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2007年11月17日 (土)

彼は花園で夢を見る

今日は久しぶりに暖かく、しかも天気がよかったので、定例の掃除・洗濯を終えた後、レースのカーテンの洗濯もしてしまいました。来週からはもう毎週末出勤状態だし、12月に入ったら、大掃除できる時間がとれそうにない気がしたので、早めにやっておこうと思いまして。こういうのが片付くとすっきりしますね。あとは年賀状か・・・・・年賀状自体をまだ買ってもいないんだけど(笑)。

午後に外出したときに本屋に寄ってきたのですが、そのときに新刊本として平積みされていた本を「あっ、これもう発売になったんだ!」とうっかり手にして買ってしまいました。ところが帰る道々「あれ、もしかして私、この本、すでにネットで発注していなかったか?」と思い、急いでPCでメールを確認したら、やっぱり発注済の本でした。それすら忘れてしまっているとはもう私も相当ボケボケ状態で、かなり重症で危機的かと思ってしまいました。本当に私まずいよ、これ・・・・・本は返却したのはいうまでもありません。トホホ・・・

タイトルは上述の本とはまったく違います。よしながふみさんの昔の作品です。全然BL話じゃありません。おとぎ話風の普通の(笑)の話です。服装からいくと舞台は中世ヨーロッパです。戦争で孤児となったファルハットはサウドという音楽師に拾われて、共に音楽師として放浪して(?)、西の国のとある男爵家にやってくる。その男爵家のご当主にまつわるお話なのですが、タイトルにもなっている「彼は花園で夢を見る」という悲恋話が琴線に触れました(笑)。

「私は生涯で二度だけ本当の恋をした」というセリフから始まるその話は上述の男爵家ご当主ヴィクトールの若き日の回想。狩りに出かけたヴィクトールは落馬して倒れているイザベルと出会う。彼女の姓を聞いたときに実は彼女は自分の婚約者だということを知り、そのまま恋に落ちる。そのまま二人は幸せになるはずだったが、結婚式当日の朝イザベルは死体で発見される。絶望するヴィクトールにイザベルの実家からまた縁談話がもちかけられ、彼はイザベルの姉ラウリーヌと結婚することになる。ラウリーヌはヴィクトールより年上で、イザベルとは異なり、口数も少なく、淡々としていて、見た目も地味で暗い印象を持つ女性だった。夫が戦地に赴くことを聞かされても全く動じず、城の周りに草木の種を撒くことの許可を願い、その後は夫を見送ることもせず、種まきに専念していた。そして戦地から帰還したヴィクトールが見たものは美しい花々に覆われた領地だった。城の庭も花園と化していた。ヴィクトールはラウリーヌが彼の心を慰めるために花々を育てたことを知って、冷たい仮面の下に実は彼への愛情を秘めていた彼女を本当に愛するようになる。

これで幸せになるのかと思いきや、そうはならないのがよしながさんのお話。どんでん返しがあるのです。

お互いの気持ちを確かめ合った夜にヴィクトールはラウリーヌに自分の最初の婚約者はイザベルではなくラウリーヌであったことを告白する。ラウリーヌの父は最初からラウリーヌを差し出すつもりでいたのが、ヴィクトールの勘違いとイザベルと恋に落ちてしまったことで差し替えられてしまったと。イザベルはその事実を知らずに死んだだろうし、ラウリーヌもまた知らなかったことだろうと話すが、実はラウリーヌはその話を知っていた。驚くヴィクトールはそれを知っていてなぜ自分とイザベルを恨まなかったかといいかけて、イザベルの死にラウリーヌが関与しているのではないかと疑いを持ち、彼女を問い詰め始める。ラウリーヌはイザベルが殺された夜に自分はイザベルに呼び出されたこと、イザベルは婚約者差し替えの事実を知っていて、それをラウリーヌに詫びたこと、しかし彼女はイザベルを祝福し、その後別れたのでそれだけだと伝える。そこでヴィクトールは我に返る。一方ラウリーヌはそんなふうに疑われたことに絶望し、その直後ヴィクトールの不意をついて、城の塔の上から投身自殺を図る。

たぶんラウリーヌはずっと前からヴィクトールのことが好きだったのだと思います。そして妹イザベルの陰になり、劣等感を覚え続ける人生だったのでしょう。妹亡き後、自分が妻となってもヴィクトールの心は慰められない。自分はイザベルとは似ても似つかない。そして城の荒涼とした庭を散歩しながら、ここを花々で埋め尽くしたら、少しでもヴィクトールの気持ちが癒されるかもしれないと思ったんでしょうね。ヴィクトールが戦地から戻ってきたときに見たラウリーヌはいつものように地味な姿で、たくさんの花々で埋め尽くされた花園と化した庭に佇んでいました。花々はラウリーヌの内面を表しているように思いました。花々に込められたラウリーヌのヴィクトールへの愛情の深さが花の数になっているように思えるのです。この対比がとても印象的で、しかもこの場面は1ページまるごと1コマなのです。うまいなあ~ってしみじみ思いました(←普通はこういうところで感動しないでしょ(笑))。

ヴィクトールから「愛している」と告げられたときにラウリーヌは「無理なさらないで」という。それに対してヴィクトールは無理などしていないし、イザベルとは別にお前を愛したのだという。ラウリーヌは「信じられません」といい、「まるで夢のようで信じられません・・・」と言って泣く。このセリフが重い。結局はラウリーヌにとってヴィクトールの「愛している」という言葉は夢で終わってしまったから。愛する人を殺人者として疑う人はいない。彼女を疑った時点で「愛している」という言葉は嘘になってしまった。ヴィクトールはやっぱり本当はイザベルを愛しているということを痛感しただろうし、更にそのイザベルの死に自分が関与していると疑われ、ラウリーヌはどんなにか傷ついたことだろう。彼女の失意と絶望は彼女の無言の涙で表現されている。それが余計に絶望の深さを感じさせるのです。

ラウリーヌはそのままイザベルと別れたとしかいっていない。イザベルはその後放浪者に刺し殺されたということになっている。素直にこの話を読めば上述の通り、ラウリーヌは愛する人に疑われて絶望して自殺すると取れるのだけど、この話だけを読むともしかするとヴィクトールが疑ったようにイザベルの死に関与していたかもしれないともとれる。そうなると花々は贖罪ってことになる。しかし、その後の続編の話の中でファルハットが城の庭に見とれる場面があり、そこでヴィクトールが元々芝生と噴水しかなかった庭をラウリーヌが丹精してこのような庭に作り変えた。元からこのように繁っていたような庭のさりげなさはまるで妻のようだといい、この庭は妻の大事な思い出だと語っているところから察するにやっぱり前者の絶望説で読むのが自然だと思います。

花々で埋め尽くす庭造りといえば「花の名前」ですが、京が癒されただけでなく、花を育てていく過程で蝶子自身も心を癒されたという点では幸せですよね。この「彼は花園で夢を見る」ではラウリーヌは救われませんでしたから。それだけに哀しいし、余計に琴線触れました。

それにしても今年も読書週間がやって来ず、マンガだけで終わるんですか~??こんな状態はやばすぎです!!どんどんバカ化が激しくなる・・・・・(ToT)

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