足が踏みつぶされ、群衆の中の何人かは左右に肋骨を折った。

女達は金切り声で叫び、男達は毒づいた。逃げることができた人々は、ある者が別の者を倒しながら、逃げた。

「ロレーヌたちだ!ロレーヌたちだ!」この騒動の真っ只中で1つの声が叫んだ。

恐怖で青ざめた語彙から借用した最も恐ろしい叫びはこれよりも即座の、そして決定的な効果を生み出していなかっただろう。

「ロレーヌたちだ!!」

「何と!聞こえるかい?見えるかい?」ミトンが震えながら、叫んだ。「ロレーヌたちだ、ロレーヌたちだ、逃げよう!」

「逃げるですって!どこへですか?」フリアールが聞き質した。

「この囲いの中に。」ミトンは見知らぬ人が気持ちよさそうに座っていた生垣のイバラを掴んだことで手に傷を負いながら、言った。

「この囲いの中は、」フリアールが繰り返した。「行動より言うが易しです、メートル・ミトン。私は私たちが囲いの中に入ることができる隙間を見つけられません。そしてあなたは私より高い生垣を飛び越えることができないでしょう。」

「私はそれをやってみよう。」ミトンが言った。「それをやってみるよ。」そして彼は新たな努力をした。

「ああ!それでは気を付けて、私の善良なご婦人よ。」冷静さを失い始めている人間の苦しそうな口調でフリアールが叫んだ。

「あなたのロバは私の足の上を踏んでいます。やれやれ!騎士殿、気を付けてください。あなたの馬は蹴り上げそうです。ちくしょう!荷馬車屋、私の友よ、あなたの荷車の軸は私の肋骨の上を走りそうですよ!」

メートル・ミトンが渡ろうとして、生垣に貼りついている間、仲間のフリアールは這って通り抜けられる隙間を虚しく探していた。見知らぬ人は立ち上がり、彼の長い脚を単にコンパスのように開き、騎士が馬に乗る時のようなとても普通の動作で、1つの枝も彼の半ズボンに触れることなく、生垣の上を足で越えた。メートル・ミトンは彼を見習ったが、彼の半ズボンは3ヶ所破れた。しかし、従ってそれはフリアールと一緒にではなかった。フリアールは上からも下からも越えることができず、更に暴徒によって押しつぶされる脅威にさらされ、最も痛ましい叫び声を挙げた。その時、見知らぬ人が長い腕を伸ばし、フリアールのダブレットの襟を掴み、子供を持ち上げただろう同じ腕前で、フリアールを持ち上げ、生垣の他方側に運んだ。

「おお!おお!おお!」メートル・ミトンはその壮観に喜び、叫んだ。そして彼の友人のメートル・フリアールが上下するのを目で追った。「きみは大アブサロム(*6)の身振りに似ているよ。」

「やれやれ!」フリアールが地面に着いて、叫んだ。「私は見たところ、あなたの望む全てですよ。私はここに、生垣の他方側にいる。そして感謝します、ムッシュー―。」そして見知らぬ人を見るために、彼がかろうじて届いていなかった胸に身を引き寄せた。―「ああ!ムッシュー、」彼は続けた。「何と言う恩寵の行為だ!あなたは本当のヘラクレスです。ジャン・フリアールの名誉と信頼に誓って、お名前を、ムッシュー、―私の救世主のお名前を、私の友人のお名前を?」

そして、その勇敢な男は本当に最後の言葉を心からの深い感謝のほとばしりと共に言った。

「私の名前はブリケです、ムッシュー。」その見知らぬ人が答えた。「ロベール・ブリケです。いつでもあなたのお役に立ちますよ。」

「そして、あなたは私にすでにかなりの奉仕をしてくださいました、ムッシュー・ロベール・ブリケ、私は敢えて言わせていただきますよ。おお!私の妻はあなたを祝福するでしょう。しかし、ところで、私の哀れな妻は。おお!ああ!ああ!彼女はこの群衆の中で窒息しているでしょう。ああ、忌々しいスイス兵め!人々を押しつぶすのに優れているだけだ。」

フリアールがこの呼びかけを言い終えるや否や、肩の上に石の塊と同じくらい重い手の重さを感じた。

彼は自分にこのなれなれしいことをする大胆な人は誰なのかを見るために振り返った。

手は一人のスイス兵のものだった。

「きみは打ちのめされたいのかい、私の小さな友人よ?」がっしりとした体格の兵士が言った。

「私たちは包囲されているんだ。」フリアールが叫んだ。

「各自勝手に逃れろ!」ミトンが付け加えた。

二人組は親切な生垣に感謝をして、自分たちの前に空間を取り、長い両手を持つ男の冷笑と静かな注視に追われながら、逃走した。彼は彼らを見失ってから、軽騎哨兵としてそこにいたスイス兵に近づいた。

「あなたの手はしっかりしているように見えますが、仲間よ?」

「おやおや、確信しているよ、ムッシュー、悪くない、悪くない。」

「それならますます結構です。というのは、とりわけもしみんなが言っているようにロレーヌたちが来ているのなら、それは重要なことです。」

「彼らは来ないよ。」

「来ない?」

「ああ、全くだ。」

「それでは、なぜ彼らはこの門を閉めているのですか?私はそれが理解できません。」

「きみが理解する必要はないよ。」そのスイス兵は彼の冗談に大声で笑いながら、答えた。

「それは正しいですね、私の仲間よ、とても正しい。」ロベール・ブリケが言った。「ありがとう。」

そして、ロベール・ブリケは別のグループに加わるためにそのスイス兵の元を離れた。一方、価値のあるヘルベチア人は笑うのを止め、呟いた―。

「神にかけて、私は彼が私をあざ笑っていると思う。陛下のスイス兵を敢えてあざ笑うこの男は誰なんだ?」

<2013.5.3修正済>

*1:原文は「Etiamsi omnes!」というラテン語。

*2:Porte St.Antoine

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0009/f28l0009_1_2.html

*3:ダブレット

Img

*4:Maitre

男性への敬称。主人などの意味。

*5:Place de Greve

市役所前広場が当時この名で呼ばれています。

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/f28/image/01/f28l0013/f28l0013_5_1.html

*6:Absalom

旧約聖書『サムエル記』に登場するイスラエルの王ダビデの息子

2013年5月 2日 (木)

ひとまず読了したんですが・・・

え~っと、たった今『四十五人』(英訳抄訳版)を読了しました。

が、しかし、「こ、これで終わりなんですかcoldsweats02??」というような恐ろしく中途半端な終わり方でした・・・sweat02

前作『モンソローの奥方』で惨殺されたビュッシー・ダンボワーズの恋人のディアーヌ・ド・メリドール(元モンソロー伯爵夫人)が彼のために復讐するくだりはいいんですが、肝心のタイトルロールの「四十五人」たちは一体??って感じだったんです・・・sweat01「四十五人」の中心人物であるエルノートンがモンパンシエ公爵夫人に恋をするんですけど、ディアーヌとレミが仮住まいをしていたシコの家の向かいの家を、ディアーヌの父親のメリドール男爵の死後売り払い、それをエルノートンが購入し、そこで二人が逢引をしているのを発見したシコが追いかけるという章があるのですが、その後どうなったのかについて何もないんですよ!!もう「四十五人」の話はそれで終了。ええっ、そんなのありcoldsweats02??って感じです・・・sweat02

いや・・・これ、デュマはもっと続きを書くつもりだったと思いたいってくらいに中途半端な終わり方だったんですが・・・sweat02。抄訳版だからってことではなく、本当にこれで終わっていたんです・・・sweat01

「四十五人」についての詳細は抄訳版は結構内容を割愛されていたようなので(スポットはエルノートンとサント・マリーヌだけに当てられていた。)、そこは完全版でもう少し色々な人物像が明らかになるとは思うのですが、にしても『四十五人』というタイトルがついているのに、タイトルロールたちについてあまり語られていないってどうなの?って感じです。まあそれを言ったら、『王妃マルゴ』や『モンソローの奥方』もそうかもしれないけど・・・sweat02『王妃マルゴ』はまだマルゴについて語られているからいいけど、『モンソローの奥方』は英訳版のタイトルでは『道化師シコ』になっているものもあり、でも確かにモンソロー伯爵夫人の話と言うよりはシコの方が出番多しって感じではあったんですよね。群像劇になるのはデュマのスタイルだからまあいいとして、エルノートンとモンパンシエ公爵夫人の続きに関してだけはこのまま放置されたのがものすごく気になる・・・

しかも「四十五人」たちはその後どうなったんですか?みたいなところもあるんですよね。私が読んでいた英訳抄訳版のあとがきにその後のついてちょっと書かれていたんですが、ギーズ公爵&枢機卿兄弟の殺害に関わるみたいなんですよね。

とにかくとても納得がいかない終わり方でした・・・sweat02

という訳で、今度は完全版の方に移ります。現在印刷中なのですが、今日(ってもう昨日か?)インクカートリッジを買ってきたのに、なくなってしまい、また買わなければならなくなりましたcoldsweats02。モノクロ印刷なのに黒インクが無くならず、青と赤だけが無くなっていく・・・黒インクが大量に消耗すると思って、黒だけは補充していたのに・・・モノクロ印刷でもカラーインクを使うことはプリンターを買う時に説明を受けていたのですが、こんなにも青と赤が無くなるっておかしくないか?って感じです・・・sweat02もう印刷された本を買った方が安かったと思うけど、もはや完全版がどれかさえもわからないので、印刷するのが一番確実だったのです。本当にトホホ・・・ですcrying

早ければ明日(ってもう今日)から完全版からの翻訳に入って行こうと思っています。

それにしても私が読了した本、最後のラテン語さえもスペルミスがあった・・・google翻訳でどうしても英語に変換されなかったので(日本語変換はしないのです。絶対に変になるから。)、フランス語の原文テキストを見たら、この期に及んでもスペルミスを発見してしまいました・・・いやはや、本当にこの本ひどすぎだし、これがこのまま罷り通っている事実に異議を唱えたいよ。英語を話す人たちって、ミスが気にならないんですか??って。

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